ホンダは650ccエンジンを搭載したミドルスポーツモデル『ホンダ CB650R』を発売しました。CB650Fのフルモデルチェンジに伴い登場した、CB1000Rをはじめとする新世代CBシリーズの新モデル。キビキビとしたハンドリングと、大幅に改良された650cc並列4気筒エンジンの組み合わせにより、街乗りからツーリングでの高速クルーズでも乗りたくなるスポーツネイキッドに進化しています。
掲載日:2019/07/06
CONTENTS
次世代CBシリーズに新モデル!ホンダ・CB650R発売
ホンダ 新型CB650Rは、2018年11月6日〜11日にイタリア・ミラノで開催された『EIMCA2018(ミラノモーターサイクルショー)』で世界初公開された、海外をメインに販売されるグローバル戦略車ですが、日本での正規販売も決定しています。
開発キーワードは『都市のライフスタイルに興奮をMiddle Sports Roadster』。
60年以上の歴史を持つCBブランドの最前線をいくモデルとして、ネオスポーツカフェコンセプトを具現化しつつ、CBの伝統的なスタイルもいくつか継承されました。
名車CB400FOURをオマージュした、流れるようなエキゾーストパイプや丸目1灯のヘッドランプなど、CBのアイデンティティとも言えるアイコンを残しつつ、現代のトレンドへとリデザインされているのです!
CB650Fからデザインを一新させ、CBらしさをアップ
CB650Rは、ベースのCB650Fと基本コンポーネントは同じに見えますが、フレームやエンジン、足回りなどのほとんどのパーツは一新され、ホンダ初のCBシリーズ『ベンリィCB92スーパースポーツ』から数えて60年目の節目にふさわしい進化を遂げています。
CBシリーズにとってアイコニックな丸目ヘッドランプもLED化され、ベゼルとHondaのロゴプレートをブラック基調に仕上げました。
さらに、新世代CBシリーズに共通化されるマスの集中化も図られ、ショートテール化されたリアまわりや、コンパクトにまとめられたエキゾーストパイプ、サイレンサーなど、パーツ車体の重心付近へ集中させて、より凝縮されたプロポーションとなっています。
今までよりもスポーティーな操作性を実現
ホイールはCB650Fの6本Y字型スポークから、5本Y字型スポークの新デザインとなり、フロントで440g、リアで530g軽量化。
さらにフロントには、フリクションの低減を図り、新開発されたクッションオイルを採用した倒立フォークを搭載し、軽量化されたホイールと共に、バネ下重量の軽減を果たしています。
また、ブレーキにはラジアルマウントキャリパーが採用され、ブレーキディスクはCB650Fのφ320mmペータルディスクからΦ310mm真円ディスクに変更。
リニアなブレーキ操作ができるよう、改良されました。
クッション作動性の向上を求め、締結部をピロボール化されたスイングアームは、路面に対する車体追従性をアップさせました。
それに加え、街乗りでの操作性の向上をはかり、ライディングポジションの見直しを実施。
CB650Fからハンドル位置を下げ、ステップ位置を上げて後方に移し、ステップへの荷重をかけやすく、軽快で扱いやすいよう、改良されました。
新開発エアクリーナーにより高回転型のパワフルエンジンへ変貌
エンジンはCB650Fから5PSアップの最高出力66kW[90PS]を発揮。
ピークパワーはエンジン回転数で1,000rpm高い12,000rpmで発揮されるため、高回転型のパワフルなエンジンになっています。
さらに、7,000rpm辺りからの吹け上がりの良さを追求し、低回転のトルクは若干薄まっていますが、トルクの出方はスムーズで、グラフから谷がなくなった点も注目ポイントです。
また、エンジンヘッド周りは、バルブタイミングやバルブスプリング諸元を最適化。
カムチェーンの採用とバルブシートの材質変更によって耐久性を向上させました
そして、ピストン形状はピストン頭部の形状を変更され、着火性能の高いイリジウムプラグを採用することで、混合気をより効率よく燃焼させるように図られています。
エアクリーナーも新設計となり、エアクリーナーエレメントを搭載する角度を水平から20°立てることで、吸気をよりスムーズにファンネル側に流せる構造になりました。
さらに、エアクリーナーエレメントの開口面積を約1.7倍拡大し、吸気ダクトからファンネルに至るまでの吸気抵抗を低減。
ストレスなく空気を取り入れられるよう、改良が施されています。
また、フレッシュエアーを多く取り入れるために、従来のシングル吸気ダクトからツイン吸気ダクトに変更。
燃料タンク前側左右にシュラウンド一体型チャンバーを配置して、安定的に導風を促進し、チャンバー内の気圧を高めています。
さらに、エアクリーナーに送り込む左右吸気ダクトの先端部を2ピース化。
前方に加え後方からも吸気する構造になり、高回転域までストレスなくエンジンが回転してくれ、パワーフィール獲得につなげました。
