こんにちは!Motorzの徳本です!1995年から2018年までトヨタから小型タクシー専用車として販売されていた、『コンフォート』には、かつて期間限定で受注生産されたコンプリートカーが存在しています。その名は『コンフォート GT-Z』。教習車をベースにスーパーチャージャーを装備したこの車は、今では幻のコンプリートカーとなっています。
掲載日:2019.8/17
コンフォートGT-Zとは
日本国内に住んでいる方であれば、一度は目にしたことがあるであろう車、「トヨタ コンフォート」。
このコンフォートは主にタクシーや教習車として使用されており、多くの人々から「はたらくくるま」として認識されています。
そんな速さとは無縁のコンフォートに、トヨタテクノクラフトの手でスポーティーなチューニングが施されたコンプリートカー、「コンフォートGT-Z」が存在したことを知っていますか?
教習車用コンフォート(SXS13Y)をベースとし、内部の3S-FE型エンジンには小倉クラッチ製のスーパーチャージャー(TX07)が組み合わされて、最大出力160ps/6,100rpm、最大トルク22.5kg・m/3,300rpmを発揮。
足回りには減衰力4段階調整式のTRDスポーツサスペンションと強化ブレーキ、RSワタナベ製ホイールが装着され、外装にはフロントエアロバンパー、FRP製リアスポイラー、専用マフラーを装備。
スポーティーな走りに対応できるよう、オプション装備にTRD製バケットシートと大森計器製の3連メーター、TRD製強化クラッチなどが用意されていました。
また、本来コンフォートの全グレードに施されているクローム処理は廃されて、トランク左側に「GT-Z」と赤く輝くエンブレムを装着。
速さを求めて進化した、1980年代スポーツセダンを思わせるスタイルを確立させました。
事実、サーキット走行では最高速度204km/hを記録しており、2003年の東京オートサロンではチューニングカー部門で最優秀賞を受賞。
外見上は地味な商用車でありながらも、中身はチューニングカーというギャップが特徴的で、まさに「羊の皮を被った狼」といえるでしょう。
コンフォートGT-Z基本スペック
車名:トヨタコンフォート
ベース車両型式:TA・SXS13Y-BEMDK
全長:4,590mm
全幅:1,690mm
全高:1,480mmホイールベース:2,680mm
エンジン:3S-FE(2000EFI)+TX07 スーパーチャージャー
種類:水冷直列 4 気筒縦置 DOHC
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
燃料供給装置:EFI( 電子制御式燃料噴射装置 )
総排気量:1998cc
燃料消費率:11.9mm/L
駆動方式:後輪駆動(FR)最高出力:160ps/6100rpm
最大トルク:22.5kg・m/3300rpm
乗車定員:5名
現在、コンフォートGT-Zに乗るには?
コンフォートGT-Zは、2003年7月から2004年2月までの期間限定で、試作品を含めて60台のみ受注生産されたコンプリートカーです。
この非常に少ない生産台数は、スポーティーな走りとは無縁の商用車をベースにしたことから、需要はあまり高くないと判断されたことによるもの。
その希少さから現在では幻のタクシーとして扱われており、2017年時点で全56台現存していますが、出荷時の状態を保った個体を入手することはほぼ不可能です。
しかし内装・外装に若干の手が加えられた個体であれば、巡り会うことも可能なので、コンフォートGT-Zに乗りたい人は中古車市場で根気強く探してみてくださいね。
まとめ
教習車やタクシーなどの商用車として使われることを想定したコンフォートが、カスタマイズによってバリバリのチューニングカーへと変貌を遂げ、サーキットで驚異的な速さを記録したコンフォートGT-Z。
このクルマを見ていると、商用車として開発された車でも、チューニング次第では速くなれるという、「可能性」のようなものを感じ取ることができます。
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