ライダーにとって、エンジンサウンドはバイクを楽しむひとつの要素。それを「これでもか!」というほど、とことん突き詰めて作られたのが『ヤマハ MT-01』です。そのエンジンからの鼓動、パルス感、そして迫力ある巨大なVツインエンジンのビジュアルは、オーバーリッタークラスの中で1,2を争うと言っても過言ではないほど、官能的です。
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ヤマハMTシリーズの元祖!鼓動感がハンパないヤマハ・MT-01
現在、ヤマハMTシリーズは250~1,000ccまで、5モデルがフルラインナップされています。
今では絶版モデルとなりましたが、そんなMTシリーズの草分け的存在だったのが『MT-01』なのです。
ちなみに、車名のMTは『Max Torque(マックストルク)』からの命名で、このコンセプトを忠実に実現しています。
ヤマハ・MT-01とは
ヤマハ MT-01は、1999年秋に開催された第33回東京モーターショーで発表されたコンセプトモデル『MT-01』を市販化したバイクです。
ヤマハはMT-01を開発するにあたり、『ソウルビートVツインスポーツ』をコンセプトに、洗練された大人のための究極の趣味車を目指して開発。
リッター級の直列4気筒エンジンを搭載したスーパースポーツやネイキッドスポーツでは味わえない、エンジン1発1発の爆発から感じる鼓動やパルス感、そしてコーナーの立ち上がりでの力強いトルク特性がMT-01のセールスポイントであり、ヤマハの開発エンジニア陣は官能性能型商品と呼んでいました。
それを具現化させるために、ヤマハは排気量1,670ccの空冷Vツインエンジンを搭載したロードスポーツを登場させたのです。
MT-01の走行姿はまるでエンジンが走っているような出で立ち!
MT-01のエンジンは、アメリカンクルーザーモデル XV1700のものをベースに、約9割のパーツが変更され、もはや全くの別物といえるほどの改良が施されています。
1,670ccなんて、そこまで大きなエンジンを使わなくてもよいのではないかと思ってしまいますが、ハーレーダビッドソンやモトグッチといった空冷Vツインの老舗メーカーと差別化をはかるためと、迫力を演出するための試みだったのだそう。
実際に、前代未聞の大排気量Vツインロードスポーツとして二輪車市場に今までにないインパクトを与えたのです。
とは言っても、ヤマハが大排気量の空冷Vツインを搭載したロードスポーツモデルは、MT-01だけではありません。
イタリアヤマハ(旧・ベルガルダヤマハ)によって製作されたBT1100ブルドッグは、1,100cc空冷Vツインを搭載したスポーツモデルでした。
アメリカンクルーザーに搭載されるV型ビッグツインエンジンをネイキッドスポーツに搭載すれば楽しいのではないかというアイディアは、ハーレーのエンジンを搭載してロードスポーツを製作していたビューエルにも近いコンセプトです。
独特のエンジンサウンドや路面を蹴り上げるような野太いトルクもさることながら、車体を横から見たときのカッコよさもビッグツインならでは。
これらの良さすべてを最高レベルにして集約させたのが、MT-01でした。
装備はYZF-R1と同等!新しく高価なパーツを随所に搭載
MT-01に対するヤマハの意気込みは凄まじく、最新の技術や高価なパーツをふんだんに採用しています。
フレームは独自技術のCFアルミダイキャストで作られ、ボルト締占式バッグボーンフレームを採用。
溶接箇所を無くし、高剛性かつ軽量化、また見た目の美しさにも寄与しています。
そして、フロントには倒立フォークを採用し、リアにはMotoGPマシンで開発された逆トラス式スイングアームを装着。
さらに、2005年に発売された初期型ではモノブロックタイプの4ポッドキャリパー、2007年のマイナーチェンジでは6ポッドキャリパーが装着され、これらはすべてフラグシップモデルであるYZF-R1と同じ装備であるなど、MT-01にはかなりのコストがかけられています。
スペック
ヤマハ・MT-01 | ||
---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 2,185×790×1,160 | |
軸間距離(mm) | 1,525 | |
シート高(mm) | 825 | |
最低地上高(mm) | 145 | |
乾燥/装備車両重量(kg) | 240/259 | |
エンジン種類 | 空冷4ストロークV型2気筒OHV4バルブ | |
総排気量(cm3) | 1,670 | |
ボア×ストローク(mm) | 97.0×113.0 | |
圧縮比 | 8.36:1 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 66.3[90.1]/4,750 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 150.1[15.3]/3,750 | |
変速機形式 | 6速 | |
タンク容量(ℓ) | 15.0 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70ZR17M/C(78W) |
後 | 190/50ZR17M/C(73W) |
まとめ
MT-01に乗ってみると、シリンダーが爆発する瞬間が手にとってわかるほど、エンジンの主張が非常に強く、かといって長時間乗っていて疲れるように不快なエンジン音ではありません。
しかし、乾燥重量だけでも240kgある超重量級なバイクだったため、乗った時のずっしりとした感覚と、足つき性があまりいいとは言えず、この手のバイクが本当に好きでな方にしか受け入れられませんでした。
そんなニッチなカテゴリーではありますが、ヤマハがとことん突き詰めて作り込んだ意欲作。
是非一度、乗ってみてはいかがでしょうか。
きっと、新しいバイクの価値を感じることができるでしょう。
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