世界3大レースのうちの2つ、F1モナコGPとインディ500。同じフォーミュラカーであっても、実はまったく違うインディカーとF1。その違いをご存知でしょうか?今回はそんな2種類のマシンの差に迫ってみようと思います。
そして、国内最高峰レース「スーパーフォーミュラ」とF1の違いはコチラにあります。
F1とスーパーフォーミュラって何が違うの?
それでは、F1とインディを比べてみましょう!!
CONTENTS
F1とは
フォーミュラカテゴリの中で頂点に君臨するF1!
モータースポーツに興味がない人でも、写真を見たらすぐにわかるだけの知名度を持っているモータースポーツですね。
世界選手権となっており、様々な国のレーシングドライバーや、自動車メーカー、レーシングチームが参戦していることも大きな特徴です。
インディカーとは
アメリカのレース運営組織Indycarの主催するフォーミュラレース、インディカーシリーズ!
基本はアメリカ国内を中心として開催されており、北米では最高峰のレースとされています。
今のF1には無いオーバルコースでのレースがあり、それに伴って左右異径のタイヤセッティングなど、独自のノウハウがあることも特徴。
日本でもツインリンクもてぎで開催されていたこともあります。
速度域がぜんぜん違う!
過去のレギュレーションでは、瞬間最高速370キロに達したこともあるF1ですが、インディカーはそのF1より速く、380km/hを超えます。
また、F1での1レース平均速度の最速記録が2004年にJ・P・モントーヤ選手が記録した262km/hに対し、インディカーはレース全体で平均速度350km/h前後という脅威の速度。
正直数値がおおきすぎてピンと来ない方が多いと思いますが、逆に言うと見当もつかないぐらい早いのです。
ただし、ここには大きなマジックがあって、F1の場合は多くのコーナーとストレートを結んだサーキットですが、インディカーはオーバルコースでのレースが多く、そのデータであるため、常用速度域自体が違うというポイントがあります。
とはいえ、最高速自体はF1を上回り、その速度域でレースが、そしてバトルが行われているわけですから、速さ自体は間違いありません。
オーバーテイクポイントが違う!
F1が行われるような国際コースでは、各コースごとに特徴があり、そのコースにあわせたオーバーテイクポイントが産まれます。
そのため、F1ドライバーは、針の穴を通すようなドライビングで、そのコーナーまでのプランを立て、テールトゥノーズから一気にオーバーテイクするのです。
インディカーの場合、オーバルコースに限った話ではありますが、コーナーの間にスリップについたと思ったら、ストレートでは横一線!ストレートでは3ワイド、4ワイド当たり前!
330km/hオーバーのコーナリングからのサイドバイサイド!350km/hからのオーバーテイク!
エキサイトしないわけがありませんよね?こういったところもインディの魅力です。
1周あたりのタイムが全然違う!
ここまで読むと「インディカーのほうがF1より早いんじゃないか!?」なんて思っていませんか?
でも、違うんです。
よく「トータルバランス」なんて言葉を耳にしますが、モータースポーツは、最高速が全てではありません。
F1とインディカーでは、そのトータルバランスによって、コーナリング速度や立ち上がり加速などの味付けが全く違うため、コース一周あたりのタイムがが全然違うのです。
この2つのフォーミュラでは、近年は同じサーキットによるレースが無いため、純粋な比較は難しいですが、タイムの近いスーパーフォーミュラとの比較を以下にまとめてみました。
比較したサーキットは、SFもインディも開催されたツインリンクもてぎのロードコース!
ツインリンクもてぎ ロードコース
SFのタイム:1分32秒657(2015 #38)
インディカーのタイム:1分38秒3918(2011 #9)※SFとF1の比較は以下
鈴鹿サーキット
SF:1分37秒157
F1:1分32秒584
この辺のまとめは、過去にMotorzでも一覧にしているので、以下も併せてお読みいただけたら幸いです。
スーパーFJからF1まで、フォーミュラ―カーレースについて最低限、知っておきたい5つの事
どうでしょうか?インディカーはSFの6秒落ちであり、SFはF1の5秒落ちになります。
間接的な検証ではありますが、最高速や平均速度にこれだけ開きがあっても、F1とインディでは10秒差近くも開いているのです。
絶対的な速度差があっても、これだけの違いがあるのが、マシンスペック上の性能の開きなのです。
マシンスペックが違う…はずだけど、そこまでスペックの差はない?
