2018年6月10日、茨城県下妻市にある筑波サーキット コース2000(通称:TC2000)にて、New MINIだけのワンメイクレース、MINI CHALLENGE ASIA.JAPAN SERIES 2018(以下:MCJP) 第2戦/第3戦が開催されました。MCJPとして初の”1Day 2Race”のダブルヘッダーレースで、第2レースには国内レースとしては珍しいリバースグリッド方式を採用し、どういった展開になるのか注目を集めました。

©️Motorz

 

 

ミニチャレンジとは?

決勝第1レース、ワンメイクレースらしい接近したバトルが続きます©️Motorz

 

2002年よりイギリスのMSVR(Motor Sport Vision Racing:モータースポーツヴィジョンレーシング)主催で、MSA UK(Motor Sport Association UK:モータースポーツアソシエイションUK)管轄のもと、イギリス国内の各サーキットでNew MINIオンリーのシリーズ戦が行われています。

MINIブランドがBMWにより製造販売された翌2002年から開催されているシリーズ戦で、旧BMC時代から今もなおイギリスで愛されるミニでレースをすることから大人気のカテゴリーに!!

2018年からJAF公認レース(国内A級以上)として富士スピードウェイ、筑波サーキット、岡山国際サーキット、スポーツランドSUGOを転戦する形で年間5イベント、8レースを行うシリーズ戦となっており注目を集めています。

FF車+スリックタイヤの本格的なレーシングカーを用いたレースパッケージとなっている為、若手ドライバーがステップアップをするための入門レースとして、またジェントルマンドライバーや海外から参戦するドライバーがオシャレにレースを楽しむための社交の場としてMCJPが存在します。

 

雨に恵まれているMCJP

朝から雨が降ったり止んだりの不安定な天気 / ©️Motorz

2017年のエキシビジョンレースより、イベント毎に天気予報の傘マークがついているほどMCJPは”雨に恵まれて”おり、「雨オトコ、雨オンナは誰だ??」という会話がスタッフの間でのトレンドになりつつあるMINI CHALLEGE ASIA.JAPAN SERIES。

レース直前に日本ならではの気候「梅雨」入りが発表され、案の定、高確率の雨予報が宣告されていた筑波ラウンドですが、第1レースはドライ路面で走れるのでは?という期待と予想ができました。

前日の練習走行では気温30℃超え、路温50℃超えという真夏日のコンディションでしたが、打って変わって気温路温ともに20℃程という半袖では少し肌寒く、時に雨がパラつくような不安定なコンディションでしたが、8:20〜の予選はドライ路面で迎える事に。

 

ドライ路面で走れた公式予選

予選1番時計の#96山田選手と、2番手タイムながらペナルティで2グリッド降格してしまった#16一條選手 / ©️Motorz

気温路温ともに20℃程、ドライ路面で行われた20分間の公式予選。ここでの順位は第1レースのスターティンググリッドを決める予選となります。

予選開始の序盤から速さを見せたのは#96 Forge motorsport 山田遼選手で、4周目に1分1秒953という2秒を切るラップタイムでトップに躍り出ます。その後、各車が続々とタイムアタックを行い、ほとんどが2秒台のラップを刻む接戦を繰り広げます。

2位以降の順位が目紛しく変わる中、終盤になって#16 adidas motorsport 一條拳吾選手が山田選手と同じく1秒台のラップを刻むも、1分1秒993とわずかに及ばず。

今回が筑波サーキット初走行となり、入念に練習走行を重ねた海外勢(#14,#8,#318) / ©️Motorz

結果、第2戦のポールポジションは#96 山田選手で開幕戦に続いて2戦連続のポールポジションを獲得し、2番手に#16 一條選手、3番手に1分2秒391を記録した#32 GIOMIC RT 村田選手と続きました。

無事終わったと思われた公式予選でしたが、#16 adidas motorsport 一條選手が走路外走行による筑波サーキット一般競技規則違反により2グリッド降格の裁定が下り、公式予選の正式結果はポールポジション#96山田選手、2番手が繰り上げで#32村田選手、3番手が同じく繰り上げで#81 チーム サントメ・プリンシペ 東風谷選手、4番手に#16一條選手となりました。

