今でこそメルセデス・ベンツの傘下にあるAMGですが、過去にはメルセデス以外のメーカー車のチューニングを請け負っていた時期もありました。中でも印象的だったのが今回ご紹介する「ギャランAMG」です。三菱とAMGという、今では考えられないコラボレーションによって生まれたチューニングカーは、一体どんな車だったのでしょうか?

掲載日:2019/11/10

ギャランAMG

出典:https://www.carfolio.com/specifications/models/car/?car=285736

ベースとなったギャランってどんなクルマ?

ギャランAMG

出典:https://bringatrailer.com/listing/1991-mitsubishi-galant-vr4/

ギャランはいわゆるDセグメントに分類される三菱の4ドアセダンで、日本国内では1969年から2005年まで、8代にわたって生産されてきました。

また、世代ごとに数回のマイナーチェンジや仕様変更を行ってきたこともあり、様々なバリエーションが存在します。

AMGチューンが施されたのは、1987年から1992年の間に販売されたE30系で、六代目。

トップグレードとして設定されたVR-4は、当時の直列4気筒エンジンとしては最高出力を誇った名機、4G63ターボを搭載しており、高性能スポーツセダンとして開発されました。

ハイテクな4WDシステムと4G63エンジンはランサーエボリューションに受け継がれており、ランエボの原型ともいえるほど動力性能に優れた車です。

派手過ぎないAMG流エアロカスタム

ギャランAMG

出典:https://en.wheelsage.org/amg/mitsubishi_galant/pictures/ye338a/

1989年のマイナーチェンジ時に、「ギャランAMG」が追加設定されます。

エクステリアにおける主なカスタムは、前後のフロントバンパースポイラー、リアバンパースポイラー、リアウイングの追加でした。

もともとマッシブで派手過ぎない、いわば「大人のスポーツセダン」としての性格を持つスタイルであるだけに、エアロパーツ類の主張は控えめ。

ベース車が持つ良い素性を更に引き出している「シブい」カスタムは、ドイツの名門チューナーであるAMGならではです。

木目を多用した上質なインテリア

ギャランAMG

出典:https://en.wheelsage.org/amg/mitsubishi_galant/pictures/tiqkq8/

インパネもエクステリア同様に、大人向けの渋い仕立てとなっています。

ドアパネルとシフトノブにはフェイクではなく本物の木目を採用しており、国産らしからぬ大人の色気を醸し出していました。

また、本革シートが標準装備となっており、大きな座面と肉厚なクッションでドライバーをホールドします。

フィーリング重視のドイツ流エンジンチューン

ギャランAMG

出典:https://www.motor1.com/news/225473/rare-amg-mitsubishi-galant-time-machine/

ベースとなったエンジンは、前述の名機4G63でしたが、なんとAMGがチョイスしたのはVR-4に搭載されたターボではなくNA。

開発において重視されたのが高回転域における連続使用での耐久性で、主にフリクションロスの低減が重要なポイントで、中空カムシャフトや冷間鍛造されたチタン合金製のリテーナ等、手間とコストのかかる素材を贅沢に使用することでバルブ周りの慣性重量を大きく改善することに成功しています。

その他ではポート経の拡大やピストンの変更、触媒排気抵抗の低減や、プレミアムガソリン仕様化等のメニューが施され、ノーマルの140馬力から170馬力までパワーアップを実現しています。

まとめ

ギャランAMG

出典:https://www.carthrottle.com/post/a5m2q5p/

ターボではなくNA、四駆ではなくFFと、あえてVR-4とは異なる方向性を示したギャランAMG。

欧州流の渋すぎるチューニングが日本人には受けなかったのか、国内での売れ行きはあまり良くなかったようです。

80年代後期の「なんでもあり」な時代だったからこそ実現した、三菱×AMGの夢のコラボレーション。

過熱していた当時の開発競争とは一歩引いた視点から見直すと、着眼点そのものが当時のスポーツカーとは一線を画している希少なクルマだったといえるでしょう。

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