トラディショナルモーターサイクルメーカーとして、注目を集め続けるロイヤルエンフィールド。そんな同社から、650ccツインエンジンを搭載した正統派カフェレーサーモデル『コンチネンタルGT650』とクルーザーモデル『INT650』が登場しました。

© 2019. Royal Enfield.

コンチネンタルGT650とINT650は新車購入可能な極上ビンテージバイク

Royal Enfield Continental GT 650 / © 2019. Royal Enfield.

英国バイクメーカーといえば、トライアンフ、BSA、ノートンといった100年を超える老舗ブランドが名を連ねています。

この3メーカーは世界中のモーターサイクルシーンにおいて、レジェンド的な存在ですが、さらに欠かせないメーカーとして挙げられるのがロイヤルエンフィールド。

ロイヤルエンフィールドを代表するモデル『ブリット350』は、半世紀以上も前に設計された基本レイアウトを変える事なく今まで生産され続け、『走るシーラカンス』とまで言われています。

日本では英国の本格ビンテージバイクが普通自動2輪免許で乗れて、なおかつ新車で購入できるということで、幅広い層から高い人気を得ていました。

そんな、ロイヤルエンフィールドが401cc以上のバイクをラインナップするようになり、今年に入り新型モデルのコンチネンタルGT650とINT650をリリースしました。

昨年までの最大排気量モデルは、コンチネンタルGT535の単気筒エンジンでしたが、コンチネンタルGT650/INT650は新しい並列2気筒エンジンを搭載しています。

ロイヤルエンフィールドとは

Photo by didier.camus

ロイヤルエンフィールドの発祥は、19世紀半ばにイングランド南西部ウスターシャ州でミシン針や機械部品を製作してた『ジョージ・タウンゼントアンドカンパニー』です。

1892年に『ザ・エンフィールド』という商標で自転車の製造を開始し、そこからエンフィールドサイクルカンパニーが1897年に独立。

1901年にオートバイ製造を開始しました。

その後、60年代後半に英国へ日本のバイクメーカーが進出したことで、老舗英国メーカーは経営難に追いやられ、ロイヤルエンフィールドも1970年には倒産してしまいます。

しかし、かつて英国の植民地であったインドにサテライト工場があったことや、インドから350cc4サイクル車『ブリット(Bullet)』の需要があったため、『エンフィールドインディア』としてブリットの生産を続けていたのです。

そして1995年にボルボと合併してエイカーグループの傘下に入り、エンフィールドインディアからロイヤルエンフィールドへ社名を変更。

元々は英国メーカーでしたが、現在はインド資本のメーカーである点は、自動車で言うところのジャガーランドローバーのような立ち位置になるのかもしれません。

その後、4年前の2015年に母国である英国に技術センターを開設。

英国老舗モーターサイクルブランドとしての完全復活と、世界進出を目指しています。

パワーは必要ない!トコトコ感の味で走る

© WINGFOOT

新しい並列2気筒エンジンは、1軸バランサー付きの270°クランクを搭載し、エンジンの鼓動は不当間隔のビートを奏でるエンジン音を演出。

エンジンフォルムは、クラシカルテイスト溢れる美しさです。

そこそこの排気量を持つ空冷エンジンですが、燃焼室にオイルを噴射している空油冷エンジンと呼べるもので、大きめのオイルクーラーによりエンジンをしっかり冷却し、排ガス規制ユーロ4をクリアしています。

最大出力は47馬力で、パワフルとは言えませんが、エンジンのパワーを楽しむのではなく、ロイヤルエンフィールドが作り出すトラディショナルな味付けに酔いしれるほうが、コンチネンタルGT650/INT650を存分に楽しむめるでしょう。

コンチネンタルGT650は王道の純カフェレーサー

Royal Enfield Continental GT 650 / © WINGFOOT

Royal Enfield Continental GT250 / Photo by 1CM69

コンチネンタルGT650は、1965年に登場したコンチネンタルGT250からインスパイアを受けてデザインされたカフェレーサーモデルです。

ハンドルはセパレートハンドルで、ハンドル位置に高さをもたせて上半身の前傾度はスポーツネイキッドに近いシッティングポジションです。

バックステップや専用デザインの燃料タンクを装着し、シルエットは王道のカフェレーサーを忠実に表現。

シートは通常ふたり乗りですが、シングルシートが27,000円でオプション設定されていて、更なる純カフェレーサーを目指す方には必須のアイテムです。

INT650は楽チン殿様乗りのクルーザーモデル

Royal Enfield INT 650 / © WINGFOOT

Royal Enfield Interceptor / 出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Royal_Enfield_Interceptor

INT650は、1960年から1970年の間に生産されたインターセプトからインスパイアされ、デザインされたクルーザーモデルです。

ただ、日本とアメリカでホンダがインターセプトの商標を既に取得していたため、2国仕様はINT650のモデル名が使用され、それ以外の国ではインターセプトのネーミングで売られています。

中身はコンチネンタルGT650と同等で、バーハンドル、タンク、シートがオリジナルのデザインです。

また、シートには厚みのあるアーガイル調ステッチのタンデムシートを使用し、快適性とホールド性に優れ、ライディングポジションはいわゆる”殿様乗り”。

自然で楽なポジションは、ロングツーリングに最適な仕様です。

スペック&価格

左上:ブラックマジック、右上:、ミスタークリーン、左下:アイスクイーン / © WINGFOOT

左上:ラヴィッシングレッド、右上:、グリッターアンドダスト、左下:オレンジクラッシュ / © WINGFOOT

コンチネンタルGT650 INT650
全長×全幅×全高(mm) 2,119×745×1,067 2,119×788×1,120
軸距(mm) 1,398 1,398
シート高(mm) 820 805
車両重量(kg) 208 213
エンジン種類 4ストローク空冷2気筒OHC270°クランク 4ストローク空冷2気筒OHC270°クランク
総排気量(cm³) 648 648
ボア×ストローク(mm) 78×67.8 78×67.8
圧縮比 9.5:1 9.5:1
最高出力(kw[bhp]/rpm) 35[47]/7,250 35[47]/7,250
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 52[5.3]/5,250 52[5.3]/5,250
変速機形式 常噛6段リターン 常噛6段リターン
タンク容量(ℓ) 12.5 12.5
タイヤサイズ 100/90-18 56H 100/90-18 56H
130/70-18 63H 130/70-18 63H
モデル カラー 希望小売価格
コンチネンタルGT650 ミスタークリーン ¥889,000
アイスクイーン< Ice Queen> ¥859,000
ブラックマジック ¥839,000
INT650 グリッターアンドダスト ¥869,000
ラヴィッシングレッド< Ravishing Red> ¥839,000
オレンジクラッシュ ¥829,000

まとめ

コンチネンタルGT650/INT650は、パワフルなエンジンを搭載せず、また、クラシックモデルとはいえ他メーカーと比べれば、使っている部品や設計はまだまだ古い仕様です。

電子制御的なものといえば、ABSとインジェクションが搭載されるぐらいで非常にシンプル。

魅力的なのは、BMW R nineTやトライアンフ ボンネビルよりも圧倒的に安価で、カワサキ W800よりも10万円近く安いなどのお手頃感と歴史を感じさせるエクステリアへのこだわり。

新たに登場したコンチネンタルGT650とINT650。

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