アストンマーティンは、

過去にトヨタが販売した4人乗りミニマムカー『iQ』をベースに、オリジナル外装パーツと高級感ある内装で仕上げた『シグネット』を発売しました。それはアストンマーティンのイメージからはかけ離れたコンパクトで大人しいモデルでしたが、2018年7月に開催されたグッドウッドフェスティバルで4.7リッターV8エンジンを搭載した『V8シグネット』を発表。トヨタの優等生的DNAを引き継ぎ、V8エンジンを搭載したシグネットは常軌を逸するスペックとなり、まさに2018年最大の奇想天外マシンと呼べる一台です。

 

出典:https://media.astonmartin.com/aston-martin-v8-cygnet-the-ultimate-city-carnbsp/

 

アストンマーティン シグネットV8はコンパクトスポーツカーの範疇を遥かに超えるバケモノ!

 

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小さなボディにレーシングチューンのハイパワーエンジンを搭載したモデルを探ってみると、フィアット500ベースのアバルト595やトヨタGazoo Racingが開発したトヨタヴィッツGRMN、さらに過去を遡ればWRCがグループB時代にルノーが送り出したホモロゲーションモデル ルノー5ターボなど魅力的なモデルがさまざま。

これら『羊の皮をかぶった狼』と呼べるクルマは、スポーツカー好きをワクワクさせてくれますが、その範疇を超えているのがアストンマーティン シグネットV8です。

軽自動車と変わらない車格であるトヨタiQに436馬力を発揮する4.7リッターV8エンジンを搭載したアストンマーティン シグネットV8は、バケモノマシンと言っても過言ではないスペック。

そんな誰も想像する事ができないクルマを創り出したアストンマーティンの意図は、どういうものだったのでしょうか?また、本当にまともに走るのでしょうか。

不思議がたくさん詰まったモデルです。

 

アストンマーティンV8シグネットとは

 

アストンマーティン V8シグネットは、7月12〜15日にイギリスのウェストサセックス州で開催されたグッドウッドフェスティバルオブスピード2018で初公開された、アストンマーティン製のクルマです。

皆さんは、2011年にトヨタiQをベースにアストンマーティンが製造したモデル『シグネット』をご存知でしょうか?

シグネットは外装と内装以外はトヨタiQと同じ姉妹車でしたが、今回のV8シグネットはその名の通り、アストンマーティン ヴァンテージSに搭載されたV型8気筒エンジンを搭載!

エンジン以外にもフレーム補強、駆動系、足回りなどいたるところにチューニングが施され、車体側面からはみ出したフェンダー周りや、車格に不釣り合いな19インチタイヤを見れば明らかに従来のシグネットやiQとは異なった、狂気のモデルであることが分かります。

 

アストンマーティン・シグネットとは

 

アストンマーティン・シグネット / 出典:https://media.astonmartin.com/cygnet/

 

2009年6月29日、アストンマーティンは自社のカーラインナップにC02を削減し環境に配慮したモデルを追加するために、トヨタiQをベースとする新型車の発売を発表。

同時にトヨタからiQをOEM供給してもらうことで合意し、2011年1月にアストンマーティン シグネットを発売しました。

トヨタiQに、アストンマーティンのデザインアイデンティティであるブライトフィニッシュグリルをはじめとするオリジナル外装パーツを装備。

プレステージ性を加えるためにシートやインパネなど内装のほとんどを革張りにしています。

そんなシグネットは英国をはじめとする欧州各国に販売され、日本では475万円で売り出されました。

当初アストンマーティンとしては年間4,000台を売る計画でしたが、トヨタiQが日本販売で129万円からだったのに対し、約3倍以上の価格設定が足を引っ張ったのか、わずか300台ほどしか売れず、2013年に生産終了となりました。

 

トヨタiQとは

 

トヨタiQ / 出典:https://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/1714667

 

トヨタiQは2008年10月15日に生産開始され、11月20日から日本での販売が開始されました。

軽自動車よりも400mm以上短い全長でありながら、最大4人乗りを実現。

厳密にいえば大人3名と子供1名または荷物の”3+1シーター”がコンセプトになっています。

また、1.0リッター直3と1.3シッター直4のガソリンエンジンを搭載し、欧州仕様では1.4リッターディーゼルターボも用意され、1トンを切る車重で燃費値21.2km/リッター(JC08モード)を達成。