マフラーはテールパイプ径を従来のΦ35mmからΦ38mmに拡大させ、排気の抜けを良くして吹け上がり感をアップ。
さらに、テールパイプ後端の角度を従来からさらに35.4°上向きにさせることで、ライダーが排気音を楽しめる構造になっています。
スペシャルなキャンディー塗装は豊かな立体感ある輝き
CB650Rのカラーラインナップに、特別なキャンディー塗装を採用した、赤が設定されています。
このカラーには、『次世代高輝度着色アルミフレーク』と呼ばれるベースコートを採用。
カラークリアをきめの細かい『ナノ顔料』とすることで、光の透過率を格段に向上させ、豊かな立体感を表現しています。
カラーラインナップは、キャンディークロモスフィアレッド以外に、マットベータシルバーメタリック、グラファイトブラックの2色がラインナップされています。
フレームはスチール製ツインスパーフレームは6kgの軽量化かつ高剛性化
フレームにはスチールを用いたツインスパー形状を採用し、ダウンドラフト式吸気レイアウトを可能にしました。
ピボットまわりはCB650Fでの鍛造プレートから、プレス成型品を組み込んだボックス構造に変更し、モナカのように閉じた形状の閉断面とすることで、軽量化と高剛性化を高次元で両立。
エンジンハンガーは、CB650Fの別体締め付け構造に対し、CAE解析を活用したシュミレーションと走行テストを繰り返し、不快なエンジン振動の低減に寄与する構造に見直され、軽量化も図られています。
また、シートレールはライダースペースをタイトな形状に絞り込み、ピボットプレートに接合される位置より上方に移動。
さらに、ステーの廃止やハーネスのコード類を短縮するなど改良が行われ、6kgの完成車重量の低減を実現しました。
安全性能の充実の装備
安全性能に関しては、ABSと56km/h以上で走行している時の急ブレーキで作動する、エマージェンシーストップシグナルを搭載。
前後の車輪速度差を検知して、エンジントルクを最適化。
リアタイヤの駆動力を制御して、スリップを抑制させる『HSTC(ホンダ セレクタブル トルク コントロール)』も採用され、強烈なエンジンブレーキを緩和させるスリッパ―クラッチも搭載されているため、滑りやすい路面走行時や、ブレーキングによる後輪の挙動を安定させる設計がなされています。
メーターは、CB650Fでは2眼タイプが採用されていましたが、CB650Rでは1画面とコンパクトにまとめられ、ギアポジションインジケーター、水温計、エンジン回転数のピークホールド表示、エンジン回転とリンクして変速タイミングを知らせるシフトアップインジケーターなどが追加されています。
スペック&価格
CB650R | ||
---|---|---|
車名・型式 | ホンダ・2BL-RH03 | |
全長×全幅×全高(mm) | 2,130×780×1,075 | |
ホイールベース(mm) | 1,450 | |
シート高(mm) | 810 | |
車両重量(kg) | 202 | |
タンク容量(ℓ) | 15 | |
エンジン型式 | RH03H | |
エンジン種類 | 水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ | |
総排気量(cc) | 648 | |
ボア×ストローク(mm) | 67.0×46.0 | |
圧縮比 | 11.6 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 70[95]/12,000 | |
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) | 64[6.5]/8,500 | |
トランスミッション | 常時噛合式6段リターン | |
タイヤ | 前 | 120/70ZR17M/C (58W) |
後 | 120/70ZR17M/C (58W) | |
WMTCモード燃費値(km/L)【クラス】 | 21.3【クラス3-2】[1名乗車時] | |
車両価格(税込) | ¥961,200- |
まとめ
今回のフルモデルチェンジでスポーティーな雰囲気と走行性能がアップされ、ワイディングもそこそこのペースで楽しめるようになりました。
そしてサーキットでは、限界付近まで攻めた走りに挑戦してみたくなるバイクに仕上がっています。
先代モデルは、欧州で大ヒットしていた海外専用モデル『CB600Fホーネット(前期:PC34型/中期:PC36型/後期:PC41型)』であり、のちにフルモデルチェンジでCB650F(RC83型)、そして今回のCB650Rとなったため、海外でもかなりのヒットが見込まれます。
そんなホーネットの進化版は、ミドルスポーツネイキッドの新次元を切り開いてくれそうです。
Motorzではメールマガジンを配信しています。
編集部の裏話が聞けたり、最新の自動車パーツ情報が入手できるかも!?
配信を希望する方は、Motorz記事「メールマガジン「MotorzNews」はじめました。」をお読みください!