最近、街中でよく見かけるようになった『流れるウインカー』。とくに、アウディやレクサス、トヨタ クラウンなど高級車に搭載される傾向にあり、クルマに高級感をプラスします。搭載される車種はまだ限定的ですが、今後流れるウインカーの採用は広まっていくのでしょうか。

ホンダ・N-BOXカスタム / © Honda Motor Co., Ltd.

実は60年代から既に流れるウインカーが存在していた

トヨタ・CH-Rのウインカー / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

流れるウインカーを搭載してるクルマを見かけるようになったのは、ここ数年のことです。

しかし、流れるウインカーは1968年に発売された日産ブルーバードSSSクーペ(510型)に国産車で初めて採用されており、最近考え出されたものではありません。

国土交通省が定める道路交通法の保安基準により、長い間、流れるウインカーは事実上禁止とされていましたが、近年、自動車の保安基準について国際協調がなされたことで、装着が認められるようになりました。

日産・ブルーバード・510・SSSクーペ / Photo by Sicnag

流れるウインカーとは


流れるウインカーに関して、国土交通省は『連鎖式点灯方向指示器』と定義しています。

連載式は、英語で「シーケンシャル(sequential):連続的、継続的、逐次」となるため、『シーケンシャルウインカー』とも呼ばれています。

連鎖式点灯とは、複数の灯火が順に連続して発光するもので、連鎖式点灯ウインカーはウインカーを構成する並んだLEDが内側から外側へ順に灯火。

LEDが全て光ったところでウインカーの点灯が消え、また内側から外側に向けて順にLEDが点灯します。

そのため、ウインカーが作動していると、内側から外側へ光が流れているように見えるため、流れるウインカーという呼ばれ方が一般的となりました。

流れるウインカーは国際協調により合法化

2015年モデル・アウディ・A8 / © 2019 Audi

流れるウインカーが合法化された背景には、国連欧州経済委員会(UN/ECE)の自動車基準調和世界フォーラム(WP2)で『方向指示器に係る規定規則(第6号)』に関しての取り決めが採用され、これに国土交通省が国際協調したことが影響します。

その後、2014年10月に『道路運送車両の保安基準の細目を定める告示』のなかで方向指示器の連鎖式点灯に関する法改正を実施。

これを機にアウディA8に『ダイナミックターンインジケーター』と呼ばれる”流れるウインカー”が日本仕様でも採用されたことで、大きな話題となりました。

そしてアウディA8を皮切りに、レクサスでも2015年8月に発売したLXで『LEDシーケンシャルターンシグナルランプ』を採用。

レクサス RX、トヨタ ハリアー、C-HRなどの人気SUVに採用されるようになってから、トヨタグループのなかで広まりつつあります。

欧州車ではアウディのほかにフォルクスワーゲンのゴルフRやゴルフTSIハイライン、メルセデスベンツAMG GT、プジョー308、シトロエンDS3/DS7クロスバックにも採用されていますが、BMWやポルシェ、ボルボ、FCAグループなどは採用を見合わせ、採用しているメーカーでも搭載車種は限定的です。

流れるウインカーに対するメーカーそれぞれの考え方が異なる要因としては、デザインに影響があることや、国や州によって流れるウインカーを容認したりしなかったりすることが考えられます。

LEDランプで定められる保安基準は

流れるウインカーに関しては厳密な保安基準が設けられています。

・点滅周期は毎分60~120回ですべてが同じ点灯周期であること
・点滅速度は一定であること
・光りは内側から外側に向けて流れること
・流れ方は左右対称であること
・ランプは中心から放射状に広がって均一的かつ連続的に点灯すること
・LEDは垂直(縦)方向に反復して点灯しないこと
・光は橙色であること

また、流れるウインカーをDIYで取り付けることも可能ですが、これら保安基準を満たさなければ車検を通すことができないため、購入する社外パーツが車検対応なのか、確認をする事が大切です。

また、流れるウインカーの社外パーツが売られていない車種については、LEDランプや配線、抵抗器などを揃えて自作する方法もありますが、こちらはかなり高度なDIY作業です。

ネットで調べてみると、流れるウインカーの作り方について情報がいくつも出てくるので、よく調べて工具と材料を揃えながら挑戦してみるのも面白いかもしれません。

まとめ


流れるウインカーを積極的に採用しているのはトヨタのみで、最近ホンダがN-BOXカスタムに採用しましたが、国産メーカーにはまだまだ浸透していません。

流れるウインカーを取り付けることで、右折・左折のアピール度合いが増すことや、子供に対して”クルマは、光が流れている方向に曲がろうとしている”ことが視認的に理解しやすいという点がメリットとして挙げられます。

しかし、デザインに影響を及ぼすことやコスト面からも、流れるウインカーに対する考え方は国産メーカーのなかでも会社によって違うようです。

それでも、ドレスアップ効果も期待できることから、後付けでカスタムを楽しむのもアリ!

愛車をかっこよく見せたいという方には、流れるウインカーを是非おすすめします。

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