ヤマハから、ホンダ NSR50に対抗すべく誕生したTZM50R。人気はNSR50が圧倒的に上でしたが、速さでは五分五分。あえてTZM50Rにこだわるライダーは常にNSR50勢の前を走ることに奮闘。そしてミニバイクレースや峠では少数派であっても、ヤマハ党のライダーを魅了し続けたTZM50Rは、他のミッションスポーツ原付では味わえない魅力が満載でした。
#鈴菌が羨む変態
TZM50R
ホンダのマジレスにより12インチカテゴリーは完全に支配されていた
しかしヤマハはホンダの支配に抗うべくゼロハン戦士TZMを開発し勢力図を塗り替えるべく戦う
白煙純血種TZの熱き血を色濃く受け継ぐその性能はNSRに勝るとも劣らずゼロハンHY戦争は更に過激さを増した pic.twitter.com/2JXVRsUklE— チープマン@鈴菌.com.GS125 (@gn125suzukin) 2018年1月7日
CONTENTS
打倒NSR50として誕生したヤマハ TZM50R
ミニバイクレースにおいて4ストローク化がかなり進んだものの、50ccの2ストロークミッション付バイクで争われるSP12やM12クラスは、今だに根強い人気があります。
その出場車種のほとんどがホンダNSR50でしたが、その中で若干数ヤマハのバイクにこだわり、妥当NSR50に燃えるライダーに支持されていたのがTZM50R!
NSR50と比較するとパーツが少なかったり、セッティングが難しいという声も多数ありましたが、それらを払拭できるライダーならNSR50に勝る速さを発揮できるバイクでもありました。
ヤマハ TZM50Rとは
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ヤマハ TZM50Rは、ヤマハ発動機が1993年2月から1999年12月まで生産していた50ccバイクです。
名前にあるTZMは、当時活躍していたレーシングライダー原田哲也氏が全日本ロードレース選手権や1993年WGP(ロードレース世界選手権)に参戦する際に開発された市販レーサーTZ250の改良版TZ250Mに由来し、Mは『モディファイ』を意味します。
そんな12インチサイズのタイヤを装着し、フルカウルの外装を装備。
水冷式単気筒クランクケースリードバルブ式エンジンに6速ミッションを搭載した本格派スポーツレプリカバイクは、峠やサーキットを走るライダー達から大きな支持を集めました。
そして日本各地で行われるミニバイクレースでは、NSR50対TZM50Rという構図が繰り広げられ、『SP12クラス』や『M50クラス』でも『ホンダVSヤマハ』の争いが繰り広げられたのです。
パワーバンドに入った時はヤマハらしい爽快な加速
12インチタイヤを付けた2ストロークミッション付きミニバイクレースにおいてはNSR50が大多数でしたが、ミニバイクレースのカテゴリーを切り開いたのはヤマハYSR50でした。
その後、水冷エンジンを搭載したNSR50が登場したことで、ミニバイクレースの出場マシンは一気にNSR50へ変わっていくことに。
そんなNSR50に人気を奪われたせいか、ヤマハYSR50は1992年に生産を終了。
17インチタイヤを装着させた本格派ミッション付きの原付バイクであるTZR50が登場したのです。
しかし、すでにホンダはNS-1を発売しておりTZR50もその人気には勝てないままでした。
そこで起死回生のためにYSR50で培ったミニバイクのノウハウと先行して発売したTZR50Rのエンジンをベースに、NSR50より速いバイクを目指してTZM50Rは誕生したのです。
TZR50Rのエンジンのポート面積を拡大し、キャブレターを大径化(φ16mm~φ18mm)して高回転域でビッグパワーを生み出せるようにセッティング。
NSR50は低回転域からパワーが出るのに対し、TZM50Rのほうは低回転域では非力でしたが高回転域でパワーバンドに入った時の加速感はヤマハらしい爽快なもの。
エンジンの耐久性も考慮され、クラッチプレートはTZR50Rの3枚から4枚に変更され、ラジエターはNSR50よりも圧倒的に大きく冷却力に優れていました。
また、高張力鋼管パイプダイヤモンドのフレームはYSR50よりも50%ねじれ剛性が強化され、サスペンションは新設計のφ30mmの正立フロントフォークとリアにガス封入のモノショックを装備。
中空アルミキャストホイールは軽量化に優れ、セルスターター式のエンジン始動方式はNSR50にはない豪華装備でした。
サーキットではNSR50に負けていない!セッティングが決まった時の速さはピカイチ
TZM50Rはノーマル状態でもNSR50に引けを取らない装備と速さを実現していましたが、オーナー達からはNSR50よりもパーツが少なかったことや、キャブセッティング、ECUとマフラーの相性などからベストなセッティングを出すのがNSR50よりも難しいという声が多数あがりました。
そして、NSR50は豊富なパーツが販売されていた事やユーザーが多かったゆえに、さまざまなセッティングデータが出回っていたため、TZM50Rが発売された後もNSR50優勢の構図は変わりませんでした。
それでも、出場台数が多いミニバイクレースでTZM50Rが優勝や上位に入賞したことは少なくありません。
TZM50Rは、NSR50よりも前を走ることを目指したライダー達の熱い気持ちに十分に応え、多くのサーキットでNSR50に負けていないことを実証していたのです。
ヤマハ・TZM50Rのスペック
ヤマハ・TZM50R | ||
---|---|---|
型式 | 4KJ | |
全長×全幅×全高(mm) | 1,615×615×960 | |
ホイールベース(mm) | 1,095 | |
シート高(mm) | 670 | |
乾燥重量(kg) | 78 | |
原動機型式 | 4EU | |
エンジン種類 | 水冷2ストローク・クランクケースリードバルブ単気筒 | |
排気量(cc) | 49 | |
ボア×ストローク(mm) | 40.0×39.7 | |
圧縮比 | 7.5:1 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 5.2[7.2]/10,000 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 6.1[0.63]/7,500 | |
変速機型式 | 6速リターン | |
タンク容量(ℓ) | 9.3 | |
タイヤサイズ | 前 | 100/92 – 12 |
後 | 120/80 – 12 | |
価格(円) | 279,000 |
まとめ
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TZM50Rがミニバイクレースで少数派と紹介しましたが、決して脇役ではありません。
ミニバイクレースや峠で、ヤマハにこだわりのあるライダー達が乗っていたバイクでもありましたが、メーカーに関わらずバイクとしての性能やカッコよさは原田哲也氏が乗っていたTZ250MやYZR500を思わせるものでした。
速さとレプリカバイクとしてのクールなスタイリング、そして最大のライバルNSR50との激しいバトルなど、紛れもなくヤマハを代表する名車です。
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