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ホンダRRの称号を与えられたマシン!CBR1000RRとCBR600RRとは?

各バイクメーカーの最新技術が特に色濃く反映されるジャンルは、何と言ってもスーパースポーツバイクです。また、昨今のリッターバイクは軒並み200馬力前後を発する驚異的なスペックで市販化されおり、21世紀に入ると市場はますます過熱しています。そしてホンダはMotoGPマシンである、RC211V譲りの技術を盛り込んだCBRシリーズを展開。今回は、そんなホンダの大型スーパースポーツバイク、CBR1000RRとCBR600RRをご紹介します。

 

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21世紀はスーパースポーツバイクの幕開け!CBRの生産背景

 

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『CBR』と名の付いたマシンのルーツを遡ること、1990年代。

プロトタイプのCBR750RRをはじめ、CBR900RR、CBR929RR、CBR954RRと続く型式SCは、時代とともに確実に進化しています。

また、当時市販車ベースバイクの最高峰レースであるスーパーバイク選手権 (SBK) は、排気量のレギュレーションを4気筒は750ccから1000ccに。

そしてMotoGPの前身であったWGP (World Grand Prix) も、2002年からレギュレーションが大きく変更となり、当時の4ストロークバイクは、排気量が990ccまで引き上げられました。

そうした時期にRC211Vのマシンが誕生していたことも、CBRが高い技術のフィードバックを受けることが出来た背景の一つに挙げられます。

そうは言っても、MotoGPマシンの開発と市販車マシンの開発で、同じメーカーの技術互換関係は当たり前のように聞こえるかもしれませんが、実はそうではありません。

例にヤマハのYZF-R1は1998年から販売を開始しましたが、MotoGPマシンであるYZR-M1の開発チームが市販車の開発に加わったのは、2009年式のYZF-R1が初めてでした。

21世紀に入ると、CBRのマシン開発の機は熟していました。

そして、CBR1000RRよりも一足先の2003年に発表されたCBR600RRは、ヨーロッパを中心にミドルスポーツの市場の大きな盛り上がりをきっかけに誕生。

CBR600RRは初期型から、RC211Vのセンターアップマフラーやマスの集中化といった構造を採用しています。

CBR1000RRは、2004年に発売が開始されました。

 

RC211Vの血統を受け継いだCBRの変遷

CBR1000RR

 

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CBR1000RRはCBR954RRの後継車としてデビュー。初期型であるSC57型の開発コンセプトは『Racing DNAのきらめく結晶』でした。

エンジンからフレームに至るまで、RC211Vで培われたテクノロジーが満載で、新しく設計されたモデルでした。

まず一目見て映えるのが、リアカウルの内側から突き出したセンターアップマフラー。このマフラーを車体の中央に寄せることによって、いくつかのメリット・デメリットが生まれます。

まずメリットとしては、重量配置バランスから還元されるコーナリング時の安定性が向上する事。

しかしデメリットとして、大きな問題点があります。

それはマスの集中化に相反するマフラー配置。

マスの集中化とは、バイクの重心にパーツを集めることによって運動性能を高める手法です。ではなぜ重量あるマフラーを、車体の核から遠い位置に配置したのか。

この理由は、開発者に聞いてみたところ「かっこいいから。」と、拍子抜けするような回答が返ってきた事は有名ですよね。

それでもセンターアップのエキゾーストシステムを牽引したのは、CBR1000RRと言えるでしょう。

 

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その後、大きくモデルチェンジを遂げたのは、3代目のSC59型でした。

スーパースポーツバイクらしく、尖ったシルエットだった先代に比べ、丸みを帯びた印象を持つ見た目に。外観も中身も全くの別物と言っていいほど変化したにもかかわらず、開発者が先代と同様であることにも驚きを隠せません。

SC59型は空力性能とマスの集中化、そして大きく軽量化され、特徴的だったセンターアップマフラーは、ショートマフラーに。

エンジンには以前より採用されている電子制御燃料噴射装置 (PGM-DSFI) をはじめ、約2.5kgもの軽量化が図られています。

この、2.5kgの軽量化は大したことないように聞こえるかもしれませんが、エンジン単体を軽くするには、シリンダーヘッドやクランクケース、ラジエーターなど、エンジンパーツの細部に至るまで見直する事が必要です。

そのため、バイクの核ともいえるエンジンの重さをこれだけ軽くするには、並大抵の試行錯誤ではないはず。

そして2017年に発表されたSC77型は、『操る楽しみの進化』をコンセプトに更なる変化を遂げました。

電子制御をフル活用した現代らしいマシンとなり、CBR1000RRには従来モデルにもあったようにSP、SP2と上位版のグレードも展開。そんな電子制御機能は多岐にわたり、多段階のトラクションコントロールシステムやセレクタブルエンジンブレーキ、クイックシフター等を搭載。

