日産を代表するスポーツセダン / クーペ、スカイライン。8代目R32から10代目R34までの時代は、名機RB26DETTを搭載したスカイラインGT-Rの存在のおかげで、「普通のスカイライン」の存在はどこか希薄かもしれません。しかし仮にGT-R無くとも、これらには「名車としての素質」がありました。今回はその中からR34型スカイラインをGT-R抜きでご紹介します。

 

日産 R34スカイラインクーペ  / Photo by Cook24v

 

 

モデルチェンジに失敗したR33から一転、原点回帰を図ったR34スカイライン

 

日産 R34スカイラインセダン /  出典:http://n-link.nissan.co.jp/NOM/SKYLINE/

 

日産と合併する前のプリンス時代から継続されている伝統の車名だけあって、スカイラインはその長い歴史の中で、モデルチェンジごとの「何代目」という分類とはまた別に、「何世代目」とも分類されます。

プリンス時代、プリンス セダンの後継となる上級セダンだった初代を第1世代として、高性能のGTバージョンを持つ大衆向けミドルクラスセダンが第2世代(2代目S50系~5代目S210系)。

ショートボディを廃し、GTグレードを残しつつアッパーミドルクラスのハイソカー路線を歩んだ第3世代(6代目R30~7代目R31)、スマートなスタイリングと901運動により開発された、優れたハンドリングを持った第4世代(8代目R32~10代目R34)。

そして基本的には日産の海外向け高級ブランド、インフィニティ向け高級スポーティーモデルへと大きく転進した第5世代(11代目V35以降)。

その各世代の中で、あるいは世代が代わったタイミングで、販売面からの要望による肥大化と、同じく要望によるダウンサイジング&スポーティー化を繰り返してきたスカイラインですが、R34もまた先代R33での不人気からのダウンサイジング版となっています。

R33より全長、ホイールベースともに短縮された上で、デザイン面では先々代のR32すら飛び越し、R30やR31のような角ばった「面」を強調、シャープさを演出した上で登場したのがR34です。

 

「ボディは力だ」「いや、ボディは力じゃない」

 

 

R34は、一般的なイメージとは異なり、性能面で明確に劣ったわけではないR33の後継としてメカニズム面では大きな変化は無く、2リッターSOHCエンジンの廃止と2.5リッターターボの280馬力化が大きなトピックでした。

もっとも、280馬力に到達してGT-R用の名機RB26DETTに出力面で並んだはずの2.5リッター直6DOHCエンジン、RB25DETには「これで本当にRB26DETTと同じなの?」と疑問が生じます。

RB26DETTは、カタログ上の公称出力はともかく、実測では280馬力を超えるエンジンだったことや、既にランサーエボリューションやインプレッサといった2リッターターボが280馬力に達していたこともあって、大きなインパクトにはなりませんでした。

それより重要で、かつCMでも「ボディは力だ」と、本来のキャッチコピー「ドライビングボディ」を食うほど大きく宣伝されたのは、ボディ剛性。

ボディそのものだけでなくサスペンションまで含めた全体的な剛性アップにより、GT-RではないFRモデルのGT系でも、短縮されたホイールベースと合わせてワインディングでの軽快性は大きく評価されたのです。

同時期に発売したトヨタ アルテッツァが、小型高級車プログレ / ブレビスをベースに、本来は高級車路線(海外では初代レクサス IS)だったこともあり、試乗会で「ボディは力じゃない」と大きく宣伝したのとは対照的でした。

実際、どノーマルで攻め込むとフロア剛性不足が目立ち、サードパーティ製補強パーツが多数リリースされたアルテッツァと比べると、R34スカイラインのノーマル走行性能は好感をもって迎えられたと言えるのです。

ただし、既に量販スポーツセダン / スポーツクーペそのものが売れない時代に突入しており、ましてやR33でのマイナスイメージを背負っていたR34スカイラインは販売面で苦戦しました。

 

主にドリフトで活躍したR34スカイライン

 

日産 ER34スカイライン (D1GP 野村 謙 選手2016仕様) /  出典:http://www.d1gp.co.jp/05_driv/driver/ken-nomura.html

 

メジャーなレースではもちろんBNR34スカイラインGT-Rが大活躍していますが、駆動方式がFRレイアウトな事を活かし、ストリート派やクローズドコースでのドリフト派には、むしろ通常版R34スカイラインGTをチューニングして活躍する例も!

代表的なのはD1グランプリで「のむけん」こと野村 謙 選手が、2017年も駆った4ドアFR版ER34スカイラインなどで、2ドアクーペ、4ドアセダンともに、軽量マシンやスマートなスポーツカーとはまた違った「重量級ドリフトマシン」としての迫力を見せるとともに、大柄なボディを活かした華やかなカラーリングも魅力となっています。

 

R34スカイライン(GT-R除く)、主要スペックと中古車価格

 

日産 R34スカイラインクーペ  / Photo by Cook24v

 

日産 ER34 スカイライン (クーペ) 25GTターボ 2000年式

全長×全幅×全高(mm):4,580×1,725×1,340

ホイールベース(mm):2,665

車両重量(kg):1,410

エンジン仕様・型式:水冷直列6気筒DOHC24バルブ ICターボ

総排気量(cc):2,498cc

最高出力:280ps/6,400rpm

最大トルク:37.0kgm/3,200rpm

トランスミッション:5MT

駆動方式:FR

中古車相場:18万~340万円(各型含む)

 

まとめ

 

直6エンジン搭載でFRの4ドアスポーツセダン、または2ドアスポーツクーペという、「スカG(スカイラインGT)が本来あるべき姿」への回帰を図ったR34スカイライン。

先代R33でGT-R以外のグレードが車内スペース拡大による快適性向上以外で評価を落とし、「スカGらしくない」という不評を受けて挽回を図り並々ならぬ気合いの入ったモデルとなりました。

しかし、既に自動車市場はスカイラインのような車を量販車としては求めておらず、しかもどれだけリファインしたところで「GT-Rではない」という一点のみで世間一般から「格落ち」に見られる現象に歯止めがかからない、不幸の運命を最初から背負ってしまったのです。

GT-Rこそはスカイラインの中でも異端であり、スカイラインGTこそが本来の姿のはずでしたが、ホンダのタイプRと同様に「最強グレードの副作用」から抜け出せなかった悲運の1台。

中古車市場で探してみてはいかがでしょうか。

 

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