世界的に盛り上がりを見せる「GT3」。カスタマーがマシンを購入しエントリーするこのクラス、ここ最近ではメーカーも増えて更に多彩なマシンで争われる様になってきました。今回はその最新マシンたちをまとめて一挙ご紹介いたします!
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そもそも”グループGT3″とは?
2005年にGT1、GT2に次ぐ第3のカテゴリーとして設立。当初のターゲットはアマチュアドライバーだった為、購入しやすい様に車両価格に制限が設けられていました。「FIA-GT3」や「GT3クラス」という呼び名もありますが、同じことを指します。
しかし上位カテゴリーが相次いで消滅、今や事実上のGTトップ・カテゴリーとして各メーカーが参入しているのです。
特にヨーロッパでは盛り上がりを見せており、中核である「ブランパンGTシリーズ」には50台以上のエントラントが集結。
2017年には「ブランパンGTアジアシリーズ」の開幕が決定しており、日本でも富士・鈴鹿の2戦が開催される注目のカテゴリーなのです。
夢のあるポイントとしては、GT3は参戦車両がすべて”販売”されている、ということでしょう。
日本のスーパーGTでも、コストを抑えられるメリットもあり多くのプライベーターが導入しています。
ちなみに今回紹介する各マシンの販売価格は、本国での税抜価格を元に日本円換算しています。
※各メーカーが公開している表示価格を参考にして掲載しています。実際の購入価格とは異なる場合があります。
日産GT-R NISMO GT3
海外では”Godzilla”の愛称で親しまれる和製スーパースポーツ、日産 GT-R。
世界戦略の一環として2012年からGT3カテゴリーに参戦を開始しています。
駆動方式はFR化され、市販車と同じエンジン(VR38DETT)で最高出力550psを発生。
開発が進んだ2015年にはブランパン耐久シリーズで見事年間チャンピオンに輝いています。
スーパーGT300クラスにも「NDDP RACING」がエントリー。第2戦富士で優勝、シリーズランキング4位の座に就きました。
他の参戦マシンに比べると全高が高く、猛然と背後からプレッシャーをかける姿は正に”ゴジラ”と呼べる迫力があります。
お値段は3360万円と、他のGT3マシンと比較するとリーズナブルといって良い価格でしょう。
アキュラ NSX GT3
ホンダの北米向けブランド「アキュラ」が開発したGT3マシンです。
2017年1月のデイトナ24時間レースでデビューを飾り、その後は北米でのGTレースに参戦。
来年は世界的なデリバリーも行われるとのことで、スーパーカー頂上決戦に華を添えてくれそうです。
NSXのGTマシンといえばスーパーGTで見慣れている感はありますが、
この仕様は市販車のコンポーネントが多く使われているのが特徴。
ロードモデルとほぼ同じ3.5L V6 ツインターボユニットをミドシップに搭載し、よりNSXのポテンシャルを生かした仕様となっています。価格に関する情報は現時点では不明の様です。
フェラーリ488 GT3
2015年にイタリア・ムジェロで発表されたフェラーリの新たなGTマシン「488GT3」。
こちらも市販モデルと同じ3.9L V8 ツインターボエンジンを搭載し、過去の自然吸気フェラーリとは違う野太いターボサウンドを響かせます。
2016年シーズンのスーパーGTにも上陸し、「LM corsa」によるエントリーで開発が進行中。2017年シーズンの活躍に期待がかかります。
そして貫禄のお値段、およそ6700万円!このクルマでレースに出ることがステータスかも知れません…。
アウディR8 LMS
2015年にデビューした新型R8をベースに開発された「R8 LMS」。
激戦のGT3勢の中で、台風の目と言える速さを持ったマシンです。
エンジンは5.2L V10ツインターボを搭載し、先代に比べると軽量化も更に進んでいる模様。
2016年のスーパーGTでは2チームが導入し、「Audi Team Hitotsuyama」がオートポリス大会の代替えで行われた第3戦もてぎ で見事優勝を果たし、シリーズランキングも3位に輝きました。
また昨年のデイトナ24時間レースにてクラス優勝を獲得しているのもこのマシンです。
ルマン撤退でアウディ唯一のスポーツシンボルとなるこのマシン、他メーカーとは本気度が違うと言えるかもしれません。
お値段はおよそ4400万円です。
ランボルギーニ ウラカン GT3
5.2L V10自然吸気エンジンの官能的サウンドが特徴のウラカン、GT3仕様ではMR化が図られ純レース仕様に仕立てられています。
2016年は2台体制の「JLOC」と「Direction Racing」から計3台が参戦。スーパーカーらしいパワフルな走りで人気を博しました。カスタマー向けの販売価格は約4500万円です。
GTレース初経験ながら本場のレースで3連勝、計4勝の快挙を成し遂げました。
メルセデス・ベンツ AMG GT3
メルセデスの新フラッグシップ「AMG GT」のエンジンを6.3L V8自然吸気エンジンに変更し生まれた「AMG GT3」。
