昨年、日産スカイラインに、パフォーマンスモデル『スカイライン400R』が追加されました。その名前は、20年以上前にR33スカイラインGT-Rをベースに生み出されたメーカー純正チューニングカー『ニスモ400R』を思い出させます。おなじ400Rの名前を持つ、2台のスカイラインベース車両を比較し、その詳細を解説します。

掲載日:2020/01/17

© Nissan 2019

20年の時を得て復活した400R!2台の相違点とは

日産・スカイライン400R / © Nissan 2019

400R

ニスモ400R / 出典:https://www.supercars.net/blog/1997-nismo-400r/

2019年9月に、V37型スカイラインの上級モデルとして登場した『スカイライン400R』。

このモデルが発表された時、400Rという名前にピンときた方は、相当なスカイラインGT-R好きでしょう。

以前、存在していた”400R”は、ニスモがR33型 スカイラインGT-Rをチューニングした『ニスモ400R』というモデルです。

今回、新たに登場したスカイライン400Rは、ニスモ400Rの復刻モデルなのでしょうか。

答えは否。コンセプトや作り方をみると、そうではないようです。

スカイライン400Rとは

© Nissan 2019

スカイライン400Rは、V37型スカイラインセダンのビッグマイナーチェンジに伴って、新設定された最上級スポーツグレードです。

スカイラインGT Type SPをベースに、エンジン、サスペンション、フレームを専用チューニングし、最高出力を405馬力までアップ。

モデル名の『400R』は、スカイライン史上初めての400馬力超えを、日産で特別な意味をもつ”R”に象徴した形で、歴代スカイラインの中でも特別なモデルであることを強調したネーミングです。

スカイライン400Rのチューニング内容は

エンジンはスカイライン史上最強とされる3.0リッターV6エンジンの新世代、『VR型』を400R向けにチューニングしたもの。

小型のタービンを渦電流式(磁束感知式)のターボ回転センサーで精密に監視し、ターボの回転限界領域まで使いきる過給圧とすることで、通常グレードより100馬力アップ。

アクセルを踏んだら踏んだ分、シャープなレスポンスを感じる事ができます。

水冷式インタークーラーには特別に、強化ウォーターポンプを採用し、冷却性能の向上を果たしました。

サスペンションは専用で、スポーティーにセッテイングされ、ブレーキキャリパーとシャシーも大パワーを受け止めれるよう強化。

さらに、世界初のステアバイワイヤ『ダイレクトアダプティブステアリング(DAS)』、クルマの挙動を瞬時に最適化する『インテリジェント ダイナミックサスペンション(電子制御ショックアブソーバー)』といったハイテク制御デバイスが標準装備され、加速感や操作性はスポーツカー、乗り味は高級セダンのような上質さを実現しています。

ニスモ400Rとは

ニスモ400R / (C) NISSAN MOTORSPORTS INTERNATIONAL CO.,LTD.

ニスモ400Rの発売当時の車体価格は、1,200万円。

限定55台生産されたうち、40台がデリバリーされた、ニスモによるコンプリートカーです。

スカイラインGT-Rにもともと搭載されていたRB26DETTに、専用の鍛造クランクシャフト、コンロッド、ピストンを取り付け、排気量を従来の2.6リッターから2.8リッターまでアップさせたRB-X GT2エンジンを搭載し、当時のN1マシンと同等のギャレット、N1メタルタービンと強化アクチュエーターを採用。

最高出力400馬力を絞り出します。

モデル名の400Rは最高出力から命名され、Rもスカイライン400R同様に日産の特別モデルであることを象徴するものです。

ベースはR33型スカイラインGT-Rですが、エンジンや吸排気系だけでなく、サスペンション、ブレーキ、エアロパーツ、内装のシートやハンドル、320km/hスケールメーターまで、いたるところに手が加わっており、当時のR33型スカイラインGT-Rにおける、究極のワークスチューニングカーでした。

スペック比較

左:VR30DDTT、右:RB-X GT2 / © Nissan 2019、(C) NISSAN MOTORSPORTS INTERNATIONAL CO.,LTD.

ニスモ400R スカイライン400R
型式 E-BCNR33 5BA-RV37
全長×全幅×全高(mm) 4,675×1,830×1,330 4,810×1,820×1,440
ホイールベース(mm) 2,720 2,850
車両重量(kg) 1,550 1,760
原動機型式 RB-X GT2 VR30DDTT
エンジン種類 直列6気筒DOHC24バルブターボ V型6気筒DOHC24バルブ
排気量(cc) 2,771 2,997
内径×行程(mm) 87.0×77.7 86.0×86.0
圧縮比 8.5 10.3
最高出力(kW[PS]/rpm) 294[400]/6,800 298[405]/6,400
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 468[47.8]/4,400 475[48.5]/6,400
トランスミッション 5速MT 7速AT(マニュアルモード付)
駆動方式 4WD FR
WLTCモード燃費値(km/L) 総合:10.0
市街地モード:6.5
郊外モード:10.6
高速道路モード:12.5
タイヤサイズ 275/35-18 245/40RF19
275/35-18 245/40RF19

 

まとめ

SKYLINE 400R SPRINT CONCEPT / © TOKYO AUTO SALON ASSOCIATION

2020年1月10日~12日の間に開催された東京オートサロン2020で、日産は『スカイライン400Rスプリント・コンセプト』を公開。

こちらはオリジナルのエアロパーツが装着され、ノーマルよりもレーシーに仕立てられたコンセプトカーでした。

ブースでは、参考車両価格帯について562万5,400円のプライスタグが示されていました。

ニスモ400Rは55台限定生産のコンプリートカーのため、今となって中古車での購入は非常に困難となっています。

そんな、スカイラインGT-Rに憧れた世代の方に、是非楽しんで頂きたい!

スカイライン400Rは、そんな存在です。

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