1985年から1992年頃まで続いたバブル景気。ちょうどこの時期に、レーシング界で活躍したパステルブルーをチームカラーにしたレーシングチームを覚えていますか?その名はレイトンハウス。まさにバブル景気の申し子でした。
レイトンハウスとは?
レイトンハウスとは、バブル景気の時期に一世を風靡したレーシングチームで、スポンサーとなったアパレル会社の社名およびブランド名です。
もともと不動産業を営んでいた『丸晶興産』が、飛び込み営業先で知り合ったレーシングドライバーの萩原兄弟の要求に応じ、1984年秋からレーシングチームのスポンサーになった事が始まりです。
レーシングチームのスポンサーを開始した当初は、『丸晶興産』または子会社の『メーベル商会』のステッカーを貼ったカラーリングのマシンを走らせていましたが、レーシングチームのスポンサー名としてカッコよくないとの社内意見により、『レイトンハウス』という名前が挙がりました。
1991年アメリカGP(フェニックス市街地)イヴァン・カペリのドライブ / photo by Stuart Seeger
しかし、レイトンハウス名義でレーシングチームのスポンサーを開始した1985年後半には、『レイトンハウス』なるブランドも会社も存在していませんでした。
実体もないまま、名前だけが先行する形でスタートしたレイトンハウスでしたが、翌1986年には「メーベル商会」の社名を「レイトンハウス」に変更し、アパレル事業を展開。
ブランド名を「レイトンハウス」とし、レーシングチームカラーと同じパステルブルー(レイトンブルーと呼ばれます)をあしらった男性用衣料を販売、F1イメージをアパレル業界に反映させて、一躍人気ブランドに成長します。
しかし、1991年にはバブル景気が減速し、富士銀行より2,000億円もの不正融資を受けていたことが明るみになるたと、社長が逮捕されて会社は倒産。
レーシングチームも解散してしまいました。
レイトンハウスのレースマシン
レーシングチームとしてのレイトンハウスは、F1、全日本F2選手権、全日本F3000選手権、国際F3000選手権、全日本F3選手権、富士グランチャンピオンレース、全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権、ル・マン24時間レース、全日本ツーリングカー選手権と、当時の国内レースを中心に様々なカテゴリーに参加していました。
レイトンハウスのF1マシン
レイトンハウスは1990年のF1選手権に参加するにあたり、イギリスのレーシングカー専門メーカーのマーチを買収。
レイトンハウスの名前をつけて、『CG901』というF1マシンをデビューさせます。
エンジンはジャット製3.5リッターV8のEV型、ギアボックスは6速を搭載。
CG901は空力を最優先に設計されてフォルムは流麗でしたが、空力の影響を受けやすく、サスペンションセッティングに苦慮したため、戦績は芳しくありませんでした。
しかしCG901Bでは、フロアとディフューザーに改良を加えられ、1990年F1第7戦のフランスGPでは、最後までアラン・プロストが運転するフェラーリと接戦を繰り広げ、2位の成績を納めます。
そして1991年にはエンジンをイルモア製3.5リッターV10に換装し、CG911となりました。
レイトンハウスのル・マン参戦車
1989年のル・マン24時間耐久レースにも参戦していたレイトンハウス。
この時に持ち込んだ車両は、ポルシェ962Cでした。
1984年に開発されたポルシェ962Cは、グループCレギュレーションに則ったポルシェ956をIMSA-GTPのレギュレーションに合致するよう改良した車両です。
IMSA-GTPとグループCのレギュレーションはほぼ同一だったものの、安全性の面で大きな違いがありました。
photo by Nic Redhead
しかし、1987年にはグループCレギュレーションもIMSA-GTPに準じることとなり、ポルシェ956は出場できなくなります。
そこでポルシェ956の後継機となったのが、既にIMSA-GTPレギュレーションに合致している962の改良版、962Cでした。
エンジンは水平対向6気筒24バルブエンジンにツインターボを装着し、ミッドに搭載。
冷却方式は空冷式と、バルブヘッドのみ水冷式とした空水冷併用がありました。
まとめ
レイトンハウスはバブル景気に乗って事業拡大を図り、バブル景気の減速とともに不正融資が明らかとなり解散した、まさにバブルの申し子でした。
現代のレイトンハウスの商標は、スポーツウエアに残っているとのことです。
またクラシックレーシングカーとして、海外ではレースに出場しているようです。
海外のサーキットを訪れることがあれば、是非チェックしてみてください。
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