日本の物流を支える車の1つであるトレーラー。ある条件下においては、タイヤを浮かした状態にして走行しています。何故トレーラーのタイヤを浮かして走行しているのか、そのメリットやデメリットについて、ご紹介します。
トレーラーのタイヤを浮かす主な理由はコスト軽減
高速道路などで走っているトレーラーを見ると、たまにタイヤを浮かせているシーンに遭遇します。
この背景には、2つの理由が存在。
ひとつは地面に接地するタイヤを減らすことで、タイヤやブレーキの摩耗を節約することにあります。
もうひとつは高速料金で、こちらの方が大きな理由となるかもしれません。
皆さんもご存知の通り、高速道路の料金区分は、軽自動車等/普通車/中型車/大型車/特大車、の5つに区分されていますが、大型トレーラーは少し特殊で、この内の中型車/大型車/特大車の3つのうちどれかに分類されます。
その分類を決定するのがトレーラーの有無ならびに、トレーラーの車軸数となるのです。
細かくは、トレーラーを連結していない、トレーラーヘッドのみの状態で走行している場合には中型料金となり、トレーラー連結状態で車軸数が1本の場合には大型料金、そしてトレーラー連結状態で車軸数が2本以上となる場合には特大料金となります。
このような背景から、例えば車軸が2本のトレーラーを連結している場合、1本の車軸を浮かせることで、実は高速料金を節約することができるのです。
タイヤが浮く構造
日本には特殊な高速料金の設定があるため、トレーラーには、タイヤを路面に接地させたり、離すために『リフト・アクスル』と呼ばれる機構が搭載されているモデルが存在します。
そして、リフト・アクスルが採用されているトレーラーでは、かかっている荷重が多いとタイヤを接地させ、荷重が少ない時にはタイヤを自動で浮かせるような仕組みになっているのです。
このリフト・アクスルは、エアサスペンションに取り付けられたリフト用ベローズとダウン用ベローズへのエア供給ならびにエア排気で、車軸のアップダウンを行なっています。
荷重を判断するための圧力感知装置が上記の構成部品と連動してアクスルのアップ・ダウンを行なっていることも考えると、リフト・アクスル式のトレーラーは複雑な構造となっていることがわかります。
また、リフト・アクスルには機械制御式と電子制御式の2種類が存在しているなど、リフト・アクスルも様々です。
まとめ
タイヤが浮いた状態で走っているトレーラーは、壊れているのでもロールして走行しているのでもなく、走行コスト削減や操縦性の向上を目標に設計された合理的なものでした。
この仕組みを利用することで、荷物を目的地まで運び、空荷で帰る場合には安い料金で高速道路を走行することができるのです。
これから街中で高速道路でトレーラーを見かけた際には、トレーラーの車軸数やリフトの状態を観察してみましょう。
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