英レーシングカー コンストラクターのラディカル スポーツカー(Radical Sportscars|以下『ラディカル』と称する)が2013年あたりから『RXC』を販売しています。ラディカルといえば、バイクのエンジンを搭載したライトウェイトレーシングカーのイメージがありますが、RXCはクルマのフォード製V6エンジンを搭載したスポーツカー。さらにサーキット以外に公道走行可能仕様もラインナップされています。
CONTENTS
中身はレーシングカー!英ラディカルがフォード製エンジン搭載のRXCシリーズに3モデルをラインナップ
ラディカルのクルマといえば、オリジナルフレームにバイクのエンジンを搭載し、プロトタイプスポーツカーのような外観でありながら公道走行可能なことがトピックです。
日本の車検にも適合させて輸入されたことで、我が国でも知られるようになりました。
ラディカルはここ数年、フォード製の3.5リッターV型6気筒エコブーストエンジンを搭載したモデルRXCを登場させ、バイクエンジン搭載モデルからさらに商品ラインナップを増やしています。
ラディカル+フォードV6エンジンがどんなスポーツカーを生み出したのか、クルマ好きとしては気になるところではないでしょうか。
英・ラディカルとはどんなメーカーか
ラディカルは、1997年1月にアマチュアドライバー ニック・ハイド(Mick Hyde)氏とエンジニアのフィル・アボット(Phil Abbott)氏によって設立されたレーシングカー コンストラクターです。
二人はオリジナルのオープンボディフレームに日本製バイクのエンジンを搭載したレーシングカーを製作。
初めて作られた車両は、カワサキ製エンジンを搭載したマシン『ラディカル 1100 クラブスポーツ』で、イギリスで行われる『750 Motor Clubレース』のS2000クラスに参戦しました。
また、1100クラブスポーツは特定のドライバーへも供給され、その後もカワサキZZR1400やスズキ隼のエンジンを搭載した2シーターオープンボディのレーシングカーを次々と製作しています。
ル・マン24時間レースで総合20位を獲得
ラディカルの活動の場はどんどん広がり、2006年にはル・マン24時間レースのLMP2クラスにラディカル SR9で参戦。
SR9は、わずか775kgの車体に3.4リッターV8エンジンを搭載して最高出力530bhp、最大トルク475N・mを発揮し、SR9は予選14位を獲得。
決勝レースでは見事、24時間を走りきって総合20位に輝きます。
ラディカルは当時、他チームに比べれば小さい規模のコンストラクターだったにもかかわらず総合20位に入ったことで、その名が世界中に知られることになりました。
量産車でニュル最速タイムを記録
ラディカルの速さは世界中のスポーツカーが最速を目指して集まるニュルブルクリンクでも発揮されます。
2007年9月27日、ラディカルは『SR8・LM』というクルマでニュルブルクリンク ノルトシュライフェ(オールドコース)でタイムアタックを敢行。
同車は2.7リッターV型8気筒ツインターボエンジンをオープンボディのシャシーに搭載し、車重はわずか680kg。
もちろん公道走行可能なスポーツカーです。
ニュルブルクリンク ノルトシュライフェ(北コース)のタイムアタックで、『Dunlop Direzza DZ03』のタイヤを履かせて、6:48:28を記録!