これらのコンセプトや燃費性能がユーザーから好評を得て、2008年から2016年の8年間販売されました。

 

作りは明らかにレーシングカー!大パワーを受け止めるセッティングに抜かりなし

 

V8シグネットの内装 / 出典:https://media.astonmartin.com/aston-martin-v8-cygnet-the-ultimate-city-carnbsp/

 

V8シグネットの内装 / 出典:https://media.astonmartin.com/aston-martin-v8-cygnet-the-ultimate-city-carnbsp/

 

V8シグネットはアストンマーティンのカスタマイズ部門『Q by アストンマーティン コミッション』の手によって開発され、完全受注生産で販売されています。

V8ヴァンテージSのエンジンをリアミッドシップに搭載するため、リアシートは取り外され、35ℓのビスポークフューエルタンクを装着。

これは4.7リッターV8エンジンに対して明らかに少ないタンク容量なので、長距離クルーズには適さない上に運転時はV8エンジンの音がフロントシート後ろから直に流れ込むため、実用性はほとんど感じられません。

また、この大パワーエンジンに合わせるためにサスペンション、ブレーキシステムの大部分、7速スポーツシフトのトランスミッションなどにハードチューニングが施され、フロントとリアのサブフレームは完全ハンドメイドという徹底ぶり。

内装はレカロ製フルバケッドシートに6点式シートベルトが装着され、FIA規定に準拠した消火器システムやロールケージも装備されています。

さらに、エアコンや2基のUSBポート装備という気遣いは感じられますが、消火器用の赤いプルノブがセンターインパネに装着されいるあたりはFIA公認レーシングマシンに乗り込んでいるような感覚。

 

出典:https://media.astonmartin.com/aston-martin-v8-cygnet-the-ultimate-city-carnbsp/

 

タイヤはV8ヴァンテージと同じもので、横にはみ出した部分はカーボン製のフェンダーを追加することでタイヤをフェンダー内に収納可能。

サスペンションやダンパーはスポーツ走行に対応するためにガチガチに固められ、乗り心地はお世辞にも良いと言えません。

ショートトラックやジムカーナぐらいのコースサイズであれば相当早いタイムを出せそうですが、エンジンとは明らかに不釣り合いのショートホールベースが直線をまともにまっすぐ走ってくれるのかは怪しいところ。

コーナーでイン側の縁石に乗り上げると横転してしまわないか、少し躊躇してしまいます。

逆に見ているだけ伝わってくるジャジャ馬な雰囲気と、走り出す前のワクワク感はV8シグネットならではの感覚ではないでしょうか。

 

アストンマーティンV8シグネットのスペック

 

V8シグネットのエンジン / 出典:https://media.astonmartin.com/aston-martin-v8-cygnet-the-ultimate-city-carnbsp/

 

アストンマーティン・シグネット V8
全長×全幅×全高(mm) 3,708×1,92×1,500
ホイールベース(mm) 2,020
乾燥重量(kg) 1,375
乗車定員(人) 2
エンジン種類 水冷V型8気筒DOHC32バルブ
排気量(cc) 4,735
最高出力(kW[hp]/rpm) 320[436]/7,300
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 489[49.9]/5,000
トランスミッション 7速パドルシフト式・セミオートマ
タンク容量(ℓ) 35
駆動方式 RWD
タイヤサイズ 235/40/19
275/35/19

 

まとめ

 

出典:https://media.astonmartin.com/aston-martin-v8-cygnet-the-ultimate-city-carnbsp/

 

これほど常軌を逸しているクルマを作れるのは、アストンマーティンのようなスポーツカーメーカーだからこそ!

ここまで思い切った設計を提示されると、逆に気持ちいいぐらいです。

イギリス車らしくバッキンガムシャー グリーンカラーに身をまとったV8シグネットは見ているだけでもワクワクが込み上げてくる1台。

エコや低燃費が叫ばれるようになり、金太郎アメのように似たり寄ったりなクルマが販売されている昨今、国産自動車メーカーがV8シグネットのようなモデルを作れば、スポーツカー市場やモータースポーツ業界がもっと盛り上がるのではと考えずにはいられません。

 

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