2018年10月5日~7日、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開催されたF1 2018 Honda日本グランプリでは、メインレースであるF1の他にサポートレースとしてポルシェカレラカップジャパンが開催されました。

ポルシェカレラカップは、

ジェントルマンレースと言われる国内最高峰のワンメイクレースですが、その中で今季のシリーズチャンピオンを賭けて戦う2人のドライバーに注目してみました。

 

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PCCJ(ポルシェカレラカップジャパン)とは

 

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ポルシェカレラカップは、最高峰のワンメイクレースとして世界的に知られており、10ヶ国以上で開催されています。

日本では2001年から『ポルシェカレラカップジャパン(PCCJ)』としてスタートし、今年で18年目迎えました。

普段はSUPER GTのサポートレースとして開催される事が多いので、SGTファンの皆さんはご存知だと思います。

また、シリーズによっては国を跨ぎ、ヨーロッパシリーズやアジアシリーズとしても開催されています。

多くの国ではジェントルマンレースとしての側面も強く、普段はレースとは全く関係のない仕事をしている熟練のドライバーも参戦しており、ある意味条件が揃えば誰でも参戦できる本格レースでもあるのです。

とはいえ、最高峰のワンメイクレースとして現役のレーシングドライバーも参戦しているほか、登竜門的カテゴリーとしての役割も果たしており、PCCJでは毎年スカラシップで若手ドライバーを募っていたり、ポルシェカレラカップで上位の成績をおさめた若手ドライバーは上のカテゴリーであるスーパー耐久やSUPER GTへステップアップしているのです!

 

PCCJ第11戦(最終戦)鈴鹿サーキット

 

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F1 2018 Honda日本グランプリのサポートレースとして開催された、PCCJ最終戦鈴鹿ラウンド。

PCCJは参戦するドライバーの力量によりクラス分けが成されており、プロドライバーも参戦可能なオーバーオールクラスとアマチュアドライバーが参戦するジェントルマンクラスに分けられます。

そんなオーバーオールクラスには、SuperGTなどにも参戦するプロの若手ドライバーが奮戦しており、最終戦でのチャンピオン決定を賭けた2人のドライバーの熾烈なバトルが期待されました。

1人はPCCJで唯一Porscheワークスカラーの18号車に乗る上村優太選手、もう1人はチャンピオン獲得に期待がかかる78号車の近藤翼選手です。

 

F1とGTでは何が違う?

 

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普段はSUPER GTのサポートレースとして開催されているPCCJですが、最終戦は毎年F1日本グランプリのサポートレースとして行われます。

もちろん普段のSUPER GTも大人気のレースですが、実際にレースを戦うドライバーとして、F1GPとSUPER GTでは心境の違いはあるのでしょうか?

決勝走行前のコメントと併せてお伝えします!

 

予選ポールポジション 上村優太選手

 

#18 上村優太選手 / ©️Motorz

 

ポールポジションなんですが、予選でニュータイヤを2セット投入したので、近藤選手よりも前でスタートできるのですが、その代わり決勝はユーズドタイヤしか使えない中、近藤選手はニュータイヤで走るので、タイヤがちょっと不安です。

でも決勝はそんなことイチイチ考えずに、スタートをしっかり決めてポールトゥウィンを決めたいです。

シリーズチャンピオン争いとしては、自分が勝って近藤選手が11位以下であればチャンピオンを取れるという厳しい条件で難しいのですが、今回のレースでキッチリ勝ってシリーズを終えたいです。

 

Q:F1とGTでの違いについて

F1マシンはピレリタイヤを履いていて、GTの時と路面のコンディション(主にラバーグリップ)が違うので、ポルシェが履いているミシュランタイヤとの相性を考えると、GTの時とは違ったセットアップにします。

今日(10/7)は前日に雨が降った影響で少しラバーが流れているはずなので、その点はあまり懸念しなくて良いのかな、と思っています。

 

Q:鈴鹿サーキットの楽しいところ難しいところ

中高速コーナーばかりなので、いかにリズミカルに走れるかというところが重要です。

かといって、ヘアピンとかシケインとかハードブレーキをするところもあるので、ブレーキングの精度も高くないと鈴鹿サーキットはうまく走れないですね。

自分はSRSを首席で卒業した自信もありますし、得意なサーキットだと思っています。

 

Q:鈴鹿サーキットで抜かれないためには?

鈴鹿サーキットって非常に抜きにくいサーキットなんですよ。

なのでスタートをしっかりと決めて、トップで1コーナーを曲がれたらあとは何とかなるかな、と思っています。

 

予選2番手 近藤翼選手

 

#78近藤翼選手 / ©️Motorz

 

シリーズチャンピオンとしての条件はかなり有利ですが、最後はやっぱり優勝してチャンピオンを決めたい。

14ポイント差があるので10位以内に入れればチャンピオンを取れますが、勝って決めたいですね。

 

Q:F1とGTでの違いについて

今回はF1のサポートレースですが、世界戦ということもあってお客さんも多く、たくさんの応援を頂けるので、乗っている方としては楽しいですしテンションが上がります。

 

Q:鈴鹿サーキットの楽しいところ難しいところ

鈴鹿サーキットは中高速レイアウトで、その中でも130Rとかは結構好きでポルシェのカップカーでも楽しいです。

ポルシェはRRレイアウトでフロントが入りにくいのですが、トラクションは凄く良いです。ただ鈴鹿サーキットにはあまり向いていないのですが・・・その中でもメリハリのある走りをすることで凄く気持ち良く走れます。

 

Q:鈴鹿サーキットでの抜きどころは?

