イタリア最大のバイクメーカー ピアッジオから、フルモデルチェンジされた新型MP3が発表されました。そんな新型MP3のプロモーション動画では、3輪スクーターでありながらヒザ擦りしながらサーキットを攻める姿が収録されています。3輪スクーターにスポーツの要素を合わせ持った新型MP3とは、一体どんなスクーターなのでしょうか。
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前2輪・後1輪スクーターの元祖!ピアッジオMP3がフルモデルチェンジ
ドイツ大手の自動車部品メーカー ボッシュや国産バイクメーカーは転ばないバイクを目指して開発を進め、ヤマハはピアッジオと同じ前2輪・後1輪のスクーター・トリシティの市販化まで行なっています。
そんな中で、前2輪・後1輪の3輪スクーターを最初に市販化したのがピアッジオMP3です。
ピアッジオMP3は2007年3月に日本で発売され、すでに10年が経過。
ヤマハ トリシティ125が2014年9月の登場なので、ピアッジオは7年も早くトリシティと同等なパラレログラムリンクを市販化しています。
このパラレログラムリンクを開発したことにより、通常のトライクやサイドカーのようにハンドルの蛇角で曲がるのではなく、身体の荷重移動によって車体を傾斜させてコーナリングする感覚を3輪スクーターで実現。
今までのスクーターから大幅に、転倒のリスクを軽減させました。
そんな転ばないバイクの最先端をいくMP3は、今回のフルモデルチェンジで新型のエンジンを搭載し、スポーツ性能や燃費性能の向上を実現。
ライバルの3輪スクーターより更に先を行く性能を手に入れ、驚くべき進化を果たしたのです。
ピアッジオ・MP3とは
MP3は2007年に発売されて以降、52カ国で販売され17万台を売り上げた大ヒットスクーターです。
特にフランスのスクーター市場は全世界の売り上げの60%を占めており、フランス国内で高い支持を得ています。
冒頭でも述べているように前2輪・後1輪のスクーターはMP3が史上初で、のちに同様の3輪スクーターのプジョー メトロポリスやヤマハ トリシティ125/155などが登場。
台湾メーカー キムコも『CV3』及び『CV2』、『XCITING S 400(エキサイティングS400)』といった3輪スクーターのコンセプトモデルを発表しています。
そんな流れを作ったMP3は、前2輪・後1輪スクーターのパイオニアであり、このジャンルを牽引するモデルです。
ピアッジオ MP3とヤマハ トリシティに採用されたパラレログラムリンクとは
ピアッジオMP3やヤマハ トリシティ125/155のフロントサスペンションに採用されているパラレルグラムリンクは、前2輪の左右独立式サスペンションを支持し、旋回時に車体と同調してリーンすることができる機構です。
ちなみに、パラレログラム(=parallelogram)とは英語で『平行四辺形』を意味しており、左右独立式サスペンションを二本のアームで支え、アームとサスペンションが平行四辺形のようなリンク構造を形成します。
そしてバイクが直立時は直角の長方形ですが、コーナー旋回時に車体が傾くと2本ずつのサスペンションとアームは平行四辺形の形状に変形。バンク角が増すと急な角度になり、高さが短い平行四辺形になっていく仕組み。
これにより、車体をバンクさせても3輪全てが地面に接触した状態を保て、前2輪の独立したサスペンションでショックを吸収しながらの走行が可能に!
また、MP3とトリシティ125のフロントサスペンションは同じパラレログラムリンクを採用しているのですが、搭載されているサスペンションは異なっており、トリシティ125/155はテレスコピック式、MP3はボトムリンク式となっています。
この2つのサスペンションのどちらが良いのかは、好みが分かれるところですが、それぞれメーカーのこだわりが垣間見えるポイントではないでしょうか。
ABSブレーキシステムとトラクションコントロールASRを搭載
トリシティやMP3には、前二輪のそれぞれにディスクブレーキが装着されており、3輪全てにABSを搭載。
ABSはコンチネンタル社と共同開発したもので、3チャンネル コントロール ユニットという制御を用い、3輪それぞれ独立したブレーキのかかり具合をコントロールしています。
また、車体の安定性を向上させるためのトラクションコントロール『ASR(Acceleration Slip Regulation)』が搭載されており、タイヤのスリップを検知すると駆動力をコントロールして最適なトルクに調整してくれるので安心です。
ロールロックと車輪ロックを装備
MP3には、停車時に車体が傾かないように『ロールロック』という機能が採用されています。
これは、右ハンドル付近にON/OFFスイッチがあり、信号などでの停車時にロールロックをONにすれば足で支えなくても車体が直立した状態を維持する機能となっており、センターコンソールにあるレバーで自動車のサイドブーキにあたる車輪ロックをかけることも可能。
これにより、スタンドを使わずにスクーターを駐輪することができ、駐輪場での出し入れも簡単になるので非常に便利です。
3輪スクーターなのにサーキットでヒザ擦り!MotoGPライダーがMP3で攻めの走りを披露!
