1度見ると忘れられないインパクトある顔つきが特徴のこの車は、シトロエンがかつて生産していた小型大衆車、「Ami(アミ)」です。ファニーでどこか親しみやすいこの車は、多くのフランス国民から支持を得ました。

Ami

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Citro%C3%ABn_Ami

2CVの兄貴分として登場したアミ

Ami

出典:https://fi.wikipedia.org/wiki/Citro%C3%ABn_Ami

第二次世界大戦が終了してから10年以上が経過して、フランス国内の生活にも幾ばくかの余裕が出てきたのが1960年代初頭。

当時既に大衆車として普及していた2CVに加え、ワンランク上の大衆車に対するニーズが高まってきたのもこの頃です。

しかし当時のシトロエンはラインナップが豊富ではなく、2CVの上にはDSとIDと呼ばれる高級車しか存在しませんでした。

これは、元々大衆車製造を目指して創業したシトロエンにとっては早急に取り組むべき課題であり、両車の間を埋めるべく作られたのが、1961年に登場したアミ6です。

シトロエン・アミ6

Ami

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Citro%C3%ABn_Ami_6.jpg

アミ6の基本的な構造は、2CVがベースとなっており、602ccまで拡大されたOHVの空冷フラット2エンジンがフロントに搭載されるなど、当時としては珍しいFF駆動を実現していました。

これに4ドアセダンと5ドアワゴンの2種類のボディが用意され、居住性、動力性能共に2CVから一回り余裕のある大衆車として注目を浴びます。

独特な形状の短形ヘッドライトや抑揚のあるボンネット等、個性的なエクステリアデザインを手がけたのは当時のチーフデザイナー、フラミニオ・ベルトー二氏。

キャビン後方を楔上に切り落とした「クリフカット」と呼ばれるデザインは、後席の頭上スペースを広く取るために当時流行していた手法です。

シトロエン・アミ8

Ami

出典:https://it.wikipedia.org/wiki/Citroën_Ami_8

1969年には、アミ8へとモデルチェンジが行われます。

やや個性的すぎたアミ6のデザインが万人受けする方向に修正され、ヘッドライト形状やボンネットの曲面等のアイデンティティはキープしつつ、クリフカットからファストバックスタイルへと変更されました。

サスペンションはフランスの石畳をいなす為に前後関連懸架方式にトーションバースプリングが追加となっています。

エンジン出力は35馬力と非力でしたが、車両重量が640kgと軽量だった為、フランス市街地を軽快に走り抜ける為のスペックは兼ね備えていたと言えるでしょう。

アミ・スーパー

Ami

出典:http://www.citroenet.org.uk/passenger-cars/michelin/ami/ami-super/ami-super.html

1973年、シトロエンGSの空冷SOHCフラット4エンジンが搭載されたアミ・スーパーが追加されました。

排気量は以前の602ccから1015ccまでアップし、出力が61馬力になることでパワーが飛躍的に向上した為、これに合わせてシャシー剛性も強化されています。

サスペンションも強化型コイルスプリングや油圧ダンパー、アンチロールバーなどが追加され、正に「スーパー」の名にふさわしい出来栄えに。

外観上の変化は多くなく、グリル下にインテークが追加され、フェンダーに誇らしげな「アミ・スーパー」のエンブレムが追加されたのみとなります。

しかし価格面でもGSと変わらない程にスーパーな値段になってしまった為に売り上げが伸びず、1976年の生産終了までの3年間における生産台数は44820台に留まりました。

まとめ

Ami

出典:https://en.wheelsage.org/citroen/ami/19335/pictures/rwvre2/

かつては大衆車として活躍していたアミも今やクラシックカーとなり、レストア済みの個体は200万円前後で出回ることもあります。

ちなみに、「アミ」とはフランス語で「友達」という意味を持つため、どこか親しみやすい、肩の力の抜けた友達のようなセカンドカーを探している方にはうってつけのクルマと言えるでしょう。

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