 

ウェット路面+スリックタイヤの第1レース

第1レーススタート直後はウェット路面で、1コーナーでスピン車両が出たりと波乱の幕開け / ©️Motorz

公式予選はなんとかドライ路面で行われたものの、第1レース直前にパラパラと雨が降ってきました。

気温路温ともに公式予選と差ほど変わりありませんが、フォーメーションラップスタートまでに路面をうっすらと濡らすだけの雨がふり、スリックタイヤでウェット路面を走行することに。雨が強まってきた場合を想定し、ピットでは全車分のピレリレインタイヤが用意され、いつでも対応できるよう準備がされていました。

レース時間は周回制ではなく時間制の20分間+1Lapとなっており、ラップタイムから逆算すると20周前後のレース周回が予想されました。

スタート直後の1コーナーはホールショットを#96山田選手が決めるも、中盤グループの#318 Great Drive RTのヘンリー・リー選手がスピンを喫し、後続のマシンがギリギリのところを交わしてくというヒヤリとするスタート1コーナーでした。

その後、徐々に路面コンディションが回復し、ウェットからドライへ変化する中、2グリッド降格を受けた#16一條選手が#32村田選手と#81東風谷選手を交わし2位に浮上、トップを走る#96山田選手を猛追します。

後続では#2 IDI MotorSport後藤選手がパワステトラブルを抱えており、ペースが上がらず徐々に順位を落としていきます。

 

第1レース6位で第2レースのポールポジションを獲得した女性のタイ人ドライバー#14 カット・リー選手 / ©️Motorz

#96山田選手がトップを快走する中、#318 ヘンリー・リー選手のスピン、#2後藤選手のパワステトラブルによって、運命的な順位を手にしたのが紅一点の#14 Great Drive カット・リー選手で、7位まで追い上げてきた#318ヘンリー・リー選手と大きく差がついた前方の「6位」を走行していました。

MCJPのダブルヘッダーレースにおける第1レースの「6位」と「7位」とでは天と地ほど順位の価値に差があり、6位で第1レースを終えるとリバースグリッドにより第2レースのポールポジションを獲得、7位でレースを終えると第2レースはそのまま7番グリッドスタートという、中盤以降を戦うドライバーにとっては第1レースの「6位」という順位は是が非でも欲しい順位なのです。

20分間+1Lapという筑波サーキットで行うツーリングカーのスプリントレースとしては少し長い部類に入るMCJPの決勝レースですが、先頭を走る#96山田選手が1分2秒台で快走を続け、20周でチェッカーフラッグを受けました。

2位以降は#16一條選手、#81東風谷選手、#32村田選手、#5 Neu interesse松田選手と続き6位は#318ヘンリー・リー選手の追撃を振り切った#14カット・リー選手がフィニッシュし、第2レースのポールポジションを獲得しました。

公式予選で速かったドライバーが勝つ、というスプリントレースらしいレース展開と、中盤以降の順位争いやリバースグリッドに向けた争いが見応え十分で、今までにないレースの楽しみ方ができたのではないでしょうか?

 

リバースグリッドでウェット路面の第2レース

第2レース、1コーナーホールショットを決めたのは2番手スタートの#5松田選手©️Motorz

天気予報通り、レース開始1時間前から”雨に恵まれ”、フルウェット状態で迎えた第2レース。WETレース宣言により全車レインタイヤでのスタートとなりました。

リバースグリッド方式によりポールポジションを獲得したのはタイから参戦している#14 カット・リー選手で、2番手には元インディカードライバーの#5 松田秀士選手が続きます。

ウェット路面でのスタンディングスタートでは、ポールポジションの#14カット・リー選手が若干出遅れ、ホールショットは#5松田選手。

3番手スタートの村田選手は痛恨のエンジンストールで大幅に出遅れ最後尾まで交代する中、4番手スタートの東風谷選手が好スタートを決め#14カット・リー選手も抜き2位に浮上しました。