極めつけは、ホンダ独自技術のIMUシステムの採用で、加速度などの車体姿勢を推定し、ライダーが楽しくライディングできるようになりました。

ホンダは他メーカーと比べて『優等生』や『誰でも乗りやすい』と表現されることが多いのですが、CBR1000RRはスーパースポーツバイクでありながら、まさにコンセプト通りの『操る楽しみの進化』をライダーに提供することを実現しているとおもいます。

 

CBR600RR

 

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ミドルスポーツクラスに分類されるCBR600RRは、2003年に発売を開始。

CBR1000RR同様、ホンダレーシングの『RR』を与えられたCBR600RRは、2016年の生産終了までに3回のモデルチェンジが行われました。

そんなCBR600RRは、初代のモデルであるPC37前期型からRC211Vを彷彿とさせる車体で、MotoGPファンを中心に多くのライダーから注目を浴びた1台でした。

市販車が生産されるまでの大きな流れは、研究や開発データを基にしてサーキット走行を繰り返すといった順番が一般的ですが、CBR600RRは早い開発段階でサーキットテストを繰り返しながら完成したというバックグラウンドを持っています。

それはまさにサーキットで速く走ることに注力したバイクです。

そして、まず最初のモデルチェンジの内容は、軽量化と足回りの変更でした。

フレームやマフラーといった重量物を中心に約5kg軽量化され、CBR1000RR同様に倒立フロントフォークを採用したのも2代目CBR600RRからでした。

また、PC40型になると、クラス最軽量の車体重量に。軽量化というのは目に見えずらい変化ですが、それによってライダーにもたらす恩恵の大きさは計り知れません。

そのため『RR』においては、馬力よりも軽さが速さにつながるという考えのもと、特に軽量化にこだわって開発されました。

細かい部分ですが、クランクシャフトとカウンターシャフトの間隔の見直しがなされ、さらにエンジンはコンパクトに。バイクの骨格であるフレームも、高い剛性を失うことなく11ピースから4ピースに変更されて、溶接部分にも気を配られた作り込みでした。

マスの集中化からかけ離れたセンターアップマフラーを採用しながらも、この車体重量にまとめ上げられたPC40型には、ただただ感嘆するばかりです。

当時の環境排気ガス規制もクリアした中で、最大限まで性能を引き上げられたCBR600RRは、サーキットでもストリートでも走る楽しみを感じさせてくれる一台でした。

 

CBR1000RR/CBR600RRスペック紹介

 

CBR1000RR

(2017年式)

CBR600RR

(2013年式)

エンジンタイプ 水冷4stDOHC

並列4気筒

水冷4stDOHC

並列4気筒

全長×全幅×全高 (mm) 2065×720×1125 2030×685×1115
シート高 (mm) 820 820
車体重量 (kg) 196 189
排気量 999 599
最大出力 192ps / 13000rpm 78ps / 12000rpm
最大トルク 11.6kg / 11000rpm 5.3kg / 10000rpm
燃料タンク容量 (L) 16 18
生産期間 2004- 2003-2016

 

CBR1000RR/CBR600RR中古車市場

 

 

CBR1000RRの中古相場は60万円から220万円と幅広く、平均価格は110万円程度となっています。

人気の高いCBR1000RRはやはり車体数も豊富で、カスタムパーツも多く揃っています。

特にセンターアップマフラーが採用されていた2004年から2007年までの型式は、年式こそ古いもののかなりの人気を誇ります。

逆輸入車は車体数が少なく、出力規制のある国内仕様とは異なるため、事前に売り手に詳細への確認を取る事がオススメです。

CBR600RRの中古相場ですが、価格は50万円から130万円ほどで、平均価格は90万円前後。

ミドルスポーツ人気のピークが過ぎた今、価格帯はやや下降気味ですが、ABS仕様や海外仕様によって大きく価格が分かれます。

また、コニカミノルタのカラーリングが施されたモデルもあり、HRCのトリコロールカラーは不動の人気色といえるでしょう。

 

まとめ

 

今回は、スーパースポーツバイクのフラッグシップとも言える、ホンダCBR1000RRとCBR600RRの2車種をご紹介いたしました。

MotoGPマシンさながらのシルエットで登場し、時代の流れとともに高い技術を搭載したCBRのマシン達。

ミドルクラスとなるCBR600RRは生産終了となってしまいましたが、今後復活することはあるのでしょうか。

そしてCBR1000RRは、これからどのような進化を遂げていくのか!?ますます楽しみです。

 

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著者:Matsu

1994年生まれ、東京都出身。海外の大学を中退。現在は世界一周を目標に、Webサイト制作やライターをしています。バイクやモータースポーツが大好きで、一人でも多くの方にその魅力をお伝えできればと思います。

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