F1の簡単なスペックは、車重702kgにおよそ750馬力を発生する1.6リッターV6ターボエンジンを搭載。
パワーウェイトレシオ1kg台かつ、ここに回生エネルギーも加わっており、とてつもないスペックであることが理解できます。
インディカーはオーバルコースでは車重701kg、ロードコースでは車重が714kgと分かれており、エンジンは2.2リッター以下のV6エンジン。
ちなみにツインターボエンジンで、オーバルではおよそ550馬力、ロードコースではおよそ700馬力程度と言われています。
こうやって見るとそこまでマシン自体には差がないように見えますが、インディカーシリーズでは空力パーツの作成・購入予算に上限が設けられているため、F1ほどのダウンフォースは産んでいないと思われます。
それでは、その空力パーツの違いを見てみましょう。
同じように見える?見た目もこれだけ違う!
ちなみに、ここまでの画像で見た目がぜんぜん違うことにお気づきですか?
見比べてみましょう、
F1
インディ
どうでしょうか?
大きく違うところといえばサイドポンツーン(車体の側面)から、車体後部にかけての形状が全然違いませんか?
F1はやはり、みんながイメージするだけあって、フォーミュラのお手本のような形をしています。
一部、やりすぎかと思えるほどに段がついた空力パーツがついていたりしますが、そこはご愛嬌。
インディカーの場合、空力パーツの作り方にある程度自由が利くため、リヤタイヤ周りのパーツに独自性があふれています。
この辺りはインディ特有のパーツで、近年のパーツはどこかサイバーフォーミュラを連想させられるのは、気のせいでしょうか?
ここまで読んだけど、結局どっちが優れてるの?
結論を先に申し上げますと、判断できません。
ここまで読んだアナタはお分かりかと思いますが、たとえばオーバルにおけるインディカーの速さは、F1をはるかに凌駕しています。
ただし、ロードコースではF1の方が圧倒的に早いという結論が出ています。
ここで問題です。
F1ではオーバルレースでのレースがありませんが、各チームが本気でオーバル用のセッティングを決めてきたらどうなるでしょうか?
逆に、ロードコースの少ないインディカーですが、年間のロードレース頻度が増えた場合、ノウハウも増え、タイムはどう変わるでしょうか?
答えは・・・わかりませんよね。
どちらが優れているかを決めるには、同じレギュレーションの上で話さないと議論も進みません。
だからこそ、友人と「あのクルマが速い」トークをすると、盛り上がるのかもしれませんね。
最後の違い!ならば決定的に何が違うの?
違いとしては、レース自体が目指している目標やゴールが違います。
まず、レースの主軸としてF1は世界一速いドライバーとチームを決めることに重点を置いた競技であること。
そのため、すべての作業は効率化されており、レースひとつとっても、徹底して無駄を省いた展開が続きます。
そして、インディカーは、NASCARやダートオーバルなどと同じように、アメリカ発祥で非常にエンタテイメント性の高いレースであること。
こういったポイントを見据えて観戦してみると、レース自体が進む先の違いがよく見えるかもしれません。
たとえば、ピットストップひとつみても、これだけの違いがあります。
F1
各工程ごとに一人のクルーがついており、わずか3秒程度でタイヤ交換を終えてコースに走り出す。
効率化の徹底により、究極の早さを手に入れたピット作業です。
インディ
観客席に丸見えのピットであることと、ピットクルーは6人が上限であることがF1との大きな違い。
そのため、作業は兼任しますが、ピットウォール裏からのお手伝いは可能なため、この動画ではひとつ100万円もするインパクトレンチを引っ張って回収しています。恐ろしい・・・。
そのほかにも、インディには細かな独自ルールがあり、予選順位がタイムではなく最高速や平均速度によって決まることや、SC解除が数周前から予告されるなど、こういったショーマッチされたルールのひとつひとつが、毎戦超満員の観客に愛される大きな理由になっていると思われます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
こういったいくつもの差が、同じフォーミュラレースでも好き嫌いを分けるようですね。
今週末はモナコGPとインディ500という世界3大レースのうち2つが開催されます。
これを読んでるアナタは全てにおいて世界最速を目指すレースと、世界最高水準のエンタテイメントレースのどちらを選びますか?