スズキの『ストリートマジック50/110』は、ツインスパーフレームでニイグリップスタイルでライティングするにもかかわらず、実はスクーターという変わり種バイク。しかも、ホンダNSR50を追い回せるほどの速さをみせるカッ飛び原付スクーターです。
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スクーター?ネイキッド?見てて不思議さを感じるスズキ・ストリートマジック
これはスクーターなのか?それともネイキッドなのか?
スズキ ストリートマジック50/110を見ていると、そんな不思議な感覚に陥ります。
なぜなら、スイングアームにエンジンを搭載したスクーターと同じユニットを、スチール製ツインスパーフレームに搭載してしまった、なんともエポックメイキングなバイクだからです。
スズキ・ストリートマジック50/110とは
スズキ ストリートマジックは、1996年から2006年まで生産された原付バイクです。
排気量50ccの、『ストリートマジック50』と『ストリートマジック50S』、『ストリートマジック50Ⅱ』が設定され、型式名からそれぞれ『TR50V』、『TR50SV』、『TR50SDV』とも呼ばれています。
また、排気量110ccの原付二種モデル『ストリートマジック110』と『ストリートマジック110Ⅱ』の2モデルもラインナップされており、こちらはそれぞれ『TR110SW』と『TR110SDV』。
ストリートマジック50Sには、エンケイ製アルミホイールやオイルダンパー内蔵フロントフォーク、リザーバータンク付きリアショックが装備されています。
そしてストリートマジック50Ⅱは、ブロックタイヤ、フロントタイヤ用アップフェンダー、フロントブレーキカバー、大型丸目ライトとライトガードを装備したオフロード仕様となっており、110Ⅱも同様です。
Nチビを追い回す速さのスズキ・ストリートマジック
スズキはストリートマジックをスクーターとしていますが、通常スクーターは乗りやすさと機能性を重視するために、スチールパイプを用いたアンダーボーンフレームを採用するのが一般的です。
しかし、ストリートマジックはホンダNSR50やヤマハ TZM50Rと同様に高剛性のツインスパーフレームを採用し、そこにスクーターと同等のエンジンやミッションなどをまとめてマウントしたスイングアームを装着。
通常エンジンがマウントされるメインチューブ下には、チャンバーがあるだけです。
そのため、車体にまたがりニイグリップで乗るバイクでありながら、エンジンユニットはスクーターのため、足元のステップにはチェンジペダルやリアブレーキペダルはなく、前後のブレーキ操作はハンドルの左右レバーで行います。
また、当時としては珍しい倒立フォームが搭載されるなど、スポーツバイクとしてもかなり豪華な仕様です。
さらに、エンジンが50ccでも7.2馬力を発揮。
これはNSR50と同等のパワーで、50ccレーサーレプリカに負けず劣らずの速さで走行できました。
ストリートマジックのレース活躍は
オートマだけど、ツインスパーフレームに倒立フォークが搭載されているとなれば、市街地だけでなくサーキットや峠で乗る好き者が現れるのは必然です。
スズキも販売促進のためにストリートマジックのワンメイクレースを開催し、ストリートマジックをレーサー仕様で乗る方も少なくありませんでした。
もともと、エンジンユニットはスズキの2スト原付スクーターと共通だったためパーツが流用しやすく、カスタムパーツも豊富に販売されていたため、カスタムベースとしても良質なバイクです。
そのため、改造無制限のFSクラスやOPENクラス、ミニバイクドラッグレースにストリートマジックのフルチューンで出場する方も一定数存在しました。
スズキ・ストリートマジック50Ⅱ/110Ⅱのスペック
2003年式・ストリートマジック50Ⅱ | 1998年式・ストリートマジック110Ⅱ | ||
---|---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 1,645×715×975 | 1,715×715×990 | |
軸間距離(mm) | 1,080 | 1,150 | |
シート高(mm) | 735 | 720 | |
乾燥重量(kg) | 80 | 88 | |
エンジン種類 | 2スト空冷単気筒ピストンリードバルブ | 2スト空冷単気筒ピストンリードバルブ | |
排気量(cc) | 49 | 113 | |
ボア×ストローク(mm) | 41×37.4 | 52.5×52.5 | |
圧縮比 | 7.1 | 6.8 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 5.3[7.2]/7,000 | [10]/6,500 | |
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm | 7.6[0.78]/6,500 | [1.2]/6,000 | |
トランスミッション | Vベルト式・無段変速 (1次減速比:3.400、2次減速比:4.400) |
Vベルト式・無段変速 (1次減速比:2.260、2次減速比:4.062) |
|
燃料消費率(km/L) | 54.0 | 40.1 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/80-12 | 120/80-12 |
後 | 120/80-12 | 120/80-12 | |
新車価格 | 235,200円 | 249,000円 | |
中古車相場 (参考:グーバイク2019年9月7日時点) |
5.9~23.8万円 | 15~35.8万円 |
まとめ
ストリートマジックはスクーターとされながらも、乗っているときのポジションはスポーツバイクそのもの。
乗ると膝すりやウィリー、ジャックナイフなどいろいろ試したくなる楽しさ満載のバイクです。
希少な2ストですが、まだまだ中古車両は安いので、これから新たなレースベース車両にストリートマジックという選択も面白いかもしれません。
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