ヤマハは、新型電動スクーター『EC-05』を台湾で発売することを発表しました。台湾の電動バイクメーカー 「ゴゴロ(Gogoro)」とタッグを組み、自社モデル電動スクーターを、二輪車激戦市場である台湾へ送り込みます。そんなEC-05の性能や、パートナー企業のゴゴロについてご紹介。日本市場への導入もありえるのでしょうか?

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電動バイクの先進国・台湾にヤマハ新型EC-05を投入!


ヤマハは2019年8月1日に、電動スクーター『EC-05』を発売します。

同モデルは、ヤマハが台湾へ電動スクーターを送り出すために、台湾の電動二輪車ベンチャー企業『ゴゴロ(Gogoro Inc.)』と提携。

EC-05は、ゴゴロ製市販モデルをベースとし、ヤマハが独自のデザインを施したモデルです。

EC-05の生産はゴゴロが行い、ヤマハはOEM供給を受けて、ヤマハ販売店で販売します。

世界一のバイク普及率を誇る台湾は電動バイクにおいても先進国!

台湾は2018年現在、国内人口2,358万人に対し、バイク保有台数は1,381万台。

1.7人が1台のバイクを保有する、バイク普及率世界一を誇るバイク大国です。

その中でもスクーターは、人々の移動手段として最もポピュラーなコミューターであり、人口は日本の約6分の1なのに対し、バイクの売上は日本の2倍以上。

台湾国内で見ると、KYMCO、ヤマハ、SYMがトップ3で、シェアの90%近くを占め、中でもヤマハの『シグナスX』と『フォース155』は1,2を争う人気スクーターです。

そんな台湾ではバイクによる大気汚染が問題視されており、政府は2030年までにバイクを全面電動化する方針を打ち出したため、台湾のバイクメーカーのEV化はかなり進んでいます。

ヤマハは過去に台湾で、電動スクーター『E-VINO(ビーノ)』を登場させましたが600台前後の販売数にとどまり大苦戦。

一方でゴゴロは2017年に3万4,000台の電動バイクを販売し、シェアを伸ばしています。

ヤマハの目標はCO2排出量50%削減

出典:写真AC

ヤマハは環境・資源問題において、2050年までにCO2排出量を2010年比で50%削減することを目指しており、EC-05はその電動製品戦略に沿った最初のモデルです。

また、ヤマハは現在もE-VINOを販売していたり、トライアルバイク選手権で電動マシンの『TY-E』を投入するなどしていますが、電動バイクの開発や市販化は、世界的に見るとまだまだ遅れています。

そこで、台湾国内に多数のバッテリーステーションを設置し、強力なプラットフォームを持つゴゴロの力を借りて、ヤマハブランドの電動バイクを売り込もうとしているのです。

そのためゴゴロは、ヤマハにとって心強い業務パートナーになっていくことでしょう。

電動スクーターメーカー・ゴゴロ(Gogoro)とは

© 2014-2019 Gogoro Inc.

ゴゴロは2011年に創設された、台湾の電動バイク専門企業です。

バッテリー交換式電動スクーターと交換式バッテリー用充電ステーションを製造し、台湾においては高い認知度を誇ります。

また、2017年には日本の住友商事もゴゴロと提携を結びました。


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ゴゴロが製造する交換式バッテリー用充電ステーションは、『ゴーステーション(GoStation)』と呼ばれ、自社製電動スクーターのバッテリーをユーザーに供給するために、台湾国内1200カ所以上設置されています。

主な設定場所は、ガソリンスタンド、スーパー、地下鉄の駅、コンビニエンスストアなど。

ゴゴロ製電動スクーターは、搭載されるバッテリーをレンタル式としており、走っている途中でバッテリーの電力がなくなりかければ、ゴーステーションで充電済みのバッテリーと交換可能なので、充電する時間はかからず、重いバッテリーの予備や充電器を持ち歩く必要もありません。


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しかも、ゴーステーションは365日24時間稼働し、スマートフォンのアプリで今いるところから最も近いステーションを探すことができる仕組みとなっています。

ヤマハ・EC-05の性能は

ヤマハ・EC-05 / © Mynewsdesk Yamaha

ゴゴロ 2 プラス / © 2014-2019 Gogoro Inc.

EC-05は二人乗り仕様のため、日本の原付二種(51~125cc)にあたる大きさです。

ブレーキはフロントに4ポッド、リアに2ポッドのキャリパーが装着されており、このクラスにおいては十分すぎるほどのスペック。

また、通常のスクーターはベルト駆動ですが、EC-05はドライブチェーン駆動である事も大きな特徴です。

ベースとなっているゴゴロ社のモデルは発表されていませんが、外観や装備を比較すると、ゴゴロ2シリーズが最も近いモデルであると考えられます。


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また、EC-05は最高速度90km/h、0-50km/h到達時間3.9秒を発揮。

航続距離は正式には発表されていませんが、ゴゴロ2シリーズが約97kmであるため、EC-05も同等の性能を誇ると考えられます。

バッテリーはパナソニック製のリチウムイオン電池で、重量は約9kg。

バッテリーパックは車体に2個搭載可能ですが、1個だけ搭載しての走行もできます。

そしてもちろん、EC-05もゴーステーションが利用可能です。

日本でゴゴロに乗れるところが石垣島にあった


ゴゴロの電動スクーターは、沖縄県石垣島でも乗ることができます。

住友商事が100%出資し、株式会社e-SHARE石垣を設立。

石垣島でゴゴロのバイクをレンタル可能で、50ccクラスの電動スクーターであれば1時間1,000円から借りることができます。

石垣島内には貸出拠点を5カ所、ゴーステーションを6カ所設置されているので、観光時の島内の移動手段として、とても便利なサービスです。

スペック

左上:ダークグレー、右上:シルバーホワイト、左下:ブラック、右下:ダークブルー / © Mynewsdesk Yamaha

ヤマハ・EC-05
全長×全幅×全高(mm) 1,880×670×1,180
ホイールベース(mm) 1,300
シート高(mm) 768
車両重量(kg) 126
乗車定員(名) 2
最高出力(kW[HP]/rpm) 7.4[10]/3,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 25.9[2.65]/0~2,500
タンク容量(ℓ) 25
タイヤサイズ 100/80-14
110/70-13
ブレーキタイヤサイズ φ245mmディスク+4ポットキャリパー
φ180mmディスク+1ポットキャリパー
価格 99,800元

まとめ

© 2014-2019 Gogoro Inc.

ゴーステーションは、石垣島を除き、日本では設置されていないため、EC-05の日本導入は今のところありません。

ゴゴロのCEO ホレイス・ルーク氏(Horace Luke)は、パートナー企業と共に来年、欧州、オーストラリア、アジアへの進出を計画しており、UberやLyft、Lime、Bird、Coupといった企業とシェアリングプログラムも話し合われています。

その流れから、日本にもゴーステーションの設置が計画されれば、EC-05の日本導入もありえるかもしれません。

そして、ゴゴロのようなバッテリー交換式電動スクーターと、交換式バッテリー用充電ステーションが世界的な規格になる日も近いのではないでしょうか。

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