当時、このタイムは量産車での最速記録で、2017年9月20日にポルシェ911GT2RSが更新するまで破られませんでした。
フォード製V6ツインターボエンジンを搭載したラディカルRXC
ラディカルRXCは2シーターミッドシップのスポーツカーで、ラディカルで初めて量産型クルマ用エンジンを搭載したモデルです。
スポーツカーといっても、見た目はル・マン24時間耐久レースに出場するプロトタイプマシンのようなスタイルであり、これが公道走行可能なクルマと知れば多くの方が驚くでしょう。
ラディカルは、2015年東京モーターショーに『RXCターボ』と『RXCターボSTO』の2台を出展。
RXCターボは日本での車検に適合したことで、ナンバー取得を可能にしました。
ちなみに2018年の最新モデルは、サーキット走行専用モデルの『RXC 600R』、FIA-GT3マシンの『RXC GT3』、そして公道走行可能な『RXC GT-ROAD』がラインナップされています。
エンジンはフォード製V6ツインターボ
RXCのエンジンには、フォード製のV型6気筒DOHCエコブーストエンジンが搭載されています。
エコブーストとはフォードが環境性能をアップさせた新世代エンジンで、小排気量と過給機を組み合わせることにより低回転から大トルクを発生し、従来よりも低燃費化したエンジンです。
そこにラディカルのオリジナルチューニングが施され、RXC GT-ROADのスタンダードモデルで最高出力400馬力、オプションのチューニングモデルで650馬力を発揮。
オイルの循環方式はドライサンプ化され、レーシングカーのようなエンジンとなっています。
また、従来のRXCターボにはトランスミッションに7速シーケンシャルドグミッションが搭載されていましたが、新型モデルは6速に変更されました。
ボディメイクはレーシングカーそのもの
RXCの新型3モデルは、基本的にルマンプロトタイプカーとほぼ同等の車体設計が成されています。
サスペンションはダブルウィッシュボーン式で、ホイールはセンターロック式。
ボディのいたるところにカーボンファイバーが用いられ、FIA規則に沿ったフロントクラッシュボックスの搭載やフルバケットシート、ロールケージを装備。
オプションでABSとトラクションコントロールが用意されているのも、サーキット走行専用モデルと公道走行可能モデルで共通です。
また、『RXC 600R』、『RXC GT3』と『RXC GT』の違いは、公道走行を可能にする保安部品の有無だけとなっています。
日本での購入は可能か
現行の公道走行可能モデルRXC GT-ROADは日本上陸を果たしていませんが、ラディカルの日本輸入代理店『STO』のホームページでは、旧モデルにあたるRXCターボはラインナップされ、2,600万円で販売されています。
RXCターボはポルシェ911ターボSやアウディR8と同じぐらいの価格ですが、街乗りでの快適性は圧倒的に劣るため、RXCターボ1台を乗用車として使用する事はおそらく不可能。
それでも、ルマンプロトタイプカーで公道を走れることを考えれば、高くない買い物かもしれません。
ラディカルRXC turboのスペック&価格&性能
ラディカルRXCシリーズのスペック
RXC 600R | RXC GT3 | RXC GT-ROAD | ||
---|---|---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 4,300×1,960×1,127 | 4,300×1,960×1,127 | 4,300×1,960×1,127 | |
車両乾燥重量(kg) | 1,130 | 1,170 | 1,130 | |
エンジン種類 | V型6気筒エコブースト・ツインターボ | V型6気筒エコブースト・ツインターボ | V型6気筒エコブースト・ツインターボ | |
排気量(cc) | 3,500 | 3,500 | 3,500 | |
最高出力(bhp) | 650 | 500以上 | オプション搭載:650 スタンダード:400 |
|
トランスミッション | 6速セミAT | 6速セミAT | 6速セミAT | |
駆動方式 | MR | MR | MR | |
タイヤサイズ | 前 | – | – | 235/620R17 |
後 | – | – | 290/645R15 |
ラディカルRXCシリーズの動力性能
RXC 600R | RXC GT3 | RXC GT-ROAD | |
---|---|---|---|
0-60mph[0-約100km/h]到達時間(秒) | 2.7 | 2.7 | 2.7 |
最高速度(mph) 【 】内はkm/h表示 |
180【289】 | 180【289】 | スタンダード:179【288】 オプション:180【289】 |
LATERAL FORCE variation(g) ※ | 2.1 | 2.1 | スタンダード:1.9 オプション:2.1 |
POWER:WEIGHT(bhp/tonne) | 575 | – | スタンダード:356 オプション:575 |
※Lateral force variation:タイヤを転がしたときに路面との接地面に発生する力の変動のなかで、横方向に変動する力のこと。
まとめ
ライトウエイトスポーツカーといえば、ロータスやアリエル アトムなどのスポーツカーメーカーがありますが、ラディカルだけは全くの別物。
RXCの3モデルは作りが純レーシングカーであるため、RXC GT-ROADは公道での走行が可能ですが、公道に出てもクルマのポテンシャルを数パーセントしか出せないでしょう。
サーキット専用モデルのRXC600RやRXC-GT3も、ルマンプロトタイプマシンを意識した車体設計とハイパワーエンジンを搭載したレーシングカーであるため、限られたドライバーしか乗りこなすことは不可能かもしれません。
フェラーリやポルシェも素晴らしいスポーツカーを製造していますが、RXCのようなクルマが作れるのは、おそらくラディカルだけだと思われます。
[amazonjs asin=”B005PTRR02″ locale=”JP” title=”カルディオリジナル パンダ杏仁豆腐 537g 【季節限定販売】”]
Motorzではメールマガジンを配信しています。
編集部の裏話が聞けたり、最新の自動車パーツ情報が入手できるかも!?
配信を希望する方は、Motorz記事「メールマガジン「MotorzNews」はじめました。」をお読みください!