2014年からスタートした、電気のF1ことフォーミュラE。アウディ、BMW、メルセデス、ポルシェ、日産など、各社がこぞってワークスチームを投入し、EV化社会に向けての開発競争の場として利用しています。東京都も誘致を計画しているというこのレースは、様々な仕掛けが用意され、誰もが楽しめる内容になっています。

出典https://www.nismo.com/jp/gallery/gallery-riyadh-round-2-gallery/

フォーミュラEとは?

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フォーミュラEは、都市部の大気汚染を緩和するために、完全な電気自動車を使っての市街地レースを開催する事を標榜し、2014年から開始されました。

エンジンを使わないため、騒音問題を気にすることなく市街地レースが開催できるということもあり、パリやロンドン、ニューヨークやローマといった大都市でレースが行われているのが特徴です。

レースではバッテリー容量が決まっているので、どのようにして最後までバッテリーを持たせるかが鍵となっており、ドライバーの腕と制御技術の両立が必要とされます。

現在使われている二世代目の車両”Gen2”は、まさに近未来のフォーミュラカーと言えるようなデザインで、先進性のアピールに貢献。

車体はワンメイクですが、モーターやバッテリーの開発は自由に行うことが可能なことから、EV化に積極的な自動車メーカーが、こぞってワークス参戦をしています。

2019-20シーズンには、アウディ、ポルシェ、BMW、日産、メルセデス、ジャガー、DSと7チームものメーカーワークスが参戦し、そのEV技術を競っています。

EVの雄、日産が参戦中

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日本メーカーの中では、早くからEVに力を入れている日産。

EVの代名詞とも言えるリーフのサーキット仕様を開発し、EVをモータースポーツへ活用する方法を探っていますが、グループ企業であるルノーがフォーミュラE初年度から参戦しているため、競合を避けるために日産としては参戦していません。

しかし、2017-18シーズンをもってルノーが撤退する事になったため、日産が後を継ぎ、満を持して参戦を開始することに。

ドライバーはセバスチャン・ブエミとオリバー・ローランドの二人です。

元F1ドライバーであるブエミは、2015-16シーズンのチャンピオンであり、更にはトヨタのWECプログラムにも並行して参戦する今乗りに乗っているドライバーの一人。

昨シーズンは惜しくもランキング2位に終わりましたが、後半戦の勢いを考えると、今年のチャンピオン最有力候補と言えるでしょう。

有名ドライバーが多数参戦!

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フォーミュラEの特徴として、経験豊富な有名ドライバーと期待の若手ドライバーが多く参戦している点が挙げられます。

今回はその中から、日本でも人気の高いドライバーを紹介しましょう

フェリペ・マッサ

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F1出走272レース、優勝11回を誇るフェリペ・マッサ。

2002年から16年もの間F1に参戦し、特にそのキャリアの中でもフェラーリに在籍した8年間は、日本人レースファンにも印象深いのではないでしょうか。

2017年を最後にF1を引退したマッサは、2018-19シーズンよりヴェンチュリレーシングからフォーミュラEへの参戦を開始。

プライベートチームということもあり、ランキング15位に沈みましたが、モナコGPでは3位表彰台を獲得するなど、元F1ドライバーの意地を見せました。

今年からヴェンチュリレーシングがメルセデスのサテライトチームとなることもあり、去年以上の活躍が期待されます。

アンドレ・ロッテラー

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長年チーム トムスからスーパーGTやスーパーフォーミュラで活躍し、ル・マン24時間ではアウディのワークスドライバーとして2度の優勝を記録しているアンドレ・ロッテラー。

日本を愛し、フォーミュラEの日本開催を熱望するこのドイツ人ドライバーは、今シーズンはポルシェチームから参戦します。

過去2年は、表彰台は獲得するも優勝には至らず、3シーズン目の今年にかける思いはひとしお。

開幕戦では、早速2位表彰台を獲得しています。

ストフェル・バンドーン

出典https://www.mercedes-benz.com/en/eq-formulae/our-season/first-podium-in-first-race/

マクラーレン ホンダから2017年と2018年の2年間、F1に参戦していた27歳のベルギー人ドライバー、ストフェル・バンドーン。

2015年にGP2チャンピオンを獲得し、2016年に日本のスーパーフォーミュラに参戦した際はルーキーながら2勝をマーク。

日本のファンにその速さを印象付けました。

F1では車に恵まれず、結果を出すことが出来ませんでしたが、フォーミュラEは全員マシンの基本性能は同じ。

初年度は市街地に苦戦してのリタイアが多かったものの、今シーズンはF1でも圧倒的な強さを誇るメルセデスチームから参戦。

開幕から2戦連続で3位表彰台を獲得しています。

今シーズンは、2019年F2チャンピオンのニック・デフリースとタッグを組み、台風の目となるのではと期待されています。

レースを盛り上げる仕掛け

出典https://www.youtube.com/watch?v=HVwoPNgOtKs

フォーミュラEには、レースを盛り上げるユニークな2つのシステムが採用されています。

一つは初年度から採用されている”ファンブースト”、もう一つが昨シーズンから採用された”アタックモード”です。

ファンブーストは、事前にSNSの人気投票で選ばれた5人のドライバーだけが一時的に使えるパワーアップモード。

レース後半でしか使えない制限があり、バッテリー容量が低下する中で、どのように上手く使うかが鍵になります。

アタックモードは、コースの指定された区間を通過することで、パワーアップモードが使用可能になるという、まるでレースゲームのようなシステムです。

ただし、指定された区間は、そこを通るとタイムロスするような場所に指定されているので、こちらも上手く使わないと逆に損をすることも。

この2つが組み合わせられることで、ゲームのようなエキサイティングなレースが展開されています。

まとめ

出典https://www.jaguar.co.jp/jaguar-racing/panasonic-jaguar-racing/the-car/index.html

年々その人気が高まっているフォーミュラE。

欧州では急速に電動化へのシフトが進んでいることもあり、今後も参戦メーカーが増えることが予想されています。

国内ではまだ注目度は低いですが、都市型モータースポーツということもあり、今後の日本開催も期待されるところ。

ドライバーの腕と、メーカーの技術力が試される、まさにワークス戦争と言っても過言ではないこのレースを是非一度、観戦してみてはいかがでしょうか。

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