2018年10月19日~21日に栃木県にあるツインリンクもてぎで開催された、MotoGP日本グランプリ。そのmoto3クラスに、同大会唯一の女性ライダーがワイルドカード参戦を果たしました。彼女の名前は、岡崎 静夏。全日本ロードレース選手権 J-GP3クラスで活躍する、日本のトップライダーの1人です。彼女はいったいどんな想いも持ち、どんな戦いを繰り広げたのでしょうか。

 

©ChikaSakikawa

 

岡崎静夏 選手 プロフィール

 

©ChikaSakikawa

 

プロフィール


名前:岡崎 静夏 (おかざき しずか)

身長:159㎝

所属チーム:Kohara Racing Team

レース歴


2017年:全日本ロードレース選手権 J-GP3 ランキング15位

2018年:全日本ロードレース選手権 J-GP3 参戦中

ロードレース世界選手権第15戦 Moto3  23位

©ChikaSakikawa

 

10歳の時に弟の影響でポケバイレースに出たことをきっかけに、レースの世界に夢中になった岡崎選手。

その後、MFJ(日本モーターサイクルスポーツ協会)が主催する、MFJロードレースアカデミーに入学し、本格的にロードレースの世界に進みます。

そして、現役高校生ライダーとして注目を浴びると同時に、女性限定の選手権であるレディースロードレースでシリーズチャンピオンを獲得するなどメキメキと頭角を現し、現在の全日本ロードレース選手権J-GP3クラスにステップアップ!

2016年にはロードレース世界選手権(MotoGP) moto3クラスにワイルドカード参戦を果たすなど、様々な挑戦を続けています。

そんな彼女が今年(2018年)、2度目のワイルドカードに挑戦!!

挑戦するに至った経緯から、世界を経験して得たものなど、その全貌を聞いてきました。

自身2回目にして最後のワイルドカード参戦

MotoGPへのワイルドカード参戦について

©ChikaSakikawa

今回、ワイルドカード参戦のメンバーが一旦発表された後での追加参戦という形での参戦発表となりましたが、発表に時間がかかったのは何故ですか?

 

最初にワイルドカードで出場できるかの打診をしたのですが、ランキング順位的に岡谷 雄太選手(現在ラインキング2位)、福嶋 佑斗選手(現在ラインキング8位)が出るという事が知らされて、今年は無いと諦めていたら、岡谷選手が出場をキャンセルしたそうで、「まだやる気はあるか?」という話になりました。もちろんやる気はあったのですが、マシンの準備とか、エンジンが海外から送られて来たりするので、そういうのが間に合うのかどうか。

他にも、メーカーから買わなきゃいけないパーツの注文が間に合うのかなどを監督に相談したんです。

そしたら、「それは何とかする!」と言ってくれて。

1回諦めちゃってるから手配とかもまったくしてない状況で、そこから間に合うかどうかという所だったんですよ。

 

あと、実はワイルドカードで出場できるという知らせが届くのが、motoGP.com(MotoGPの公式サイト)で発表があるのと同じタイミングなんです。
前回出た時は、バイク好きの女の子がTwitterにワイルドカード参戦のメンバーが発表になった事を書いていたので、その女の子にメッセージを送って、「それどこで見たの?どこデータ?」と聞いてみると、「motoGP.comです。」と返信が来て、「あ。出れるんだ。」と、そのタイミングで知りました(笑)

今回も「まだやる気はあるか?」って聞かれた後に、「やる気はあります!!」と返事はしていましたが、審議中になっていて・・・。

でも、motoGP.comでの発表が来るか、連絡が来るかどっちが先か分からない事が分かっていたので、ひたすらmotoGP.comをチェックしてました。

アクセス数を一人で稼いでたと思います(笑)

それから連絡がきたと思ってサイトを見たら発表されていたので、監督に連絡したという流れです。

 

2016年に1度ワイルドカード参戦を果たしてから2年越しの挑戦となりましたが、去年もワイルドカードの申請はしていたのですか?

 

去年は全日本で走っていて、雨での転倒がすごく多かったので、雨での自信がまったくなく無くなってしまって・・・。

もし雨が降ったら無理だなという意識もあったし、ドライでもその前の年を超えるほどのスキルアップを感じられなかったので、ワイルドカードは申し込みもしませんでした。

たまたまエントリーが誰もいなかったから、申請を出したら出れたかもしれませんが・・・。
当時の状態で申し込んでも、前回を超えられる気がしなかったので。

今年は、全日本の開幕戦からトラブルがちょこちょこあって、ランキング的にはあまり上にはいけていませんが、自己最高位をつくばで更新したのもあり、少しはトップグループにからめるレースができてきたので、現役のMotoGPレギュラーライダーにちょっとでも絡めるというか、ついて行けたりするんじゃないかと思ってエントリーしました。

ランキング的にどうなるか分からなかったけど、年齢的にも26歳までしかエントリーができないので最後のチャンスで。

監督も「最後だから経験するだけしてみれば?」と言ってくれたので、エントリーを決めました。

 

公式予選を終えて

©ChikaSakikawa

 

今回はどんな公式予選でしたか?

 

目標タイムが2分1秒台だったのですが、全然届かないどころか自己ベストも出せず、全日本でのベストの方が速いぐらいのタイムしか出せなくて、反省と言うか悔しいというか、複雑な気持ちです。

色々と考えすぎてしまっているのかな?というのが少しあって・・・。
セッティングの事とか、タイムを出したい出したいという気持ちが焦りになっていて、きちんと落ち着いて走れていない感じです。

コーナリングにしてもブレーキングにしても、ちょっと突っ込みすぎたりとか、全日本の時みたいにちゃんとインに寄れていない。

例えば全日本の時はゼブラの上に膝がくるようなポイントも、少しイン付きが甘かったり、そういうところがタイムが出ない原因でもあるのかな?と思います。

 

今回の日本グランプリで唯一の女性ライダーですが、それについては何か意識はしていますか?

