リトラクタブルヘッドライトに、ブラック塗装の

テールゲートやビック リアバンパー。若者受けを狙い、1981年7月2日にモデルチェンジを行なった2代目セリカXXは、『スーパー グランド スポーツ誕生』をキャッチフレーズに掲げて空力重視のシャープなスタイリングで登場しました。そんな20代の若者層を主たるターゲットとし、80年代初頭に開発されたトヨタ セリカXX

A60型(北米名:スープラ)とは、一体どんなスペシャリティーカーだったのでしようか?

掲載日: 2018年12月13日

 

Toyota Celica Supra (MA61) / 出典:https://www.favcars.com/toyota-celica-supra-ma61-1984-86-images-19495-1024×768.htm

 

ルーツとなる初代セリカXX(A40/A50型)

 

1978年式セリカXX / 出典:https://www.favcars.com/toyota-celica-xx-ma40-1978-81-wallpapers-189708-1024×768.htm

 

まずは2代目セリカXXのルーツとなる、初代セリカXX(A40/50型)を簡単に紹介させていただきます。

初代セリカXXはトヨタ自動車の北米市場に向けた戦略車として、1978年に登場したセリカの上級モデルでした。

4M-EU型 6気筒エンジンを搭載するためにフロントノーズ部分を180mm延長するという工法で製作された事で、当時のジャーナリスト達の賛否両論を生むことに。

しかしオーバードライブ付きのオートマチック トランスミッションと6気筒エンジンの相性は良く、スポーツカーというよりはアメ車の『シボレー・モンツァ』や『フォード・マスタング』に近い高級グランドツアラーモデルとして、当時人気を得たのです。

そんな高級志向であった初代セリカXXのコンセプトは、”SUPER GRAN TURISMO”というキャッチコピーで1980年2月に登場した初代ソアラに引き継がれていくことになります。

そして2代目セリカXXは、ライバルである日産自動車が販売していたフェアレディZを見据えた、スポーツカー志向が強い戦略モデルとして開発されていきました。

 

世界の若者が求めるリアル・スポーツカー2代目セリカXX(MA60)

 

トヨタ・セリカスープラ / 出典:https://www.favcars.com/images-toyota-celica-supra-2-8i-uk-spec-ma61-1984-86-417711-1024×768.htm

 

1981年6月、生産車名『セリカ XX』コードナンバー520Bと呼ばれるクルマが日本からイギリス ノーフォーク州に送り込まれました。

そして現在では信じられない事なのですが、トヨタ自動車は新型車の宣伝のために海を越え、英国 ロータス社のテストコースに新型モデル『セリカ XX』を持ち込んで、TVCMや雑誌広告などの撮影を実施。

ロータス・カーズの創設者、コーリン・チャップマン氏にインプレッションを求めたのです。

雑誌広告での対談相手は、元トヨタ ファクトリーチームのエースドライバー、高橋晴邦氏でした。

彼らは高速コースでの同乗走行のあと、6気筒ツインカムエンジンや5速フルシンクロ トランスミッションについて、そしてステアリング機構やサスペンション機構について語り合い、最後に「このクルマは、リアルスポーツカーだと思う。国際市場の中でも魅力のあるスポーツカーである。」という最高の褒め言葉を残し、広告は終了します。

F1の神と呼ばれていたチャップマン氏を「Congratulations TOYOTA!!」と唸らせた『セリカ XX』は、いったいどんなクルマだったのでしようか。

 

ロングノーズ、ファストバック・ルーフ

 

TOYOTA セリカ・スープラ / 出典:https://www.favcars.com/pictures-toyota-celica-supra-ma61-1982-84-185627-1024×768.htm

 

1981年当時、新世代の若者に受けることを意識して造形されたスタイリングは先代XXとは対照的に直線基調のクリーン・シャープ・ダイナミックをテーマとして、低く鋭いノーズで空気を切り裂くイメージを追究し、デザインされました。

空気抵抗係数は、Cd=0.35という実用的なクーペでは世界的にもトップクラスの値を達成(同年式ソアラはCd=0.36)。

全長4660mm、全幅1685mm、全高1315mmと決してコンパクトとは言えないボディサイズの理由は、エンジンルームにソアラと同じ5M-GEU型6気筒DOHC2.8リッターエンジンを搭載するために、ベースモデルのセリカ リフトバックのノーズを伸ばして対応した事によるものでした。

また、ウエッジシェイプのプロポーションは、基本的に1960年代末のイタリアンスポーツカーデザインを承継しているものといえます。

 

2種類のパワーユニット

 

トヨタセリカXX / 出典:https://www.favcars.com/images-toyota-celica-supra-ma61-1984-86-19497-1024×768.htm

