WRCにおいてランチアは、かの有名なストラトスと並んで、もう1台、ランチア・デルタHFというマシンを生み出しました。このランチア・デルタHFは1987年から1992年にかけ、WRC6連覇を達成した伝説のマシンです。外観こそフォルクスワーゲンのゴルフと変わらないコンパクトな姿をしていますが、2.0リッターターボエンジンを搭載しているなど、WRCに勝つための要素が詰まった1台となっています。
ランチア・デルタHF、その誕生と伝説
ランチア デルタHFが登場したのは、1979年のフランクフルト・モーターショーでした。
当時はフォルクスワーゲンが1975年に発表したゴルフが人気を博しており、ランチア デルタHFもこれと同じ2ボックスカーとして開発されました。
「小さな高級車」をコンセプトとし、ゴルフと同じイタルデザインが外観を手掛け、内装に人工皮革を用いるなど、上品かつオシャレなスタイリングはヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを獲得するほどの仕上がりです。
そんなランチア デルタHFは、見た目こそコンパクトな高級車ですが、その中身は驚くほどスポーティー。2.0リッター直列4気筒ターボエンジンとフルタイム4WDシステムが装備され、1987年度のWRCにグループAクラスで出場。
開幕戦のモンテカルロには4台のデルタHFが投入され、そこでの優勝を皮切りに9勝し、タイトルを獲得しています。
そして、続く1988年にはデルタHF インテグラーレへとバージョンアップし、旧モデルと比較して前後フェンダーを大きく張り出し、トレッドも拡大。最大出力165psから185ps、最大トルクも29.0kgmから31.0kgmへとアップさせ、より戦闘的なマシンへと進化させました。
この甲斐あってか、デルタHF インテグラーレが投入された同年のWRCでは10勝、アルゼンチンやサンレモ、アクロポリスなどでは上位を独占し、サファリでの優勝も達成。1989年には、ターボエンジンが16バルブ化されたデルタHF インテグラーレ16Vへ進化させ、セリカGT-FOUR ST165やランサーエボリューションなどの1980年代に開発された最新マシン達と対決。互角の勝負を繰り広げました。
この年のWRCでは7勝を挙げてタイトルを獲得し、デルタHF インテグラーレ16V エボルツィオーネへ進化する1992年まで、タイトルを防衛する事にも成功。
その記録は1992年で途絶えることになりましたが、WRCでのメイクスタイトル6連覇という記録を堂々と打ち立てたデルタHFは、今も名車として語り継がれています。
ランチア・デルタHFのスペックと中古車価格
ランチア・デルタHFのスペック
1986 LANCIA DELTA HF 4WD(ROADCAR)
全長:3895mm
全幅:1620mm
全高:1380mm
ホイールベース:2475mm
車両重量:1190kg
エンジン形式:水冷直列4気筒DOHC+ターボチャージャー
総排気量:1995cc
最高出力:165ps/5250rpm
変速機:5段MT
タイヤ:185/60R14
最高速度:208km/h出典:LANCIA DELTA HF 4WD|アバルトの歴史を刻んだモデル No.026|SCORPION MAGAZINE
ランチア・デルタHFの中古車価格
ランチア デルタHFの中古車価格は応相談が多く、本体価格が明記されているものでも850万円ほとなっています。
まとめ
WRCで、前人未到の記録を打ち立てたランチア・デルタHF。
1970年代に開発された車でありながら、ライバル達に対抗するべく年々進化を遂げては、最新マシンを相手に優勝をもぎ取るなど、その華々しくも見応えのある活躍は見る者を惹きつけて止みませんでした。
1987年から1992年まで、WRCに名を残したデルタHFは、今後も多くのファンに愛され続けて行くでしょう。
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