初代MR2は、1984年にトヨタから登場したMR(ミッドシップ)車です。日本初のエンジンを運転席の後ろに積むミッドシップレイアウトの量産車として登場。その特異なレイアウトを持ったMR2は、今でも独特の存在感を放ちます。そんな初代MR2を、詳しく紹介します。

出典:https://www.toyota.co.jp/

社長の一声から始まった「常識に捕われない新しい自動車」

初代トヨタ MR2 / 出典:https://gazoo.com/car/newcar/vehicle_info/Pages/detail.aspx?MAKER_CD=A&CARTYPE_CD=310&GENERATION=-2&CARNAME=MR2

当時のトヨタ自動車 豊田英二社長からの、「トヨタには将来、常識では考えられないひと味違ったクルマがあってもいいのではないか」という一声から、MR2の開発はスタートしたと言われています。

そして1983年の東京モーターショーで、SV-3というコンセプトカーを発表。ほぼコンセプトカー通りのまま、1984年6月に発売されたのが、初代MR2(AW10/AW11)です。

コンセプトモデルからエンジンは運転席の後ろ(ミッドシップ)に搭載されており、日本車としては初のレイアウトは、大いに話題となりました。

デザインもミッドシップ故の低く短いフロントノーズや、当時のスポーツカーの象徴とも言える、リトラクタブルライト、リアエンジンに空気を送り込むサイドのエアダクトなど、特異なレイアウトを活かし、MR2をよりスポーティな車に仕上げることに成功。

発売後は1984年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、その後、北米でもカー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、世界中の期待を受けていたことが分かります。

当初はスポーツカーではなく、気軽にドライブに行ける車を目指していた

Photo by elminium

MR2の車名の由来は「ミッドシップ(Midship)-リアドライブ(Reardrive)」と勘違いされることが多いのですが、実は「Midship Runabout 2sheeter」の略。

意訳すれば、「気軽に走り回れるミッドシップで2シーターの車」という意味が込められています。

トヨタは、MR2をスポーツカーではなく、気軽に乗れる車を目指していたのです。

そのため、足回りやエンジンはE80系カローラからの流用。ざっくりと言ってしまえば、FFレイアウトのカローラの前後をひっくり返したものが、初代MR2のベースとなっています。

ちなみに、この手法はMR2より先に登場していたミッドシップレイアウトのスポーツカー、フィアットX1/9やポンティアックフィエロを参考にしたとも言われています。

そのため発売当初はスーパーチャージャー仕様は設定されず、楽しくドライブに出かけられる車というのが想定だったことが伺えます。

マイナーチェンジでついにスーパーチャージャー仕様が登場、モータースポーツシーンでも活躍

photo by:高原友希

しかしながらそのスポーティな見た目や周りからの期待が高まると、1986年の改良でついにスーパーチャージャーという武器を持ち、最大馬力145psというAE86をも上回るパワーを手に入れます。

当時はFRスポーツカーからFFスポーツカーへの過渡期だったこともあり、車種が減っていくFRスポーツカー乗りからは新しい選択肢としての、MRレイアウトが歓迎されました。

FRのAE86と比べてエンジンが駆動輪と同じ位置にあるためトラクション性能が高く、エンジンという一番の重量物が車体の中心近くにあった初代MR2は、クルクルとコマのように回ることができました。

その性質上、サーキットよりもスピンターンや低速セクションを走るジムカーナに好んで使用されています。

主要スペックと中古車価格

トヨタ MR2(AW11型 1984年式)
全長×全幅×全高(mm):3,950×1,665×1,250
ホイールベース(mm):2,320
車両重量(kg):960-1,120kg
エンジン仕様・型式:4A-GZE型 水冷4気筒DOHC+スーパーチャージャー
総排気量(cc):1,587
最高出力:145ps/6,400rpm
最大トルク:19.0kgm)/4,400rpm
トランスミッション:5MT/4AT
駆動方式:MR
中古車相場:100万~360万円
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BBMR2#2%E4%BB%A3%E7%9B%AE_SW20%E5%9E%8B%EF%BC%881989%E5%B9%B4-1999%E5%B9%B4%EF%BC%89

まとめ

Photo by orion

コンセプトモデルから期待され続けた初代MR2(AW10/AW11)は、改良を加えられながら1989年まで製造されました。

そして、元々は気軽にドライブに行く車というコンセプトだったはずの初代MR2は、FFレイアウトの流用という最初のボタンをかけ違えたまま周囲の期待に答え、スポーツカーらしく性能を向上させていきます。

結果として特にジムカーナをはじめとしたスポーツ走行シーンを席巻し、トヨタが作る本格的ミッドシップスポーツカーとして2代目SW20型へとバトンタッチします。

今となっては現存数も少なくなっており、なかなかお目にかかることもできないかもしれませんが、いかにもスポーツカーというデザインの初代MR2は、街中でもかなり注目度の高い存在です。