オーバーテイクについては1セクター2セクターは難しいので、スプーンから130Rと続いてシケインの飛び込みが重要だと思います。

 

PCCJ最終戦に相応しいバトル展開

 

左:#18上村選手、右:#78近藤選手 / ©️Chika Sakikawa

 

PCCJ決勝は10Lapまたは30分間のレース。

台風一過により風と日差しが強い中、ドライコンディションのスタンディングスタートで行われました。

シグナルがブラックアウトすると同時に各車クラッチを繋ぎスタートを切るのですが、ポールポジションの上村選手がまさかのスタートミス。

そこに3番グリッドスタートの星野選手が完璧なスタートを決め、ホールショットを奪います。

その後、2番グリッドスタートの近藤選手が上村選手に襲いかかり、2コーナー立ち上がりでアウト側からオーバーテイクし2番手をキープ。

上村選手は早々に、3番手まで順位を落としてしまいました。

全10Lapというスプリントレースではありますが、後方を走るジェントルマンクラスでは鍔迫り合いのバトルが繰り広げられ、クラッシュやコースアウトする車両が頻発するなどエキサイティングな展開に。

トップ3台は、ポジションをキープしたまま後半戦へ突入します。

 

#7星野選手 / ©️Chika Sakikawa

 

3番手まで順位を落とした上村選手ですが、中古タイヤでありながら2番手走行中の近藤選手を追い詰め、8周目の1コーナーでオーバーテイクし順位を入れ替えます。

そして勢いそのままに上村選手はトップの星野選手に迫り、トップ3台が団子状態のままファイナルラップへ突入。

ファイナルラップではヘアピンのブレーキング勝負で、トップ3台がバンパートゥバンパーの接近戦とレベルの高い駆け引きを演じるも順位は変わらず、スプーンカーブへ向けて加速していきます。

その後、最後のパッシングポイントとされる日立オートモティブシステムズシケインもトップ3台のブレーキング勝負。

進入での順位は変わらなかったものの立ち上がりで先頭の星野選手の加速が遅れ、2番手の上村選手が急接近。

最終的にトップでチェッカーを受けたのは、僅差ながらも星野選手でした。

上村選手との差は、わずか0.112秒。

上村選手から遅れること0.485秒の近藤選手も3番手でフィニッシュし、シリーズチャンピオンを決めました。

 

決勝終了後、若手ドライバーのコメント

78号車 近藤翼選手

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スタート時に3番グリッドスタートの星野選手がトップで抜けて行き、自分は上村選手を抜いて2位でオープニングラップを終えました。

星野選手もペースが良く、後ろからは上村選手がグイグイ来ていたので、8周目の1コーナーで上村選手にインを刺されましたが、リスクをとるべきではないと考えていました。

バトルは楽しめていたのですが、先頭を行く星野選手も速くて・・・。

最終ラップで三つ巴のバトルになり、見ているファンの方々は楽しめたんじゃないかなぁ、と思います。

無事、シリーズチャンピオンを獲れて良かったです。

 

8号車 上村優太選手

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スタンディングスタートは少しミスしたところもありましたが、それ以上に星野選手のスタートが抜群に上手くて抜かれてしまいました。

タイヤもユーズドだったので温まりが遅く、序盤のペースが上がりませんでしたが、中盤以降はペースを取り戻せて近藤選手を抜くことができました。

最後まで諦めるつもりはなく、最後の最後のファイナルラップのシケインまで粘ったのですが、一歩届かず・・・。

ヘアピンで前は詰まるし、後ろからは刺されそうになるし、難しい状況でしたが良い経験を積むことが出来たと思います。

 

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まとめ

 

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今回は、F1 2018 Honda日本グランプリで開催されたPCCJ(ポルシェカレラカップジャパン)で注目の若手ドライバー2人に、サポートレースとしてのF1とGTの違いや鈴鹿の走らせかた、勝負所を聞いてみました。

また、両ドライバーに2019年の予定を聞いたところ、「まだ特に決まっていない。」とのことで、来年の動向が気になります。

F1やSUPER GTでは当然メインレースが注目を浴びがちですが、PCCJをはじめとするサポートレースも同じようにアツい火花を散らしているのです!

メインレースに比べてしまえば、まだまだ荒削りな若武者たちですが、そんな彼らがガチンコ勝負している姿の方が、むしろ観客としては面白かったりもするわけで。

皆さんも若手ドライバーの活躍をぜひチェックしてみてはいかが?

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