多くのファンに惜しまれつつも生産を終了したヤマハSR400が、約1年の時を経て復活を果たしました。今年で生誕40周年を迎えるSR400は、厳しくなる排ガス規制をクリアし、従来と変わらぬスタイルでSR400ファンを納得させる復活劇を見せてくれたのです。
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排ガス規制をクリアし復活したヤマハ・SR400
平成28年に二輪車排出ガス規制が掲げられてから、多くの国産二輪車が生産終了を余儀なくされています。
特にヤマハでは、セロー、ドラッグスター400、XJR1300(国内仕様)など、ヤマハを代表するバイクが次々と生産終了になり、1978年から販売され続けて来たSR400も2017年9月1日に生産終了が発表されました。
そんなSR400といえば、登場した時から形を変えずに生産され続け、その独特なデザインと空冷4ストローク単気筒らしいエンジンサウンドで人気を博し、多くの根強いファンをもつモデルです。
しかし、エンジン設計が古いままで年々厳しくなる排ガス規制に対応が難しくなり、とうとう平成28年に二輪車排出ガス規制をクリアできずに生産を終了する事に。
それでもヤマハはSR400の生産終了を発表しつつ、次期モデルを開発していることを表明。
40年目にあたる今年の9月14日に、排ガス規制に適合させた新型SR400を11月22日に発売する事が発表されました。
ヤマハ・SR400とは
SR400は1978年にヤマハから発売されたバイクです。
エンジン排気量は399ccですが、発売当初は499ccエンジンを搭載したSR500もラインナップ。
日本の免許制度上、SR400は主に日本市場で販売され、2013年からは海外への輸出・販売をスタート。
SR500は、1978~1983年の間のみ日本市場にも導入されましたが、他国では1978~1999年の間にアジア・オセアニア、1978~1981年の間に北米で販売された海外向けモデルでした。
また、SR400はビッグオフロードバイクであるヤマハ XT500のエンジンとフレームをベースに開発され、登場時から変わらぬレトロなスタイルのデザインや、空冷単気筒エンジンの造形美などからファンが増え、その期待に応えるように年式が新しくなっても基本設計を変えることなく現在に至ります。
シンプルな作りや整備性の良さから、カスタムベースとしても人気が高く、ノーマル仕様以外にアメリカンハーレー、ボバー、スクランブラー、カフェレーサーなど、さまざまなスタイルにカスタムして楽しんでいるユーザーが多いことも、SR400ならではの魅力です。
平成28年二輪車関係排ガス規制をクリアさせた変更内容とは
2019年モデル SR400を登場させるにあたって大きな課題は排ガス規制をクリアする事でした。
平成28年の排ガス規制は、継続生産車に関しては2017年9月1日から適用され、規制値や測定方法は欧州の排ガス規制『EURO4』と基本的に同じもの。
規制内容はそれまでの規制値より格段に厳しくなっており、規制値は一酸化炭素(CO)で2.62→1.14、炭化水素(HC)で0.27→0.20、窒素酸化物(NOX)で0.21→0.07まで削減しなくてはならなくなりました。〈規制値単位:g/km〉
ヤマハは新規制に対応するために、O2フィードバック制御のFI(フューエルインジェクション)を見直し、蒸発ガソリンの外気への排出を抑えるキャニスターをエンジン左前方に設置。
ヤマハならではの音響解析技術により、搭載される新しいマフラーは低音と歯切れの良さを向上させています。
そしてもちろん伝統のキックスターターは健在で、エンジンを始動させやすくするためのデコンプレバーも装備。
発売前から期待されていたセルフスターターやABS、ライトのLED化は見送られ、排ガス規制への対応による改良で、従来モデルから最高出力が2馬力ダウン、価格は2万1600円アップしています。
40周年アニバーサリーエディションも登場
今年はSR400が誕生して40周年をむかえ、『SR400 40th Anniversary Edition』が限定500台発売されます。
ギターのカラーリングなどで使われるサンバースト塗装を採用し、職人ひとりひとりの手作業により塗られるため、一台ごとに微妙に異なる表情を見せる美しい光沢感を演出。
真鍮製の音叉エンブレム、電鋳工法により精巧に表現されたSRエンブレムなど、40年の節目にふさわしい特別感のある仕様となっています。
2019年モデル ヤマハ・SR400のスペック&価格
ヤマハ SR400 | ||
---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 2,085×750×1,100 | |
軸間距離(mm) | 1,410 | |
シート高(mm) | 790 | |
車両重量(kg) | 175 | |
乗車定員(人) | 2 | |
エンジン種類 | 空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ | |
総排気量(cc) | 399 | |
内径×行程(mm) | 87.0×67.2 | |
圧縮比 | 8.5:1 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 18[24]/6,500 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 28[2.9]/3,000 | |
燃料タンク容量(L) | 12 | |
変速機形式 | 5速 | |
タイヤ | 前 | 90/100-18M/C 54S(チューブタイプ) |
後 | 110/90-18M/C 61S(チューブタイプ) | |
フレーム形式 | セミダブルクレードル | |
燃料消費率(km) | 国土交通省届出値定地燃費値(km/h) | 40.7(60km/h) 2名乗車時 |
WMTCモード値(クラス) | 29.7(クラス2、サブクラス2-2) 1名乗車時 |
価格 | |
---|---|
SR400 | 572,400円 [消費税8%含む] |
SR400 40th Anniversary Edition | 691,200円 [消費税8%含む] |
まとめ
現在、排ガス規制が厳しくなること以外にも、国をあげてのEV化やガソリン車・ディーゼル車の販売禁止など、化石燃料を消費する内燃機関を搭載するクルマ・バイクの立ち位置が危うくなっています。
そのため、SR400のような基本設計を40年間も守り続けるバイクは世界中を探しても希な存在で、国内販売されている400ccで、空冷エンジンを搭載しているのは国産二輪車メーカーでヤマハ SR400のみ。
排気ガスのクリア化を考慮すれば、中・大排気量の空冷エンジンは圧倒的に不利ですが、SR400の復活を実現させたのはヤマハの技術力と意地でも残すという信念、そして多くのファンの存在です。
2020年の欧州排ガス規制『EURO5』では、平成28年規制よりも内容がさらに厳しくなると見られていますが、今の形でSR400が1日でも長く生産させることを切に願います。
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