伝統ある英国車、トライアンフに新型スクランブラー1200XC/1200XEが登場しました。古き良きロードスポーツモデル『ボンネビル』をカスタムした既存モデル『ストリート スクランブラー』とは異なり、スクランブラー1200XC/1200XEはフレームを専用設計し、アップマフラーや高い地上高、十分なストローク長のサスペンションなどを搭載。思わず冒険へ行きたくなるような、アドベンチャーオフロードモデルとなっています。

© 2019 Triumph Motorcycles

 

バハ1000ラリー出場も視野にいれたトライアンフ新型スクランブラー1200XC/1200XE登場

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スクランブラーというのはもともと、ロードスポーツ車をカスタマイズして、未舗装路を走行できるようにしたカスタムスタイルのことを指します。

わざわざカスタムするくらいならオフロードバイクを購入すればよいのでは?と思う方もいるかもしれませんが、スクランブラーの誕生は第二次世界大戦直後の1950年、1960年代まで遡ります。

当時は舗装路面のクローズドコースはごく稀だったため、レースは公道か未舗装の山道で行われていました。

しかし、オフロード専用に製作されたバイクは少なく、未舗装路のレースはロードスポーツ車をオフロード向けに改造したマシンがほとんどでした。

レースは横一列に並び、一斉にスタートをしていたことから緊急発進を意味する”Scramble(スクランブル)”に由来して、スクランブラーレースと呼ばれ、出場マシンをスクランブラーと呼ぶようになりました。

スクランブラーの説明が長くなりましたが、今回紹介する新型スクランブラー1200XC/1200XEは、そんなレトロなスタイルを踏襲したビッグオフロードバイクまたはアドベンチャーバイクとして誕生したのです。

 

トライアンフ・スクランブラー1200XE ラリー仕様 / 出典:http://triumph-mediakits.com/news-articles/triumph-make-historic-return-to-the-legendary-baja-1000-race-with-the-all-new-triumph-scrambler-1200-xe.html#-1661

スクランブラー1200の発表会では、1200XEをベースにしたラリーマシンでバハ1000ラリーに出場することがアナウンスされ、現行トライアンフラインナップの中で最もオフロード色の強いモデルであることで注目を集めました。

 

スクランブラー1200XC/1200XEとは

トライアンフ・スクランブラー1200XE / © 2019 Triumph Motorcycles

スクランブラー1200XC/1200XEは、2018年10月24日に発表され、日本では今年の3月16日に販売が開始されました。

登場する以前から、正統派のスクランブラースタイルを再現したストリートスクランブラーがラインナップされていますが、そちらはタウンユースからオフロード走行までをこなす、マルチパーパスモデルです。

一方で、今回登場したスクランブラー1200XC/1200XEは、『真のスクランブラー登場~本物をその手に~』というキャッチフレーズで開発され、未舗装路でも優れた操作性と走破力を兼ね備えたモデルとなりました。

2台のうち1200XCはベースグレードであり、さらにオフロード走破性を高めるために装備を充実させ、専用のサスペンションセッティングを施したものが1200XEで、それぞれ個性と魅力の異なった仕様となっています。

 

スクランブラー1200XC/1200XEの特徴

トライアンフ・スクランブラー1200XC / 出典:http://triumph-mediakits.com/news-articles/triumph-make-historic-return-to-the-legendary-baja-1000-race-with-the-all-new-triumph-scrambler-1200-xe.html#-1661

スクランブラー1200はツインショック、アップマフラーなどスクランブラーとして必須の要項を満たすだけでなく、フレームは専用設計されて、200mm以上のストロークを確保した前後サスペンションを搭載しています。

従来のスクランブラーシリーズは空冷並列2気筒865ccエンジンを搭載していましたが、スクランブラー1200では、ボンネビルT120用のものをベースにした270度クランクを採用した水冷ツインを搭載。

 


© 2019 Triumph Motorcycles

1200XCと1200XEで足回りのセッティングは異なり、2台ともフルアジャスタブルツインスプリング式リアサスペンションを採用していますが、スイングアーム長は1200XCが547mm、XEが579mm。

