ヤマハの本格派アドベンチャーモデル『テネレ700』が、海外で先行発売されました。それは、パリダカで数々の勝利を挙げた伝説のビッグオフロードの最新モデルです。従来のXT660Zテネレは単気筒でしたが、テネレ700では並列2気筒エンジンを採用。見るからに冒険心をくすぐられる本格派ビッグオフローダーに仕上がっています。

©2019 Yamaha Motor Corporation

反響を呼んだコンセプトマシンが待望の市販化!ヤマハ・テネレ700海外先行発売


ビッグオフロードバイクにおける伝説的な存在であるヤマハ XZ600ZテネレおよびXTZ660テネレ。

この名車をオマージュした新型モデル、ヤマハ テネレ700が発売されました。

この復活劇は、2016年のミラノショーでヤマハが展示した『T7コンセプト』に始まり、翌年の2017年ミラノショーでプロトタイプ『テネレ700ワールドレイド』を公開。

テネレの復活が間近ではないかと、話題にになりました。

そして、2018年のミラノショーで市販仕様が発表されます。

T7コンセプトのスタイスはそのままに、今すぐにでもラリー選手権に出場できるようなアグレッシブさを演出した同モデルの対抗馬は、BMW F850GSやKTM 790アドベンチャーRで、ビッグオフロードフリークにとっては、気になる新型車であることは間違いありません。

ヤマハ・テネレ700とは

ヤマハ テネレ(Ténéré)は、1983年から販売されている海外向けのオフロードバイクです。

名前のTénéréは、トゥアレグ語で「何もないところ」を意味し、ヤマハの中では「砂漠のなかの砂漠」を示しているそうで、過酷なシーンを走るラリーレースで活躍できるバイクを表現しています。

そんなヤマハ テネレは、フランス人ライダーのステファン・ペテランセル氏とイタリア人ライダーのエディー・オリオリ氏により、バリダカで7度の優勝を獲得。

ラリー人気の高いフランスをはじめとする、欧州で愛された一台です。


ヤマハ・XTZ660テネレ / Photo by Jorge Andres

最初に600cc空冷単気筒4バルブエンジンを搭載したXT600テネレが発売され、1988年にはXT600Zテネレにモデル名が変更となります。

そして1991年にはエンジンに660cc水冷単気筒5バルブエンジンを搭載したXTZ600テネレが登場。

2008年には、エンジンが4バルブ化されてモデル名も『XT660Zテネレ』に戻り、2016年まで生産されます。

また、エンジンは600/660ccだけでなく、750cc並列2気筒5バルブエンジンを搭載した『XTZ750スーパーテネレ』が登場したり、現行モデルでは1200cc並列2気筒4バルブエンジンを搭載した『XT1200Zスーパーテネレ』をラインアップしています。

そして今回登場したテネレ700は、XT660Zテネレの後継モデルとして登場し、ロングツーリング向けのアドベンチャーモデルではありますが、オフロード走行に重きを置いて開発が進められ、ラリーでも戦闘力を発揮する本格派ビッグオフロードモデルでもあります。

ヤマハ・テネレ700はMT-07と同じCP2エンジン

©2019 Yamaha Motor Corporation

テネレ700のエンジンは、MT-07用のCP2エンジンが採用され、最高出力や最大トルクもMT-07とほぼ同等です。

2016年まで生産された従来型のXT660Zテネレは、660cc水冷単気筒SOHC4バルブエンジンだったため、エンジンだけでもかなりのグレードアップを果たしました。

フレームは専用に新設計されたダブルクレードル形状で、アルミ製スイングアームも従来モデルから見直されています。

また、サスペンションはフロントにトラベル量210mmのフルアジャスタブル・Φ43mm倒立式フォーク、リアはトラベル量200mmの、リモート調整可能なリンク式リアサスペンションを装着。

ホイールはオフロード走行を可能にするために、フロント21インチ・リヤ18インチのスポーク式を採用し、ブロックタイヤのピレリ Scorpion Rally STRを装着しています。

そんなテネレ700について、開発担当者は「オフロード8割、オンロード2割」と言っており、林道ツーリングや砂地での走行で、本来のポテンシャルを発揮できる仕様です。

さらにエンジンが並列2気筒となったため、従来モデルよりもエンジンから不快な振動はなくなり、スクリーンにより整流効果を向上させて高速クルーズでの走行性能や快適性能も考慮されています。

テネレ700に跨れば気分はパリダカライダー

©2019 Yamaha Motor Corporation

メーターに注目してしてみると、昔のダカールマシンを思わせるデザインとなっています。

LCDディスプレイには、エンジン回転数や速度以外に、ギアポジション、燃料レベル、平均および瞬間燃費、推定走行距離、トリップメーターなどが表示され、レトロ感を演出しつつ最新モデルとし十分な機能性を確保。

タンク容量16リットルを確保し、ガソリン満タンで航続距離350km以上は走るので、ロングツーリングにおいては十分な燃費性能です。

また、モニター右下のスイッチを長押しすれば、モニターには『エンデューロ』の文字が表示され、前後のABSが解除されるのは、本格的にダート走行を楽しみたい方に嬉しい機能となっています。

スペック

左上:セラミックアイス、右上:テックブラック、左下:コンペティションホワイト / ©2019 Yamaha Motor Corporation

ヤマハ・テネレ700
全長×全幅×全高(mm) 2,365×915×1,465
ホイールベース(mm) 1,590
シート高(mm) 880
最低地上高(mm) 240
車両重量(kg) 204
エンジン種類 水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ
総排気量(cm³) 689
ボア×ストローク(mm) 80.0×68.6
圧縮比 11.5:1
最高出力(kW[HP]/rpm) 53.9[73.4]/9,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 67.9[6.93]/6,500
変速機形式 6速
タンク容量(ℓ) 16
タイヤサイズ 90/90 R21 M/C 54V
150/70 R18 M/C 70V

まとめ

©2019 Yamaha Motor Corporation

テネレの国内販売は、正規販売ではなく逆輸入車の販売のみとみられます。

欧州での販売価格は、9699ユーロで日本円にして118万円。(2019年7月7日時点)

BMW F850GSが154万円、KTM 790アドベンチャーRが155万円で販売されているため、ライバル車よりもお買得であることは確かです。

テネレがこれまでより大幅にグレードアップし、本格的なオフロードアドベンチャーになったことは、テネレファンにとって非常に嬉しいこと。

新型テネレ700が、新たにテネレのファンとアドベンチャーバイクフリークを増やしてくれるきっかけになってくれるのではないでしょうか。

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