 

あまり意識はしてないです。というか、それを考えている余裕が無い感じですね。

今、周りが見えていないんですよね。

思うように走れていないし、もっとこう攻めたいのにとか、自分の状態とバイクの状態の事ばかり考えているので・・・。

自分の事さえも客観的に見れていないぐらい、他の事を考えている余裕が無い事に今質問されて初めて気付いて、良くないなと思いました。
いつもはもうちょっと、周りが見えているんですよ。

そういう余裕の無さも、タイムが出ない焦りとリンクするかな?と思います。

 

前回はもっとできたという記憶があるので、前よりも自分ができていないという事実が・・・とはいっても、もちろんエンジンも借りているので状態も違いますし、同じパーツも使っていないので、比べられない事なのですが、多分、前回よりもよくなってないといけないという焦りかな?というのが少しあります。

 

決勝レースを走り終えて

©ChikaSakikawa

 

決勝は、どういうレースになりましたか?また、岡崎選手にとってワイルドカードに挑戦する事の意味は?

 

決勝はやはりGPライダーには全然絡めないまま、1人旅になってしまいました。

とても悔しいです。

私にとってのワイルドカードに挑戦する意味は、少しでも自分の走りをレベルアップさせるため‼

同じと言っても少し違いますが、moto3、J-GP3クラスと言う同じ排気量で戦っている世界選手権レベルのライダーから少しでも技術を盗みたいと思っています。

彼らのペースを自分のものにしたいというか・・・。

世界に挑戦して戦ってみたかったというのも、もちろんあります。

でも、戦えるレベルじゃない事を痛感して・・・。

今回も自分のタイムが全然届かない事が明らかになった時点で、少しでも世界選手権のライダーから学んでやろうという気持ちで走りました。

 

今回、明確に学べた事はありますか?

 

バイクの走らせ方ですね!

根本的に自分はメリハリの無い走りをしていて、周りのみんなにも、もっとメリハリを付けろと言われていたのですが、具体的にメリハリを付けようと思っても、どうすればいいのか上手くいかなくて悩んでいたので・・・。

 

でも今回Moto3のライダー達と一緒に走ってみて、こうやって走るためにはバイクをこうして欲しいんだ!という事に気付けて。

でもバイクをメリハリがある走りに対応させるためには、自分がきちんとメリハリのある走りをしなくてはいけないとか、そういう部分を自分でキチンと考えてセッティングして、そのセッティングに合った乗り方ができるようになったら、全日本での走りも良くなるんじゃないかな?と思います。

©ChikaSakikawa

 

世界の舞台で走ってみて、実際に感じた世界と国内との違いはありますか?

 

やはり、ライダーのレベルが全然違うと思います。

もちろんマシンも違うし一概には言えませんが、勢いが違うというか・・・。

一緒に走っていても、結構コースアウトギリギリのところまで何回もつっこんで限界を確かめたりしているので、やっぱりそういう所がGPライダーってすごいなと思いました。

 

全日本のライダーはみんな、あまり危険を冒すような事はしないというか、一緒に走っていても日本のライダーの方が優しいなと思います。特に抜き方とか。

moto3のライダーというか海外のライダーは、「私がここにいる事が見えてる??」と心配になるようなラインで抜いてくるので。

我が道を行くというか・・・自分のラインをここと決めたらそこに来るので。

でも国内は、そんなことはしません。

 

どちらもクリーンと言えばクリーンなのですが、世界を走っている彼らはそれが普通。
自分がそれを怖いというか危ないと感じるのは、マシンコントロール技術の差なんだろうなと思います。

彼らにはそのペースでそのバトルをすることが普通で、回避できる自信があるからそれができるんです。

 

全日本の最終戦に向けて一言

 

2年前にワイルドカード参戦した後の最終戦、鈴鹿テストの初日の1本目の3周目ぐらいで、少し攻めすぎて転んだんですよ。
3コーナーを全開で曲がって転んで・・・。

でも、その時は何の疑いも無く曲がれる事が見えたんです。

だから曲がれると思って曲がったら、曲がれなくて転倒してしまいました。

 

多分、GPの雰囲気やこのペースを経験してその感覚になっていたのですが、そこまで技術が一気に達したわけではなかった。

それを今年は冷静に理解して、ペースアップはしたいけど、いきなり勢い余った事はしないように気を付けつつ、表彰台を狙って行きたいと思っています。

 

まとめ

 

©ChikaSakikawa

 

自身2度目、最後のMotoGP 日本グランプリ moto3クラスへの挑戦を終えた岡崎選手。

ワイルドカード参戦は、普段乗り慣れたマシンとは別のマシンで世界レベルに挑戦する、前提条件だけを見てもかなり不利な戦いとなります。

もちろん、世界中のMotoGPファンが見守る中で、満足な走りができる保証もありません。

そんな大舞台に2度も挑戦し、アグレッシブな走りで完走を果たした岡崎選手の向上心と心の強さに感動したファンも多いのではないでしょうか。

岡崎選手の次のレースは今週末!!鈴鹿サーキットで開催される、全日本ロードレース選手権の最終戦。

世界の走りを経験し、確実な進化を遂げた彼女の走りに是非注目してくださいね。

 

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