純国産スーパーカーとして2007年に発表された日産GT-R(通称R35GT-R)。日産の伝統である「GT-R」を名乗り、モータースポーツの世界でそれまで活躍していた歴代のスカイラインGT-Rの意志を受け継ぎ、進化した車です。市販車としてはもちろんの事、世界中のトップカテゴリーのレースで今も活躍している車とはどんな車なのでしょうか?

 

Photo by Kou

 

 

メカニズム

 

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%94%A3%E3%83%BBGT-R#/media/File:Nissan_GT-R_engine.jpg

 

日産GT-Rは、スカイラインGT-Rの最終モデルであるR34GT-Rの事実上の後継車種に当たります。

それまでGT-Rはモータースポーツの世界を中心に、市販車としても世界中の日産ファンを魅了して来ました。

日産GT-RはV35/V36スカイラインで伝統の丸形テールが廃止された経緯もあり、スカイラインという名称では無くなっています。

それまで、日産の(スカイライン)GT-Rが丸形テールを伝統としていた為に、丸形テールを復活させる事になったのです。

また、車両開発は通常過程の開発を行うだけではなく、ドイツにあるニュルブルクリンクでも行われました。

なぜなら日産自動車の上層部は、打倒ポルシェを掲げてニュルブルクリンクのLAPタイムを市販車として破る事も、車両開発の一部と考えていた為です。

そして、R35GT-Rは先代モデルと比較するとメカニズムが大きく変わっています。

これまではリアタイヤがスライドしてから4WDとなるアテーサシステムを採用していましたが、これを廃止。

今まで以上のパワーに耐える為に、フルタイム4WDへと変更されました。

搭載されているエンジンも伝統の直6ツインターボエンジンが廃止され、V6ツイターボエンジンへと変更されています。

 

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Nissan_GT-R_cutmodel.JPG

 

また、R35GT-Rで一番の目玉と言えば、トランスアクスルシステムではないでしょうか?

新車発表時にも自動車ジャーナリストはもちろんの事、モータースポーツ関係者も注目したのがこのシステムです。

R35GT-Rでは、従来のモデルよりも重いボディとなり、これまで以上にフロントヘヴィーとなるのがネックとなっていました。

そこでトランスアクスルを採用したのですが、これによって前後の重量配分が改善されています。

その仕組みとしては、通常エンジンが縦置きの車種であればエンジンの真後ろに重たいトランスミッションがドッキングされるのですが、前後の重量配分を改善する為、トランスミッションをリアデフとドッキングさせて後方配置としたのです。

また、トランスミション自体も大きく改良されており、従来の6速マニュアルトランスミッションから2ペダルマニュアルミッションへと変更。

これにより、街中でオートマチック車のように運転する事が可能になりました。

そして、サーキットではパドルシフトを利用する事によって操作性が向上し、クラッチペダルがない為に左足ブレーキを容易に使用する事が可能となっていて、2ペダルマニュアルミッションである為、オートマチックトランスミッションのように変速時のタイムラグがほとんどないのが特徴となっています。

 

2014年式 日産GT-Rプレミアムエディション(DBA-R35)のスペック

全長×全幅×全高(mm):4670×1895×1370
ホイールベース(mm):2780
車両重量(kg):1750
エンジン型式:VR38DETT
エンジン仕様:V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量(cc):3799
最高出力:550ps/6400rpm
最大トルク:64.5kgm/3200rpm
トランスミッション:6AT(2ペダルマニュアルトランスミッション)
駆動方式:フルタイム4WD
中古相場価格:3,880,000〜26,500,000 円(全年式含む)

 

SUPER GT

 

Photo by Kou

 

日産GT-Rは、日産が自動車メーカーの威信に賭けて開発をした車です。

今では世界中のサーキットで走っていますが、当初は手始めにSUPER GTから日産ワークスとしてエントリーしました。

そして、2008年より昨シーズンまで使用していたZ33(フェアレディZ)に代わり、SUPER GT仕様のGT-Rとしてサーキットデビューしています。

当時はGT500クラスのみにエントリーしており、開幕戦が行われた鈴鹿サーキットではGT-Rが1-2フィニッシュを飾っています。

またR35GT-Rは、デビューイヤーにシーズンを通して活躍し、日産ワークス(ニスモ)は3勝を挙げると共にこの年のドライバーズタイトルを獲得しました。

そして日産GT-Rは、2015年にレクサスRCFと交代するまでの間、セーフティーカーとしても活躍していました。

そんな中、2012年からはGT300クラスへもGT-Rが本格的に参戦を開始しています。

プライベーターチームも含みますが、GT500クラスと同様で日産自動車の意地に掛けて全車強い粘りを見せました。

その後2014年にはSUPER GTに大きな変革が起き、車両レギュレーションが大きく変わっています。

GT500クラスの車両はドイツツーリングカー選手権(DTM)とレギュレーションを共通化する為、共通シャーシとなりました。

そしてGT300クラスでも車両レギュレーションをGT3規格に変更され、現在もそのレギュレーションの下でレースが行われています。

 

世界のレース

 

出典:http://www.24hoursofspa.com/gallery?filter_season_id=6&filter_text=nissan

 

日産GT-RはSUPER GT・SUPER耐久を中心とする国内レースはもちろん海外のレースでも活躍しています。

例えば、ドイツツーリングカー選手権やブランパン耐久シリーズなどです。

先述の通り、SUPER GTのレギュレーションが変更されたのはこのような背景があり、日本のレーシングカーが世界中を走っている為でした。

また、日本国内では基本的にJAF-GTとして製作された車両がほとんどですが、世界ではFIA-GTマシンとして製作されています。

そして、細かいレギュレーションなどはそれぞれ違いますが、世界各国で勝てる車の1台と認識されているのです。

 

まとめ

©Motorz

いかがでしたか?

日産GT-Rは、レースを中心に日本のみならず世界中で愛されているスーパーカーです。

それは、日本国内で世界進出に向けてレギュレーションが変更される程。

GT-Rの戦いぶりを生で見た事のない方は、是非サーキットへ行ってみてくださいね。

 

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