往年の「300SL」をオマージュしたグリルが”らしさ”を放ちます。
昨シーズンのスーパーGTには早くも5台がエントリーし、ほぼ毎戦上位に食い込む走りを見せました。
また2016年のブランパンGTシリーズ年間チャンピオンは、強豪アウディ勢を抑え「HTP Motorsport」が走らせるAMG GT3が獲得しています。
更に同年のニュルブルクリンク24時間レースでは、なんと1.2.3フィニッシュの偉業を達成。
現時点で最速のGT3レーサーと言えるでしょう。
お値段は約4200万円と、導入するチームが激増しているのも頷けるプライスです。
ベントレー コンチネンタル GT3
20世紀のモータースポーツ黎明期にその名を馳せた名門「ベントレー」。
現在ではハイクラスカーのイメージが圧倒的に強いものの、2012年に発表した「コンチネンタル GT3」は非常にストイックなレーサーに仕上げられています。
4.4L V8ユニットはドライサンプ化され、可能な限りフロントミドシップに搭載。
特筆すべきは車重で、ノーマルの2.2トンを超える重量をおよそ1トンも軽量化しているのです。
スチール製のボディパネルはすべてカーボン製に置き換えられ、エンジン及びミッションだけでも270kg削られているとのこと。
それでも緻密にハンドメイドされたステアリングなど、職人気質なベントレーらしさは健在。
故に価格も約6000万円とさすがのプライスです。
群を抜いて大柄ではあるもののドライバビリティは高く、2015年のブランパン耐久シリーズでは開発も担当する「M-sport」がシリーズランキング2位に輝いています。
BMW M6 GT3
BMWのフラッグシップクーペである「M6」をベースに開発されたこのマシン、2016年シーズンから投入が開始されました。
エレガントさを失わないフォルムに、ツーリングカーの王者 BMWらしい風格が漂います。
4.4Lの「M ツインパワー ターボV8エンジン」は出力こそ市販車とほぼ変わらないものの、モノコック前後やアライメントを中心に大幅な改造を加えられています。お値段は4600万円ほど。
2016年のスーパーGTでは「BMW Team Studie」と「ARTA」から計2台が参戦。
第5戦の富士ではARTA M6が見事クラス優勝を果たしています。
海外ではブランパン耐久シリーズの1戦である伝統のスパ24時間レースでの優勝などデビューイヤーから大いに活躍。
熟成の進んだ2017年シーズンは更に速さを増していくでしょう。
マクラーレン 650S GT3
新世代GT3マシンとしてレースを席巻した「MP4 12C GT3」のアップデート版、「650S GT3」。
市販車の時点でバスタブ構造のカーボン・モノコックを採用するこのクルマ、ポテンシャルでは他を圧倒する存在かもしれません。
先代から受け継いだ3.8L V8ツインターボエンジンを搭載。繊細なルックスとは裏腹に、重低音を響かせるエキゾーストノートが特徴的でもあります。
2016年のブランパンでは、第5戦ポール・リカールと第6戦ニュルブルクリンクで2連勝を果たす活躍を見せました。
お値段はフェラーリに迫る約6400万円。さすがマクラーレンといったところでしょうか。
ポルシェ911 GT3R
レースカーを”売る”ことにかけてはパイオニアであるポルシェ。その存在がなければ、カスタマー向けの「GT3」自体存在していなかったかもしれません。
このマシンはルマンをターゲットにした「911 RSR」の技術的フィードバックをもとに、更なる低重心化、空力処理などのブラッシュアップを受けた最新モデルです。
4.0L 水平対向6気筒とRRレイアウトには、耐久王ポルシェのノウハウが凝縮していると言って良いでしょう。
お値段5800万円と少々お高めですが、その信頼性を考えれば堅実なお買い物かも…?
レクサス RC F GT3
2017年の東京オートサロンで初公開された、レクサスのGT3マシン「RC F GT3」の最新モデル。
昨年ニュルブルクリンクで開催された「VLN9」には一足早くプロトタイプが出走し、見事デビューウィンを飾っています。
今シーズンは1月末のデイトナ24時間耐久レースを皮切りに、スーパーGTを始め世界中のGT3レースにデリバリー予定。
これで「日産VSレクサスVSホンダ」の3ワークス対決が、GT500クラス以外でも展開されることになりそうです。
まとめ
魅力的な最新のGT3マシンたち、いかがでしたでしょうか。
個性豊かなマシンが接近戦を演じられるのは、「BoP(バランス・オブ・パフォーマンス)」という性能調整があるお陰。
出力や重量などが参戦するレースに合わせて決められる為、マシン間で大きな差が付くことが無いのです。
かつてのワークス対決とは一味違い主役はあくまで「カスタマーチーム」ですが、見ての通りメーカーが火花を散らしているのは紛れもない事実。
今年は更に白熱するGT3から目が離せません。
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