2代目MR2(SW20)は、1989年にトヨタが送り出したミッドシップレイアウトの2シータースポーツカーです。先代MR2からシャーシの改善、排気量アップ、さらにはターボチャージャーが装着され、スポーツカーとして万全の性能となった2代目MR2。しかし、当初はミッドシップレイアウト故の悪癖が顔を覗かせ、限界領域での走行では、乗り手に相当のドライビングスキルを要求するモデルでした。トヨタはこれに真っ向から向き合い、4度に渡るマイナーチェンジで改善を実施。今回はそんな2代目MR2について、詳しくご紹介します。

初代から更にスポーツ性能を高めたミッドシップスポーツカー

トヨタ SW20 2代目MR2 / 出典:https://toyota.jp/spo/information/collection/mr2/datafile/2_2.html

初代MR2は1984年から1989年までのあいだ生産され、2代目(SW20)へとモデルチェンジされました。

バブル時代が到来していたこともありますが、タウンユースを想定していた初代MR2は、スポーツカーとしてはシャーシ性能が不足しており、更にパワーを上げるとなると、シャーシの改善が必要となります。

そこで初代のシャーシがカローラベースであったのに対し、2代目は車格が上のセリカをベースとし、車体を大型化。

エンジンも1.6Lの4A-GE型から、セリカと同じ2Lの3S-GTE型に変更され、ターボチャージャーが装着されました。

初代MR2には廉価版の1.5Lエンジンを積んだ(AW10)もラインナップされましたが、あまり話題にならかったこともあり、2代目は3S-GE型の中でNA(3S-GE)とターボチャージャー(3S-GTE)の2グレードしか展開されていません。

マイナーチェンジを重ねて熟成していく

トヨタ MR2 / 出典:https://pressroom.toyota.com/

万全のミッドシップスポーツカーになった様に見えた2代目MR2ですが、それでも重量の増加とエンジン出力の向上により、足回りやブレーキ性能が不足しているとの指摘が多く寄せられます。

また、純正でLSDの設定がないことも、スポーツカーとしては不満という評価もありました。

さらに、1990年にはホンダからミッドシップスーパースポーツカーの初代NSX(NA1)も登場し、車格は違えど同じミッドシップとして、ライバル視されることとなります。

そんな中、1991年に1度目のマイナーチェンジが行われ、通称2型となります。

タイヤの大径化やブレーキの性能向上が図られ、最上級グレードには、純正でビスカス式LSDが装着されました。

1993年のマイナーチェンジ(3型)では、ターボモデルのターボチャージャーやインタークーラーの改良などにより、225psから245psへ出力を向上。

同じくNAモデルも165psから180ps(ATは170ps)へ出力が向上されています。

また、スポーツABSが開発され、オプションで設定。

このスポーツABSは、当時はまだ止まるためだけのABSだけが主流だった中、4輪独立で制御することでスポーツ走行にも使えるという画期的なものでした。

出典:https://ja.wikipedia.org/

1996年のマイナーチェンジ(4型)では、スポーツABSが4輪独立となり、標準装備されました。

なお5型になると軽量化の為のチャンネル数が減少する為、スポーツABSが目当ての場合は3、4型がおすすめです。

そして1997年に、最後のマイナーチェンジ(5型)が行われます。

NAエンジンを、通称BEAMSと呼ばれる進化した3S-GEに変更。可変バルブタイミング機構VVT-iを搭載し、200psを絞り出す最終型のNAは、ターボモデルとは一味違う高いスポーツ性能を誇ります。

このように、マイナーチェンジで改善を繰り返し、最終型を発売するころには「じゃじゃ馬」と呼ばれるほど乗りにくい車ではなく、しっかりとスポーツ走行ができるスポーツカーに変貌を遂げました。

ミッドシップレイアウトのメリットを活かしてサーキットやジムカーナ・ダートラで活躍

トヨタ SW20 2代目MR2 / Photo by Ian Gulinao

ミッドシップレイアウトのメリットといえば、エンジンが駆動輪の上にあることによるトラクションと、エンジンが運転席の後ろにあることで、重心が車両中心に近くなるため、高い旋回スピードを可能とすることです。

レーシングカーがミッドシップを採用することからも、運動性能が高いことは分かると思いますが、逆に限界を超えた時の挙動は、ナーバスで乗り手の運転スキルが必要となります。

特にパワーが増大した2代目MR2は、乗りこなすのが難しいクルマでしたが、扱いきれれば第一線級の戦闘力を持っているため、手懐ける楽しさも含めて好んで乗る人が多かったようです。

特にターンや低速からのフル加速が重要なジムカーナ競技では、初代に続き主力車種の一角を担っていました。

主要スペックと中古車価格

トヨタ MR2 GT(SW20型 1989年式)
全長×全幅×全高(mm):4,170×1,695×1,240
ホイールベース(mm):2,400
車両重量(kg):1,160-1240kg
エンジン仕様・型式:3S-GTE型 水冷4気筒DOHCターボ
総排気量(cc):1,998
最高出力:225ps(165kW)/6,000rpm
最大トルク:31.0kgm(304.0N・m)/3,200rpm
トランスミッション:5MT/4AT
駆動方式:MR
中古車相場:70万~300万円
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BBMR2

中古車を購入する際には、パワーが上がったマイナーチェンジ後のもので、ターボ車なら3型以降、NAなら5型がオススメです。

逆に1,2型は相場としても安くなっているので、格安で車体を探したい方は参考にしてください。

まとめ

©︎Motorz

マイナーチェンジを繰り返し、性能が煮詰められていった2代目MR2ですが、バブル崩壊後の販売不振などもあり、1998年に販売終了となります。

求めすぎた高性能は乗り手を選び、一部のコアファンには熱烈に歓迎されましたが、一般受けは微妙だったようです。

そこでトヨタは「気軽に乗れるタウンカー」という原点に回帰し、後継はMR-Sと名前を変えて発売。

販売終了から20年以上が経過し、街中では見かける数も少なくなりましたが、今でもサーキットやジムカーナ場では元気に走行する姿を、見ることができるかと思います。