2018年F1アメリカGPでフェラーリのキミ・ライコネンが実に5年半振りとなる優勝を手にしました。レースでは序盤から激しい争いが続き、最後は大接戦の末に自身21度目のトップチェッカーを飾ります。彼は久しぶりの勝利となったレースで、どのような戦いを見せたのでしょうか。早速振り返ってみたいと思います。

 

©Shunsuke Kawai

 

アメリカGPで実に5年半ぶりの優勝を飾ったライコネン

 

©Shunsuke Kawai

 

10月21日、日本時間の27時にスタートしたF1第18戦アメリカGPで、キミ・ライコネン(フェラーリ)が実に5年半振りとなる優勝を飾りました。

現在、ランキング首位に立つルイス・ハミルトン(メルセデス)のタイトル決定に注目が集まるなか、今シーズン常に優勝争いを演じてきたメルセデスとフェラーリは、予選から僅差の戦いを展開します。

金曜日のフリー走行では悪天候のために各チーム、データ取りが進まない不確定要素の多い1戦となりましたが、予選ではまたしてもハミルトンが渾身のアタックを決め、ポールポジションを獲得。

しかし、今回ハミルトンのタイトル決定は叶わず、先日39歳になったばかりの大ベテランの活躍により、次戦以降に持ち越されることになったのです。

 

2番グリッドからホールショットを決めトップへ

©Shunsuke Kawai

 

迎えた決勝でライコネンはセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)のペナルティにも助けられる形で2番グリッドを獲得します。

これによって最前列からの発進とななると、ライコネンはブラックアウトと同時に素晴らしい加速を決め、先頭で1コーナーへ飛び込もうと試みます。

ポールポジションのハミルトンは懸命にブロックを敢行しますが、ウルトラソフトタイヤのトラクション性能を活かしたライコネンがインに突いてトップに浮上。

ここから激しい優勝争いが展開されることになりました。

ここ最近のライコネンはオープニングラップで順位を落とすことも多かったのですが、この日はライバルを出し抜き、勝利を手繰り寄せることに成功します。

しかし、ライコネンがトップチェッカーを受けるまでには、さらに激しい戦いが待ち受けていました。

 

タイヤ戦略が分かれたトップ争い

©Pirelli

トップに立ったライコネンは後方を引き離すべく、序盤からハイペースで周回を重ねていきます。

ですが、このアメリカGPでシリーズチャンピオンを決めたいハミルトンが、ただ一人このペースを追走。

ライバルより1段階柔らかいタイヤを履いていたライコネンですが、そのリードは盤石とは言い難い3秒程度のままトップ争いは進んでいきます。

すると、11周目にトラブルでコース上にストップしたダニエル・リカルドのマシン撤去の為、バーチャルセーフティカーが出動。

これを見たメルセデス陣営は「ライコネンと逆のことをやれ!」とハミルトンに指示を送ります。

ライコネンはコースに留まったことを確認してからピットへ向かい、ソフトタイヤに交換。

これによって両者のギャップは大きく広がりましたが、新品タイヤで猛プッシュを敢行するハミルトンが驚異的な速さでギャップを縮めて来たのです。

 

現役最年長39歳が渾身のブロックでトップを死守!

©Shunsuke Kawai

レースも中盤に差し掛かる19周目、ハミルトンは再びライコネンを視界に捉え、その差はわずか1秒。

スタート時からプッシュを続けてきたライコネンのリアタイヤは消耗が激しく、コーナーの立ち上がりで何度もふらつく厳しい状況のなか、ハミルトンは左右にマシンを振ってオーバーテイクを試みます。

ここでハミルトンがトップに躍り出るかと思われましたが、わずか5日前の10月17日で39歳を迎えた現役最年長ドライバーが若々しいブロックでトップを死守。

約2周に渡って激しいバトルを繰り広げると、ライコネンは順位を守り切って最初のピットに向かいます。

そして、耐え忍んだこの2周が、後に優勝へのチャンスをもたらすことになるのです。

 

ハミルトンのタイヤに異変!そして思わぬライバルの出現

 

©ChikaSakikawa

 