ホイールトラベルは、1200XCが前後200mm、1200XEが前後250mmです。

また、フロントサスペンションはショーワ製フルアジャスタブルロングトラベルフォークを搭載し、1200XCが径45mm/トラベル量200mm、1200XEが径47mm/トラベル量250mm。

ブレンボ製M50モノブロックキャリパーに径320mmブレーキディスクとクロススポークホイールは共通です。

エンジンは、2019年型ストリートスクランブラーの65PSを大幅に上回る最高出量90PSを発揮。

ラリーのベース車両や、エンデュ―ロでも余裕のパワーを確保しています。

さらに、XEにはIMUを使ったライディングアシスト群も搭載されました。

 

レトロなスタイルと裏腹にハイテク装備満載

© 2019 Triumph Motorcycles

スクランブラー1200には、数多くのハイテク装備が搭載されています。

メーターにはトライアンフ第2世代TFTディスプレイを採用し、『テーマ』と呼ばれる2種類の画面レイアウトを設定。

ライディングモードは”AD”、”OFF-ROAD”、”RAIN”、”SPORT”、”RIDER”の5種類、そしてXEには”OFF-ROAD PRO”を加えた6種類を設定し、走行状況に応じてライディングモードを選択すると、スロットルレスポンスやABS、トラクションコントロールの設定が切り替わります。

また、1200XEには慣性計測ユニット(IMU)が搭載されているため、走行時の車両状態を様々な視点で絶えず計測・算出。

ABSやトラクションコントロールなどを自動調整することで、過酷な走行状況でも乗り味と安定性が最適に保たれます。

ヘッドランプはDRL付LEDライト、テールランプもLEDとなり、キーレスイグニッションになったのでキーを刺さずにエンジンを始動可能。

USB電源ソケット、イモビライザー、クルーズコントロールなどが標準装備されています。

また、アクセサリー装備でBluetooth通信モジュールを搭載すれば、Googleと提携したターンバイターナビゲーションや、空気圧モニタリングシステム(TPMS)をメーターに表示させる事も可能。

携帯電話やミュージックプレーヤーを同期することにより、バックライト付きスイッチハウジングから通話や音楽の操作をすることもできます。

さらに、世界初となる一体型GoPro®コントロールシステムが利用できるのも大きなポイントです。

 

トライアンフ・スクランブラー1200XC/1200XEのスペック

1200XEのカラーラインナップはコバルトブルー×ジェットブラック(左)、フュージョンホワイト×ブルックランズグリーン(右) / © 2019 Triumph Motorcycles

1200XCのカラーラインナップはジェットブラック×マットブラック(左)、カーキーグリーン×ブルックランズグリーン(右) / © 2019 Triumph Motorcycles

スクランブラー1200 XC スクランブラー1200 XE
全長×全幅×全高(mm) 2,285×840×1,200 2,325×905×1,250
ホイールベース(mm) 1,530 1,570
シート高(mm) 840 870
車両重量(kg) 225 227
タンク容量(ℓ) 16 16
エンジン種類 水冷4ストローク並列2気筒OHC4バルブ 水冷4ストローク並列2気筒OHC4バルブ
総排気量(cc) 1,200 1,200
ボア×ストローク(mm) 97.6×80.0 97.6×80.0
圧縮比 11.0:1 11.0:1
最高出力(kW[hp]/rpm) 66.2[90]/7,400 66.2[90]/7,400
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) 110[11.2]/3,950 110[11.2]/3,950
トランスミッション 6速 6速
タイヤ 90/90ZR21 90/90ZR21
150/70ZR17 150/70ZR17
価格(円) 1,650,000 2,100,000

まとめ

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スクランブラー1200XE/1200XCは、スクランブラーモデルとされながらも、サイズ感や機能性をみれば立派なハイテクアドベンチャーモデルです。

これなら、BMW1250GSやKTM1090アドベンチャーにも対抗できるポテンシャルが期待できるのではないでしょうか。

しかも、トライアンフ伝統のスクランブラーモデルは、どんなシチュエーションでも生えるスタイリッシュなデザイン!

トライアンフからファンが離れないのも、納得の出来栄えです。

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