フルサイズの2スト50ccミッション付きバイクといえば、ホンダ NS-1やヤマハ TZR50/50Rが人気の名車とされていますが、もう一台、忘れてならないのはホンダ NS50Fではないでしょうか。17インチホイール装着車の中では最も軽量コンパクトに設計され、HRCからはNS50Fをベースに開発された競技用車両 NS50Rも発売!17インチタイヤ装着のミニバイクレースを席巻し、50ccレースに大きな影響を与えたモデルでした。

 

峠やサーキットで伝説となったホンダ・NS50F

 

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#ns50f

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ホンダの原付ミッションスポーツバイクといえば、NSR50、NS-1が有名ですが、もう一台外せないのがNS50Fです。

NSR50は『Nチビ』、NS-1は『Nワン』、そしてNS50Fは『ゴエフ』という愛称で親しまれ、17インチのタイヤを履かせた原付のなかでは1,2を争う速さを誇ります。

峠ではNSR50よりも少数派でしたが、あえて17インチタイヤの原付で攻めるならNS-1よりも軽量でスポーティー。

当時レースのSP50クラスは、参戦車種がレーサーのNS50RやNS50Fのワンメイク状態となっており、NS50F/NS50RからGP125クラスにステップアップしたライダーも少なくありません。

というようにNS50Fは多くのライダーから愛された、原付レースを牽引する存在だったのです。

 

ホンダ・NS50Fとは

 

ホンダ NS50Fは1987~1995年まで販売された、原動機付バイクです。

ホンダ MBX50Fの後継モデルとして開発され、CBR250Fと同様のハーフフェアリングと、当時の原付としては明るい30W/30Wハロゲンヘッドランプを装備していました。

また、NSR50も同じ1987年に登場。

その2台のエンジンは共通で、タイヤが12インチのNSR50と17インチのNS50Fが原付レースの代表的なマシンとなっていましたが、1991年にホンダ NS-1が登場し、NS50Fと同サイズの17インチタイヤを装着した大きな車体と利便性の良いメットインスペースを備えたことで大ヒット。

当時、ライバルだったヤマハ YSR50(1986~1992年)やスズキ RG50Γ(1982~1995年)、カワサキ AR50(1981~1988年)といったライバルは多かったものの、NS50FとNSR50がミッション付き原付スポーツの人気を牽引。

NS-1も登場すれば、峠やサーキットで走る原付はホンダ車がほぼ独占するようになります。

これほど原付レースをホンダが独占してきた要因は、NSR50の速さもさることながら、NS50FやレーサーのNS50Rの存在も大きかったのではないでしょうか。

 

SP50クラスを独占したNS50R

 

ホンダ・NS50R / © Honda Motor Co., Ltd. and its subsidiaries and affiliates. All Rights Reserved.

 

ホンダ NS50RはNS50Fをベースに開発されたレーサーマシンです。

ホンダのレーシングバイクを開発するHRCが、ロードレースの底辺拡大と活性化の為に製作。

NS50Fのハーフカウルを取り外し、エンジンを潤煥方式から混合給油へ変更。

車体の軽量化やタイヤサイズの変更などを行なったモデルです。

このモデルには多くのレース用キットパーツが販売されており、ほとんどがNS50Fにも流用する事ができました。

そのため峠を走るNS50FにNS50Rのパーツを取り付けたり、中には125ccレーサーであるRS125のパーツを流用するライダーも現れ、NS50Fのカスタムは幅広く行われていたのです。

他メーカーにNS50Rの競合はほとんど存在せず、SP50クラスはNS50RやNS50Fのワンメイクレース状態だった為、当時のミッション付き17インチ原付クラスではその速さが光っていました。

 

ホンダ・NS50F前期と後期の違いは

 

1987年モデル ホンダ・NS50F / © Honda Motor Co., Ltd.

1988年モデル ホンダ・NS50F / © Honda Motor Co., Ltd.

 

ホンダ NS50Fには、1987年型の前期と1988年以降の後期モデルが存在します。

前期は車名である『AERO』のロゴが付いており、後期に比べて太いサイレンサーとマフラーマウントを兼ねたステップステーが特徴。

一方、後期では小径化されたサイレンサーやマフラー形状、吸気タイミングの改良により燃焼効率を向上させ、低・中速域から高速域までいっそう力強い出力特性を発揮できるようになっています。

また、エンジンのパワーバンドは前期で8,000rpm付近でしたが、後期では10,000rpmまで回せるようになり、よりパワフルな高回転型エンジンになりました。

 

1989年モデル ホンダ・NS50F ロスマンズカラー / © Honda Motor Co., Ltd.

 

1989年には、ロードレース世界選手権のNSR500を彷彿とさせるロスマンズカラーを限定4,000台販売し、現在では非常に希少な中古の人気モデルとなっています。

 

ホンダ・NS50Fのスペック

1989年式 ホンダ・NS50F
型式 A-AC08
全長×全幅×全高(mm) 1,855×630×1,065
軸距(mm) 1,260
乾燥車重(kg) 79
エンジン型式 AC08E
エンジン種類 水冷2サイクル単気筒
総排気量(cc) 49
内径×外径(mm) 39.0×41.4
圧縮比 7.2
最高出力(kW[PS]/rpm) 5.2[7.2]/10,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 6.3[0.65]/7,500
トランスミッション 6速
タンク(L) 10.0
タイヤ 2.75-17-4PR
3.00-17-4PR
価格(円) 225,000

 

まとめ

NSR50のような12インチタイヤは、バイクで自由自在に走りを楽しむには爽快で、NS50Fのような17インチタイヤは思いっきりコーナーを攻めるのがスリリング!

17インチタイヤの原付でミニバイクに挑みたいライダーにとっては、NS50Fはとっておきの1台と言えます。

NS50Fはライダーを熱くさせ、ビギナーからベテランまで楽しめる存在なのです。

 

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