スズキが送り出したモンスターマシンRG500ガンマ。WGP(ロードレース世界選手権|現:MotoGP)500ccクラスに出場していたスズキワークスマシン、RGΓ500のレプリカモデルです。そんなRG500ガンマは公道でGPマシンに乗るという、ユーザーの夢を叶えた2スト最速マシンでした。
掲載日:2019.12/2
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2ストマシンの最高峰だったスズキ・RG500/400ガンマ
RG500ガンマが生産終了になってから30年以上が経過し、現在では中古車相場で約200万円もする超希少車。
カワサキ Z1やホンダ CB750FOURと肩を並べる人気絶版車となりました。
2ストの相場は、2ストモデルが一気に生産終了になった2000年あたりから、うなぎ上りに高騰していますが、そのなかでもRG500ガンマは特別。
ヤマハRZV500と同じくビッグ2ストレプリカを牽引してきたバイクのため、2スト好き・レプリカ好きにとっては、合法でGPマシンを公道走行で走らせることができる夢のようなバイクだったのです。
さらに、中型免許で乗ることができたRG400ガンマの存在も偉大です。
当時は大型二輪免許取得が非常に難しかったので、普通二輪免許で乗れるRG400ガンマは、ニーハンよりもさらなる速さを求めるライダーには恰好のバイクで、ホンダ NS400やヤマハ RZ350と競い合う、2ストレプリカバイクの最高峰といえるモデルです。
スズキ・RG500ガンマ/RG400ガンマとは
RG500ガンマは1985年から1987年まで生産された、2ストローク500ccエンジン搭載のレーサーレプリカバイクです。
1984年9月のIFMAケルンショーで発表され、普通自動二輪免許で乗ることができる400ccのRG400ガンマも同時に発売されました。
2年連続チャンピオンを獲得したGPレーサー・RG500ガンマの公道仕様
RG500ガンマは、スズキがWGP500ccクラスに参戦する際に開発したワークスマシンRGΓ500を意識して作ったモデルです。
RGΓ500は1981年に投入され、その年マルコ・ルッキネリ氏のライディングによりシリーズチャンピオンを獲得。
翌1982年は、フランコ・ウンチー二氏がチャンピオンに輝きました。
当時、ヤマハ YZR500、ホンダ NS500とチャンピオン争いを繰り広げ、2年連続チャンピオンを獲得。
レーサーRG500ガンマは世界最速マシンとして称賛され、それを公道仕様にしたレーサーレプリカRG500ガンマ/400ガンマはライダーにとって憧れのバイクでした。
それは驚異的なハイスペックに、恐ろしくて乗れないという声もチラホラ聞こえりほどです。
GSX-R750よりも強烈な加速感
RG500ガンマはスズキがワークスマシン直系の市販車を目指して作ったため、スクエア4気筒のシリンダー配列、ボア×ストローク、ロータリーディスクバルブ、アルミフレームなど、多くがRGΓ500と同じ設計です。
エンジンの馬力は国内仕様では64PSに収められていましたが、海外仕様は95PS。
また、乾燥重量は156kgと軽量だったため、同時期に登場したGSX-R750が乾燥重量179kgに馬力107PSを発揮していましたが、同等のパワーウエイトレシオに2スト特有のパワーバンド回転域での加速は強烈でした。
スズキはRG500ガンマを開発するにおいて『高性能』『優れた操作安定性』『快適な乗り心地』『魅力的なスタイリング』の4つの哲学を元にし、スクエア4気筒エンジンを含めた11の最新技術を詰め込みました。
これほど、お金をかけて生産されたため、ホンダ CB1100Rやドゥカティ 900MHRのように限定販売でとてつもない高額設定になってもいいはずですが、価格はRG500ガンマで75万9000円、RG400ガンマで65万9000円です。
当時は1985年型RG250ガンマ ウォルターウルフカラー仕様(G21B型)が49万9000円だったため、プラス25万で500ccが買えてしまうのは、かなりのバーゲンプライスで、発売直後から予約が殺到。
しかし、価格に似合わないオーバースペックなバイクが多数登場した時代で、RG500ガンマ/400ガンマも生産すればするほど赤字になっていたのか、わずか2年で生産終了となりました。
レジェンドライダー原田哲也選手がT.O.TにRG500ガンマで出場
11月9日・10日に開催される筑波サーキット テイストオブツクバ 神楽月の陣ZERO-1クラスにSPLガンマ3台体制での出走が決定しました!
ライダーは、弊社代表の蛭田、Joy-Oneレーシング水沼義隆選手。そしてなんと元GPチャンピオン、原田哲也さんが出走されます!!#原田哲也 #テイストオブツクバ pic.twitter.com/ZtG846M51s— マジカルレーシング (@magicalracing) October 29, 2019
2019年11月9・10日に筑波サーキットで開催されたテイスト・オブ・ツクバ・神楽坂(T.O.T)に、二輪車・四輪車のパーツ開発や身体障害者装具部品の企画提携をするマジカルレーシングのRG500ガンマが出場しました。
T.O.T出場に投入されたマシンは、代表・蛭田貢氏が所有するRG500ガンマのフルチューンモデル。
レジェンドライダーの原田哲也氏のライティングで参戦しました。
原田氏が500ccのマシンに乗るのは、2002年のMotoGPクラスにプラマックレーシングから出場した際のホンダNSR500以来。
スズキのバイクに乗るのは、15歳の時に乗ったRG50ガンマ以来だそうです。
原田氏が参戦した一番の目的は、T.O.Tのレースで順位を競うのではなく、気持ちよく走ること。
決勝レースでは、5周目にギアトラブルでリアタイアとなりましたが、原田氏を含めたチーム全体でレースを楽しんだようです。
スペック
RG500Γ | RG400Γ | ||
---|---|---|---|
型式 | HM31A | HK31A | |
全長×全幅×全高(mm) | 2,100×695×1,185 | 2,100×695×1,185 | |
ホイールベース(mm) | 1,425 | 1,425 | |
シート高(mm) | 770 | 770 | |
乾燥重量(kg) | 156 | 154 | |
エンジン型式 | M301 | K301 | |
エンジン種類 | 水冷2ストローク・スクエア4気筒ロータリーピストンリードバルブ | 水冷2ストローク・スクエア4気筒ロータリーピストンリードバルブ | |
排気量(cc) | 498 | 397 | |
内径×行程(mm) | 56.0×50.6 | 50.0×50.6 | |
圧縮比 | 7.0:1 | 7.2:1 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 47[64]/8,500 (海外仕様:70[95]/9,000) |
43[59]/9,000 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 57[5.8]/7,500 (海外仕様:72[7.3]/9,000) |
48[4.9]/8,500 | |
トランスミッション | 6速 | 6速 | |
タンク容量(ℓ) | 22 | 22 | |
タイヤサイズ | 前 | 110/90-16 | 110/90-16 |
後 | 120/90-17 | 120/90-17 | |
新車販売価格 | 75万9,000円 | 65万9,000円 |
まとめ
RG500ガンマはライダーに2スト500ccマシンの楽しさ、そして加速感の恐ろしさを体験させてくれたバイクです。
現在、MotoGPマシンの技術を多数採用したリッタースーパースポーツが登場していますが、やっぱり2ストは別格と考える人は多いでしょう。
「常にウイリーしっぱなし」、「まっすぐ走らない」など、さまざまな武勇伝が聞かれますが、それも公道向け国産2スト最速と呼ばれた所以でしょう。
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