フルモデルチェンジされた新型MP3が話題となったのは、このプロモーションムービーでした。
ムービーではピアッジオグループであるアプリリアレーシングのライダー アレイシ・エスパロガロ選手とスコット・レディング選手がMP3でサーキットを走行。
3輪スクーターとは思えない攻めたライディングを披露し、コーナーをフルバンクでヒザ擦りしながら走り抜けています。
また、レディング選手は、MP3で手のひらを地面に擦りながら走行しているところを自身のインスタグラムにアップし、スポーツ性能の高さを示していました。
この動画を見ていると、街乗りだけではなく、レーシングスーツを着てMP3でサーキットの走行会に参加するのも有かもしれません。
フルモデルチェンジでの変更点は
新型MP3では、『MP3 500 HPE Business ABS ASR』、『MP3 SPORT 500 HPE』、『MP350』の3モデルがラインナップされました。
エンジン出力のアップと低燃費化を実現
車名にある”HPE”という文字は、High Performance Engine(ハイ・パフォーマンス・エンジン)の略であり、その名の通り、エンジンは新開発で高性能に!
また、MP3 500 HPE BusinessとMP3 SPORT 500 HPEは、従来のエンジンから約14%のパワーアップを果たし、同時に燃費性能も向上。
新開発の電子加速制御システム『ライド・バイ・ワイヤー(Ride by Wire』』も搭載されており、ハンドルについているボタンでエンジン特性を変更して低速域から高速域まで最適な加速制御を行います。
そしてMP350のエンジンは、旧型『MP3 300』より排気量をアップ。
400ccクラスに匹敵するパワーを発揮し、ハイウェイでの高速クルーズやワイディングでの走行にも十分な走行性能を実現しています。
MP3 500 HPE Business ABS ASRにナビゲーションシステムを装備
MP3 500 HPE Businessは、ハンドルのセンターにナビゲーションモニターが装備されました。
このナビゲーションシステムはピアッジオが開発した『TomTom Vio』で、シティ派でスマートなイメージにも貢献しています。
スポーツ性能を向上させたMP3 SPORT 500 HPE
MP3 SPORT 500 HPEには、カヤバ製のガスショックアブソーバーが搭載され、スポーツ性能に最適なサスペンションセッティングがなされています。
また、ブレーキディスクはウェーブ形状となり、制動力を高めるだけでなくスポーティーなビジュアルも演出するオシャレなデザインとなりました。
スペック&価格
MP3 500 HPE Business ABS ASR / MP3 SPORT 500 HPE
MP3 500 HPE Business ABS ASR | MP3 SPORT 500 HPE | |
---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 2,200×800×1,540 | 2,200×800×1,540 |
シート高(mm) | 790 | 790 |
車両乾燥重量(kg) | 275 | 275 |
エンジン種類 | 4ストローク単気筒SOHC4バルブ | 4ストローク単気筒SOHC4バルブ |
排気量(cc) | 493 | 493 |
内径×行程(mm) | 94×71 | 94×71 |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 32.5[44.2]/7,750 | 32.5[44.2]/7,750 |
最大トルク(N・m[kgf-m]/rpm) | 47.5[4.8]/5,000 | 47.5[4.8]/5,000 |
トランスミッション | CVT | CVT |
タンク容量(L) | 12 | 12 |
WMCTモード燃費(km/L) | 25 | 25 |
価格 | 10.299ユーロ(日本円:129万円) | 10.699ユーロ(日本円:134万円) |
MP350
MP3 500 HPE Business ABS ASR | |
---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 2,200×800×1,545 |
シート高(mm) | 790 |
車両乾燥重量(kg) | 256 |
エンジン種類 | 4ストローク単気筒SOHC4バルブ |
排気量(cc) | 330 |
内径×行程(mm) | 78×69 |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 22.5[30.6]/8,500 |
最大トルク(N・m[kgf-m]/rpm) | 29[2.9]/6,250 |
トランスミッション | CVT |
タンク容量(L) | 12 |
WMCTモード燃費(km/L) | 25.6 |
価格 | 8.599ユーロ(日本円:107万円) |
まとめ
新型MP3の発売はフランス、イタリアから開始され、アメリカにはMP3 SPORT 500 HPEのみがデリバリーされています。
そして今後も世界中にデリバリーされていく見込みとなっていますが、現在日本市場への導入時期は未定です。
しかし、日本市場でもヤマハ トリシティ125/155など3輪スクーターの人気は高まっており、新型MP3の発表を機に、日本でもいち早く輸入してほしいとの声は少なからずあるはず。
新型MP3を筆頭に、3輪スクーターの開発競争はますます激化していくでしょう。
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