豪華でリッチな、カスタムフリークに⼈気の3ピースホイールも、「構造が複雑で、パーツ点数が多く、重量が重い」という理由で、一般的にはスポーツ⾛⾏に不向きとされています。しかし、マルチピースホイールのメジャーブランド『SSR』は、そんな3ピースの弱点を独⾃の技術で克服。レースの世界で鍛えたテクノロジーが息づく、軽くて強いSSRの3ピースホイールの製造現場に潜⼊しました。

Photo : Yukio YOSHIMI Text : Isao KATSUMORI

レースで鍛えられたSSRの3ピースホイールテクノロジー

SSRの3ピースホイールの歴史は、1970年代にデビューした伝説のモデル『スピードスター・MK-Ⅰ』から始まりました。

スピニング製法(リムを鍛えながら引き伸ばして成形する技術)によって製造された、軽くて強い画期的なホイールは、当時のレースシーンを席巻。

その優れた性能は今も現役で、JCCAが開催するクラシックカーレースなどでは、今⽇のハイグリップなスリックタイヤにも対応するパフォーマンスを発揮しています。

一方、ドレスアップシーンでは、重量級⾞種の増加やタイトなキャンバーセッティングの追求により、ホイールの強度への要求もさらに高まっている傾向です。

もちろんSSRのホイール成形技術も年々進化を遂げ、輸⼊⾞を始めとした、ハイパフォーマンスモデルのエンジンパワーにも余裕を持って対応。

3ピースホイールを含む、SSRが⽣産する全ての組み⽴て式ホイールには、モータースポーツでの開発・設計で培ったレーシングテクノロジーが息づいているのです。

軽さと強さの最大の秘訣は特殊なリムにあり!

3ピースホイールは、センターディスク、アウターリム、インナーリムの3つのパーツから構成されています。

3ピースのリムは、プレス加⼯→リム成形(スピニング)の工程を経て、インナーリムに熱処理、アウターリムにバフがけが施され、両者とも最後にアルマイト処理で仕上げられています。

そしてSSRの3ピースホイールが抜群の軽さと強さを誇る⼀番のポイントはリムにあり、それがHTM(熱処理)リムと呼ばれる特殊な技術です。

「スピニングによる成形後に熱処理を施す」独⾃の製法によって、強度や剛性を飛躍的に高めることができ、リムに使用する鋼材の肉薄化が可能となるため、SSRの3ピースホイールは、軽量化と強度アップを同時に実現したことになります。

また、様々なデザインとカラーバリエーションを用意するセンターディスクの製造⼯程は、鋳造→機械加⼯→一次塗装→表面加⼯→仕上げ塗装の順で施工。

写真はNC旋盤加⼯機と加工前のディスク素材。

高い精度を要すディスク加⼯では、機械加工の後、職人が細部まで手作業を施します。

糸サビの原因にもなる加工時のバリも、ディスクを1枚ずつ手作業で仕上げており、こちらは最も慎重さが要求される作業のひとつです。

組み立てにも、軽さと強さへのコダワリが随所に!

『組み立て』は製品化に向けての最終工程です。

ディスク、インナーリム、アウターリムをピアスボルトで固定。

その後、ホイール自動溶接機によってインナーリムとアウターリムを一体化するのですが、これも強度アップのための重要なポイントです。

溶接しない方が軽さには有利なのですが、負荷の大きい箇所であるため、SSRはここでは強さにウエイトを置いています。

その後は溶接箇所にシーリングを施し、ピアスボルトを増し締めしたら完成。

ちなみにSSRの3ピースホイールに使われるピアスボルトは、耐久性の高いステンレスが採用されています。

ちなみに、豪華さを演出するピアスボルトは、表から⾒るのと裏から⾒るのでは個数が違います。

これは、3ピースホイールのリッチさや強度を落とさない範囲で一部をダミーピアスに変更することで、ウエイトダウンを図っており、⽬には⾒えないグラム単位の軽量化へのこだわりの1つです。
※一部のアイテムで採用

クオリティをキープする厳重な検品・出荷体制も必見!

ディスクやリムにほんのわずかな傷があっても、ホイール全体ではそこに応⼒が集中し、強度が低下します。

そのため、組み⽴てが完了してからのクリーンアップや⼨法の最終チェックの際は、わずかな傷も⾒逃さないよう、検品を兼ねながら慎重に⾏われます。

アウターリムに保護キャップをかけ、輸送時の擦れなどによるキズを防止。

また、ホイール本体にダメージを与えないように、18インチ以上の⼤径ホイールはひと箱に1本がルールです。

梱包用のダンボールも、ホイールの配送専用に作られた特注品。

こうして細心の注意を払い、確かなクオリティをキープしたまま、ユーザーのもとに届けられるのです。

SSR_3ピースホイールギャラリー

メーカー情報

株式会社タナベ
住所:〒562-0031 大阪府箕面市小野原東1-4-15
TEL:072-728-6700(代表)SSRの詳しい情報はコチラ

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