ソフトタイヤに交換しトップを追いかける形となったライコネンは、ファステストラップを刻みながらギャップを縮めにかかります。

ハミルトンはイタリアGPから続く5連勝に向けて好タイムを刻み、周囲より1回ピットストップが多い2ストップ作戦で、首位をキープするべくレースを支配。

しかし、レースも折り返し地点を過ぎた32周目頃から、突如ハミルトンのペースが落ち始めたのです。

タイヤ交換直後の猛プッシュとライコネンとの激しいバトルにより、ハミルトンのリアタイヤにブリスター(オーバーヒートによりタイヤ表面に気泡ができること)が発生。

これをきっかけに、2台の間にあった17秒の差は、わずか5周で9秒まで縮まります。

それに焦ったハミルトンは2度目のタイヤ交換に向かうと、ライコネンは再び首位に浮上。

これで大きく流れはライコネンに傾いたかと思われましたが、彼の背後には18番手から猛追劇してきたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が迫っていたのです。

 

三つ巴となった優勝争い!最後までスキを見せなかった”アイスマン”

 

©ChikaSakikawa

 

ピットストップで再び後退したハミルトンでしたが、まさに執念の走りとも言える猛追を見せ、前を行く2台に対し1秒以上も速いペースで勝利に望みを繋ぎます。

そして、レースも残り10周となる終盤で、首位ライコネン、2番手フェルスタッペン、3番手ハミルトン、この3名が2秒間隔で連なり1つのミスが命取りになる神経戦が繰り広げられたのです。

トップを走るライコネンはペースをキープしながらクリアラップを激走するも、フェルスタッペンもタイヤの消耗を感じさせないドライビングを続けます。

その後レースも残り7周となった49周目には、3者がDRS圏内に入る1秒以内での攻防となり、互いにプレッシャーを掛け合う緊迫した状況に。

そして、残り3周となった54周目、ここでハミルトンがブレーキングで仕掛けると、フェルスタッペンのブレーキングの間合いががほんの一瞬乱れ、レコードラインを外れるなど、低速コーナーが続くセクター3でドッグファイトを展開し、並んだまま高速のターン18へ突入。

フェルスタッペンのディフェンスにより今度はハミルトンがコースオフを喫するも、順位は変わらず。

これは、両者が果敢に攻めた結果であり、ミスとは言い切れないものでしたが、ライコネンはアイスマンのニックネームに相応しい冷静なドライビングを続けます。

そして守りの走りに徹しながらも、後続との差を広げて最終ラップへ突入していきました。

 

フェラーリを去る男がついにハミルトンを止めた!

 

©Shunsuke Kawai

 

2013年シーズン開幕戦オーストラリアGP以来のトップチェッカーを受けたライコネン。

2014年にフェラーリにカムバックしてからは初となり、実に113戦振りの優勝は苦難の時期を経て掴んだものとなりました。

ウィニングランでは達成感を感じているかのようにHALO(頭部保護システム)に片手を置いて、表彰台ではサングラス越しにチームスタッフに笑顔も見せるシーンも。

この勝利によってハミルトンの連勝は4度でストップし、またチャンピオンの決定も次戦メキシコGP以降に持ち越しとなります。

しかし、関係者ならほぼ全員が知っているその事実をライコネンは知らなかったようで、ハミルトンに「チャンピオン獲れたの?」と質問するなど、レース後にも彼らしいエピソードを残してアメリカGPは幕を閉じました。

 

まとめ

 

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Win and souvenirs for the family!

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フェラーリでは残り4戦となったアメリカGPで悲願とも言えるフェラーリ復帰後、そして父としても初優勝となる通算21勝目を挙げたライコネン。

彼のF1でのキャリアはまさにスターと呼べる華々しいものですが、この勝利は毎年のように引退が噂されるなど苦しい時期を乗り越えて掴んだ1勝でもあります。

トップ争い以外でも白熱した戦いが繰り広げられていましたが、こうした見応えのあるレースをクリーンなバトルで制することが多いのも、彼の人気の理由かもしれません。

来季からはザウバーへの移籍が決定しており、優勝を争う機会こそ減ってしまうかもしれませんが、来季のザウバー・アルファロメオも、彼の手にかかれば楽しみな存在になりそうです!

 

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