基本的にクルマは、実用性を追求するとボディサイズが大きくなり、乗車人数が増えてドアの枚数も増加する傾向にある乗り物です。ミニバンなどがその典型的な例でしょう。一方で、美しさを追求した時に辿り着くボディ形状が2ドアクーペではないでしょうか。今回紹介するプジョー406も、「美しくあること」を第一に優先して作られた2ドアクーペです。
巨匠・ダビデ・アルカンジェリ氏の代表作
流麗で滑らかなサーフェスを持ったエクステリアは、上品でどこから見ても破綻しないバランスの良さを兼ね備えています。
この406クーペのデザインを担当したのは、かの有名なイタリアのカロッツェリア『 ピニンファリーナ』に在籍していたダビデ・アルカンジェリ氏によるものです。
氏はその後フェラーリ360モデナやBMW5シリーズ(E60)などの名車を手がけた後、急性白血病で亡くなりました。
ピニンファリーナ氏は、フェラーリやマセラティ等をクライアントに持っており、この406以前にも様々な名車を手がけてきましたが、406クーペはその中でも特に評価が高く、「ピニンファリーナが手掛けた最も美しいクーペ」と言われる程の代表作です。
ピニンファリーナが手掛けた最後のプジョー車
ボディは、デザインだけでなく製造までもピニンファリーナ氏が担当。
デザイナーの感性をそのままピニンファリーナ内でカタチにすることが出来たからこそ、ここまで美しい仕上がりになったのではないでしょうか。
その後のプジョー車のデザインは社内のデザインセンターが手掛けることになり、この406クーペはピニンファリーナ氏による最後のプジョー車です。
ちなみに、シャシーこそセダンやブレークと共通であるものの、外装は全て専用設計となっています。
前後期型の違い
2003年8月にマイナーチェンジが行われ、フロントバンパーのインテークを大型化。
フォグランプの形状も変更されました。
これに伴い、ナンバープレートの取り付け位置がインテークの上から下へと変更になり、賛否両論が巻き起こることに。
元々ケレン味の少ない上品なシルエットが長所だった事もあり、やや押し出しの強い顔つきとなった後期型よりも前期型の方が人気は高いようです。
艶やかで上品なインテリア
内装はダッシュボードやセンターコンソール、セダンと共通のものを用いてますが、メーターパネルやドアの内張り、リアの内張りや天井の内張り等は、クーペ専用部品で、上質な雰囲気を醸し出しています。
更にフロントシートはプジョーとレカロの共同開発となっており、スポーツカーに必要なホールド性を持ちつつ、広い座面による快適性も兼ね備えた特別なシートとなりました。
現在の中古車市場は?
日本に初めて導入されたのが1998年と比較的年式の新しい406クーペは、意外な程の低価格で中古車市場に散見されます。
およそ半数ほどが100万円を切り、状態の良いもので150万円付近お手頃。
当時の新車価格が520万円と高級車であった事を考えると、ピニンファリーナ氏が手掛けたプジョーの2ドアクーペを100万円台で購入出来るのは、今がベストなタイミングではないでしょうか。
まとめ
4人乗りとはいえ、そこはやはりクーペなので後部座席が窮屈であったり、荷物を沢山つむ収納スペースなどはありません。
しかし、それを補ってもなお余りあるほどの高級クーペとしての佇まいや美しさを406クーペは持っています。
イタリアのカロッツェリアであるピニンファリーナ氏とフランスの名門 プジョーのコラボレーションによって生まれた1台は、ヨーロッパの持つ美的感覚が凝縮されている貴重なクルマです。
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