レースやダートラ(ダートトライアル)、ジムカーナにラリーと、モータースポーツには様々な競技カテゴリーがあり、競技が違えばサスペンションセッティングの味付けも大きく異なります。そこで今回は、経験なども踏まえて、各カテゴリーのサスペンションの違いを大まかに解説・比較します。
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レース:高いバネレートに高いダンパー減衰力
レース仕様の競技車両は、総じてバネレートやダンパーの減衰力が高い傾向にあります。
それは、バネレートを高くすることでロール量が減り、ダンパーの減衰力を強くすることでロールを早く収束。
コーナーリング時に車両がより早く旋回へ移ることを可能とするためです。
また、サーキット路面は基本的に凹凸が少ない綺麗な舗装路のため、段差での路面追従性などを考慮していないことも関係しています。
ダートラ:低いバネレートに圧側高めのダンパー減衰力
ダート路面でタイムを競うダートラでは、バネレートを低くしてダンパーの圧側減衰力を高くするのが定番です。
これは、未舗装路の路面ではストレートでもダンパーへの入力が激しいので、ダンパー圧側の減衰力を高くして安定させ、コーナーリング時に程よくロールするようにバネレートを低くしています。
また、ダンパーのストローク量が多いのも特徴です。
ジムカーナ:低いバネレート、伸び側のストローク量が少ない
意外にも、サーキットと同様に舗装路で凹凸もほとんどないジムカーナですが、車両のバネレートは低く設定されています。
これは、コースの速度域が低いため、硬いバネが必要にならないからなのです。
また、ダンパーの伸び側のストローク量は少なく、伸び側減衰力の高さがその理由です。
ラリー:程よいストローク量と程よいバネレート
占有した一般道路(つまり公道)を使って行われるのがラリーです。
ターマック(舗装路)ラリーにおけるサスペンション特性は、程よいストローク量と程よいバネレートになります。
ターマック路面でありながらも、路面に凹凸部分があったり砂が出ていたり、場合によっては濡れている場合もあり得るラリー競技は、サスペンションに大きな入力があった時でも、しなやかにストロークさせることが大切です。
バネレートに関しては、純正並みのレートにしている人もいれば、純正よりも高いレートにしている人もいるといったように、好み(またはセッティングの方向性)で分かれます。
ターマック・ラリーのサスペンションの乗り心地は良い
上記で紹介した4つの競技カテゴリーのサスペンション特性(傾向)を通じてわかることは、街中を走っている自動車のサスペンション仕様に最も近いのが、ラリーのサスペンションであるということです。
筆者は、各カテゴリーの車両で街乗りをしたことがあるのですが、ターマックラリー向けサスペンションが最も乗り心地の良い足に仕上がっており、高速度域でも安定していました。
まとめ
カテゴリーによって走行するコースの特性・傾向及び求められる動きが異なるので、サスペンションに違いが生まれるのは当然です。
さらにはアライメント要素やブッシュ類、車高やロールセンターといった要素も関わってきます。
そのなかでも、ラリー車のサスペンションの乗り心地はかなり良いので、機会があればぜひ試してみてください。
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