1周目の最終コーナーでは5番手スタートから猛追をかける#16一條選手がコースアウトし#96山田選手に抜かれ、スポンジバリアに接触するもギリギリのところでコース復帰し、前方の山田選手を追いかけます。

ダンロップコーナーにて。予選タイムで勝る#16一條選手と#96山田選手が#14カット・リー選手とバトルを繰り広げます。©️Motorz

レース中盤、2位走行中の#81東風谷選手が#5松田選手との接戦の末、トップに浮上。中盤グループをでは#16一條選手が#96山田選手と#14カット・リー選手を追い抜き、3番手まで浮上。

後続グループではスタート失敗をした#32村田選手が#8 Great Drive RT レオ・ライ選手、#2後藤選手を抜き7位まで浮上しました。

予選タイムで速さに勝るドライバーが後ろから迫る中、2番手争いをしていた#5松田選手が#16一條選手に抜かれてしい3位後退。

第2レースポールポジションを獲得した#14カット・リー選手はドライブシャフトトラブルにより17周を消化して惜しくも途中リタイア喫しました。

最終的に、#81東風谷選手が4番手スタート追い上げからの逃げ切りでMCJP初勝利を飾り、2位は開幕戦から連続2位表彰台となる#16一條選手、3位は初表彰台の#5松田選手という結果になりました。

 

勝利ドライバーインタビュー

第1レース(第2戦) 1位#96山田選手

#96 Forge motorsport 山田遼選手©️Motorz

「開幕戦に続き第2戦もポールポジション、ギリギリながらも取れて、そこは前回から連続で取れたんで嬉しかったんですけど。ただ、今回から2レースってことで戦い方を考えなきゃいけなくて。1レース目を始まる前とか頭の中でシミュレーションしてて、タイヤは長いレースなので使っちゃいけないというのもあって、スタート失敗しちゃったのは悔しかったですけど、2,3周で逃げれてセーフティーリード築くことが出来たので、自分的には後ろを睨みながらペースをコントロールをして、だいたいこれくらいのタイムなら差が縮まらないだろうなというのもわかっていたので。最後までペースコントロールしながらも勝てたので良かったです。2レース目の結果はちょっと悔しいですけど、1レース目は勝てて良かったです。ありがとうございました。」

 

第2レース(第3戦) 1位#81東風谷選手

#81 チーム サントメ・プリンシペ 東風谷高史選手©️Motorz

「1レース目が3位になったということで、2レース目は絶対に勝たなきゃいけないなと思ってました。ただ、雨のレースを久しくやったことがなくて、大丈夫かなと思ったんですけれども、みなさん走りのマナーがいいので思いっきり走れたし、ミニチャンレジですけど松田秀士さんみたいなプロドライバーがいらっしゃったり、一條君のような若者がいたり、前は追っかけたり後ろから若いのが来るし、大変だったんですけれども自分の目の前でプロフェッショナルの方の運転も見れたし、すごくいい経験をさせて頂きました。
結果的に優勝もできて、筑波サーキットは地元なんですけれども、多くの友人に来て頂き半端ないプレッシャーをかけて頂いたんですけれども何とか優勝することができました。この場をお借りしてですね、ミニチャレンジの方々、サーキットの方々、皆さん本当に有難うございました。」

 

まとめ

©️Motorz

MINI CHALLENGE ASIA.JAPAN SERIES 2018 第2戦、第3戦の様子をお伝えいたしました。

「FF車、スリックタイヤ、スプリントレース」という2018年現在ではMCJPでしか見ることが出来ないレースパッケージで、ワンメイクレースらしい接近したバトルを至る所で見ることができました。

次戦は7月28日(土)、29日(日)、岡山県美作市にある岡山国際サーキットにて「2Day 2Race」での開催となり、土曜と日曜の各日で決勝レースを行う予定となっています。

New MINIオーナー向けにイベントも予定しているそうなので、気になる方は是非足を運んで見て下さい!

 

MINI CHALLENGE JAPAN公式Webページはコチラ

 

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