全日本ロードレース選手権に参戦中の加賀山就臣選手や小室旭選手を筆頭に、各クラスで1台ずつゼッケン『71』を付けて戦う日本のトップライダーたち。彼らはあるプロジェクトに賛同し、71番を背負ってレース活動を行っています。そんなライダー達が賛同する『プロジェクト71』とは、一体どんな活動なのでしょうか?
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日本のロードレースを支える縁の下の力持ち!
『プロジェクト71』とは、大阪府大東市に本社を置く昭和電機株式会社が2018年から開始した、モーターサイクルスポーツに対して行なっている新しいかたちの支援活動です。
ロードレースファンならご存じの方も多いと思いますが、昭和電機グループは社会貢献の一環として積極的にモーターサイクルスポーツへの支援活動を行っている企業なのです。
『プロジェクト71』について紹介をする前に、まずはその支援活動の沿革に触れておきたいと思います。
昭和電機グループは、2014年から MFJ 全日本ロードレース選手権シリーズに『ミストレーサwithHARC-PRO』として参戦を開始。
5年目となる2018年シーズンは『Mistresa RT HARC-PRO』として、MFJカップシリーズJP250クラスに赤間清選手、全日本ロードレース選手権シリーズST600クラスに上原大輝手が参戦中です。
また、2017年度より『若手育成プロジェクト』として全日本ロードレース選手権に参戦中の有限会社ハルク プロのオフィシャルチームと正式にコラボレーションを行い、若手ライダーの支援・育成にも力を入れています。
その他にも、元WGPライダーの青木拓磨選手がプロデュースするミニバイクの耐久レース『レン耐』をサポートしており、参加者にヘルメット乾燥機やレーシングスーツ乾燥機などの設備を提供したり、さらには季節にあった飲み物や食材を差し入れるなど、きめ細やかなサポートを行っています。
また『鈴鹿8耐』や『もてぎ2&4レース』など猛暑の時期に開催されるレースでは、昭和電機グループのサーキュレータファン『ウインドレーサー』や、ポータブルファンを多くのチームに提供し、ピット内の空調管理にも貢献しているのです。
そんな昭和電機グループが始めた新しいモーターサイクルスポーツ支援プロジェクト、『プロジェクト71』とは、一体どんなプロジェクトなのでしょうか?
レースを観に来る人を、1人でもバイク好きにする試み
ストレートを、レーシングサウンドを響かせながら250km/h以上で疾走するロードレースマシン。
コーナーでは、カラフルなヘルメットや皮ツナギで装備したライダー達が独特なライディングフォームで競い合い、次々に駆け抜けていきます。
迫力のあるエキゾーストノートや焼けるオイルの匂いなど、ロードレースの醍醐味は人間の五感で感じられる部分が多くを占め、本当の魅力はサーキットに足を踏み入れないと分からないものがほとんどです。
そのため、実際にモータースポーツの楽しさを肌で感じてもらおうと、昭和電機グループは2017年から、全日本ロードレース選手権に述べ1500名以上のユーザー(グループの顧客)を招待し、ロードレース全体を盛り上げてきました。
その際に実施したアンケート結果から、招待客のほとんどが”どちらかというとバイクがもの凄く好きな訳では無い”という実態と、さらに8割超の方が”ロードレース初観戦である”という、厳しい現実を知ることになるのです。
そこで、「ロードレースをもっと好きになってもらい、1人でも多くの人たちにサーキットへ足を運んでもらうにはどうしたら良いか?」など、ロードレースをさらに盛り上げるためのポジティブな悩みが発生します。
そして、「応援するライダーを各クラスごとに分かりやすく”1名ずつ”作ってみたら応援したくなるのではないか?」という発想が生まれたそう。
こうして『ゼッケン71』を装着したマシンで参戦する選手を全クラス応援してみようという画期的な試みがスタートしました。
これはチームはもちろんのこと、メーカーやクラスの枠を超えて各クラス1名のライダーに『ゼッケンナンバー71』を装着したマシンでレースに参加してもらい、”観戦者”に分かりやすく楽しんでもらおうという前例のない取り組みなのです。
プロジェクト71の活動内容
それでは『プロジェクト71』の具体的な活動内容について、紹介したいと思います。
応援席の確保
プロ野球やJリーグの試合の様に、各サーキットでグランドスタンドに応援席を設置し、全クラスの『71番』ライダーに、一体感のある声援を送るなど応援を目一杯楽しんでもらう。
ノベルティの配布
ライダーがサインできるような大きさの選手名と顔が一致するように工夫されたノベルティポスターや、プロジェクト71のステッカーを作成して招待ユーザーに配布し、ピットウォーク時に、プロジェクト71賛同ライダーのサインをGETしてもらう。
ピットウォーク時の交流
ピットウォークに配布した71Tシャツを着て参加し、プロジェクト71賛同ライダーとの親交をより深めてもらう。
懇親会や交流会
サーキット場内の料亭やVIPルームで昭和電機グループの招待ユーザーとプロジェクト71参戦ライダーとの懇親会や交流会を開催。
バイクレースの魅力についてなど、現役ライダーにしか聞けない内容の話を披露。
プロジェクト71賛同ライダー
JSB1000 加賀山 就臣選手 Team KAGAYAMA SUZUKI GSX-R1000
J-GP3 小室 旭 選手 Team P.MU 7C MIKUNI HONDA NSF250R