 

日本仕様のトヨタ セリカXXのパワーユニットは、オーナーの趣味・用途にあわせて2種類用意されていました。

1G-GEU型(レーザーα・ツインカム24バルブ)

直列6気筒DOHC1998cc

最高出力160ps/6400rpm・最大トルク18.5kgm/5200rpm。

吸排気が、それぞれ2個ずつバルブをもった4バルブエンジンです。

スペックが語るように基本的に、高回転・高出力型エンジンですが、『T-VIS』という吸気コントロールシステムを備えて低速性能も補っており、使い勝手のよさも持ち合わせています。

可動各部を低摩擦化、加えて極力軽量化して造られている為に、エンジンレスポンスも素晴らしいです。

また、エンジン整備重量は160kgで、セリカXXに搭載するとハンドリングが軽快になるなど相性の良さを感じ取る事ができ、高回転エンジンのサウンドと相まって、スポーツドライビングを楽しませてくれる性格に仕上がっています。

 

5M-GEU型

直列6気筒DOHC2759cc

最高出力170ps/5600rpm・最大トルク24.0kgm/4400rpm。

トルク重視の低・中速域が使い勝手の良い、大人しい性格のエンジンユニットです。

最高出力を抑え気味にして、実用燃費の向上を狙っています。

オートマチック トランスミッションとの相性が良く、セリカXXの北米仕様『初代スープラ』に搭載されたエンジンで、当時のクラウンや初代ソアラにも搭載されていたトヨタツインカムエンジン名機のひとつといえるでしょう。

 

Fun to drive・程よい操縦性とサスペンション性能

 

TOYOTA スープラ/出典:https://www.favcars.com/wallpapers-toyota-celica-supra-l-type-ma61-1982-84-21816-1024×768.htm

 

当時のトヨタ自動車CMのキャッチフレーズ『fun to drive』と、思わず呟いてしまうような仕上がりをみせていた2代目セリカXXのドライビング性能。

エンジン回転感応型パワーステアリングは、ロックトゥーロックが約3回転の専用ステアリングギアボックスに繋がれていて、シャープなハンドリングを生みだしています。

また、4輪独立サスペンションは、初代ソアラと同じコンポーネントですがフロントのスプリング ダンパー、スタビライザーともにセリカXXの方が硬いセッティングに。

リアのダンパーはソアラと共通でスプリングのみ少し硬めにセットされた一方、リアスタビライザーは1mm細く造られています。

とはいえ、勿論トレッドの幅やホイールサイズも異なる為、一概には語れないのですが、上記サスペンションセッティングの味付けにより、初代ソアラと比べて高速走行時のリアの足回りの路面追従性が大幅に向上している事は、当時の自動車専門誌によっても実証されました。

そしてブレーキシステムに目を向けると、サーボ付き4輪ベンチレーテッドディスクブレーキが装着されていて、耐フェード能力の向上が図られたスポーツ志向のメカニズムが導入されています。

 

セリカXX(MA60)型スペック

エンジン形式 5M-GEU水冷6気筒DOHC
ボア×ストローク 83.0×85.0mm
総排気量 2759cc
燃料噴射装置 電子制御燃料噴射装置
最高出力 170ps/5600rpm
最大トルク 24.0kgm/4400rpm
サスペンション形式フロント マクファーソン・ストラット・コイル
サスペンション形式リア セミトレーディングアーム・コイル
ステアリングギアボックス ラック・ピニオン形式
ブレーキ・前 ベンチレーテッドディスクブレーキ
ブレーキ・後 ベンチレーテッドディスクブレーキ
全長 4660mm
全幅 1685mm
全高 1315mm
車両重量 1235kg

 

まとめ

 

トヨタスープラ UK / 出典:https://www.favcars.com/pictures-toyota-celica-supra-ma61-1984-86-185587-1024×768.htm

 

2代目セリカXXが誕生した1981年は、自動車業界にとってオイルショックや排ガス規制という荒波を抜け、世の中全体が景気が良くなるではという雰囲気も手伝い、どこか希望を持てる夢のある時代だったといえます。

そんな時代背景の1982年に、少年誌の連載を開始した漫画『よろしくメカドック』では、主人公のメカニック、風見潤が決してパワーのあると言えないノーマルのセリカXX(MA60)をベースにツインターボ化やボアアップ、NOSキットなどでチューニングしていく様子が、具体的に描かれ人気を博しました。

『セリカXX』というネーミングは2代目のMA60型で終了し、バブル期に突入した1986年からは北米市場と同じ『スープラ』として後継機A70型が登場。

その後ツインターボや3リッターターボエンジン搭載のハイパワーモデルが、贅沢に誕生していきました。

 

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