J-GP2 三原 壮紫 選手 TONERT・SYNCEDGE4413 HONDA HP6
ST600 上原 大輝 選手 Mistresa RT HARC-PRO HONDA CBR600RR
JP250 赤間 清 選手 Mistresa RT HARC-PRO HONDA CBR250RR
クラス | ライダー | チーム名 | メーカー | 車体 |
JSB1000 | 加賀山 就臣選手 | Team KAGAYAMA | SUZUKI | GSX-R1000 |
J-GP3 | 小室 旭 選手 | Team P.MU 7C MIKUNI | HONDA | NSF250R |
J-GP2 | 三原 壮紫 選手 | TONERT・SYNCEDGE4413 | HONDA | HP6 |
ST600 | 上原 大輝 選手 | Mistresa RT HARC-PRO | HONDA | CBR600RR |
JP250 | 赤間 清 選手 | Mistresa RT HARC-PRO | HONDA | CBR250RR |
プロジェクト71について、昭和電機からのコメント
今季、2018年シーズンの全日本ロードレース選手権も11月3日(土)、4日(日)に鈴鹿サーキットにおいて開催される、MFJ GRANDPRIXを残すのみ。
そこで最終戦での活動にも期待がかかる、プロジェクト71の活動母体である昭和電機株式会社にお話を伺いました。
昨年より、昭和電機グループではお客様を全日本ロードレース選手権に招待してきました。
その中で、「どのライダーを応援したらいいの?」「名前は分かってもゼッケン番号が分からない!」といった声が聞こえてきました。
そこで、応援するゼッケンナンバーを指定して、そのライダーをみんなで応援しよう!という考えが思い浮かんだのです。
そして、アジアロードレースで、グループ・タイ国現地法人(昭和電機タイランド)がサポートを行っていた加賀山選手に相談し、加賀山選手のゼッケンナンバーである『71』を使わさせていただき『プロジェクト71』を今年より発足致しました。この企画により、グループとして全日本ロードレースを応援して日本のレース全体を盛り上げていくのに、メーカーやチームを限定せず、幅広く貢献していきたいです。
この思いは加賀山選手も同じです。
プロジェクト71としての具体的な取り組みは、初戦のツインリンクもてぎで、昭和電機のお客様が中心とはなりますが、ライダー達に自らの抱負を観戦席で発表してもらいました。
その後のレースでも、ライダー達に一言ずつ挨拶をしてもらったり、サーキット内の会議室やVIPルームで懇親会を行いました。また、第6戦筑波サーキットではJSB1000クラスの開催がなかったので、応援席で加賀山選手に観戦解説を行っていただきました。
そういった活動を通して昭和電機のお客様はもちろんですが、観戦に来ていた一般のお客様にも
「昭和電機って何の会社?プロジェクト71とは?」と興味をもってもらえたと思います。
そして最終戦鈴鹿サーキットでは、”過去最高規模”でお客様を集客し、全クラスの『71ライダー』に大声援を送る予定です。
この応援をきっかけに全日本ロードレース選手権に注目が集まり、
多くのバイクレースファンが増えていけばと思います。
また、協力して頂いている5名のライダーには本当に感謝しております。
ありがとうございます。今後の展望としてはまだ未定ですが、来年以降も継続して面白い企画が出来たらと考えています。
2018年10月19日 昭和電機株式会社
まとめ
2018年10月21日(日)に、栃木県にあるツインリングもてぎで決勝レースが行われたMotoGP日本グランプリの観客動員数が、『過去最多の9万6425人』を記録してロードレースの人気が復活の兆しをみせています。
日本における新車オートバイ販売台数のピークであった1982年に、オートバイ免許取得年齢の16歳前後であった人達の年齢層は、すでに50代半ばを迎えようとしています。
世の中において中心となる世代の年齢層が、80年代から90年代に発生したバイクブーム世代と重なる時代をいよいよ迎え、潜在的にバイク好きな人間が多い世代が日本の中心となる時代が訪れたのです。
サーキットには、金銭的にも余裕が出来て自分たちの時間を持てる様になったバイクブーム世代のミドルエイジ達が、お気に入りのチームシャツを身にまとい観戦に訪れはじめ、ブーム世代の子供たち所謂ジュニアライダー達が全日本ロードレース選手権でも、実際に活躍しています。
そんな、ロードレースファンとしては楽しみな時代を迎える中、『プロジェクト71』がきっかけで生まれる新しいファン層や、バイクブーム世代の潜在的ロードレースファンが一緒になってサーキットに足を運び、全日本ロードレース選手権が今後、より一層盛り上がっていくことを願わずにはいられません。
また、昭和電機グループによる社会貢献の一環としてのモーターサイクルスポーツ支援活動は留まることを知りません。
グループの世界を見据えた活動の一環として、日本を飛び出してCEVスペイン選手権レッドブルルーキーズカップで戦っている、國井勇輝選手の所属チームへのサポートも今年から行っているそうです。
プロジェクト71の活動や賛同ライダーたちの協力により、全日本ロードレース選手権が再び全盛期の様な盛り上がりをみせ、その参戦ライダー中から、CEVスペイン選手権や世界選手権に挑戦するライダーが実際に現れるのも、そう遠くない未来なのではないかと期待するのはわたし一人ではないと思います。
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