フォード マスタングがデビューしてから50年以上の時を経て、歴史的なフルモデルチェンジを果たしました。なんとマスタングがSUVモデル、しかも電気自動車(EV)になったというのだから驚きです。といってもSUV版EVは派生モデルとしての登場で、モデル名はマッハE。大きく変貌を遂げるマスタングの次期モデルに、迫りました。
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電動化の武装されたSUV版フォード・マスタング、Mach-E!570万円で投入予定
アメリカの電気自動車メーカーといえば『テスラ』が思い浮かぶと思いますが、ここにきてアメリカビッグ3の一角、フォードがとうとうEVカテゴリに踏み出しました。
しかも、伝統のマスタングをEVにするという驚きの展開です。
とはいっても、マスタングに追加される新たなEVというのは、ポニーカーとして慣れ親しんできたマスタング ファストバッグではなく4ドアSUVの派生モデルとしての登場となります。
モデル名は『Mach-E(マッハE)』。
2020年後半から北米を皮切りに全世界で発売される見込みで、価格はベースモデルで4万6900ユーロ、日本円で約570万円となる予定です。
ヘキサゴングリル健在!マスタングの伝統は残される
マッハEはクーペシルエットを基調にしたスタイリッシュなSUVながら、マスタングのディテールやデザインが盛り込まれています。
切れ長のヘッドランプは現行マスタングをそのまま感じさせ、リアエンドの3連縦長LEDコンビネーションランプは1964年に登場した初代マスタングをオマージュしたデザインです。
本来、EVではフロントグリルは必要ありませんが、マスタング伝統のヘキサゴングリルがフロントに設置されています。
気になる航続距離とパワーは
マスタング マッハEは、マスタングの名を継承するうえで本家マスタング ファストバッグのようにスポーティーな乗り味をドライバーに体感させるものであってほしいところ。
バッテリーは75.7kWhのスタンダードレンジ(SR)バッテリーと、98.8kWhのエクステンドレンジ(ER)バッテリーの2種類を設定。
SRバッテリーをFRモデルに搭載したモデルでは、航続距離で420km、最高出力255HP、最大トルク42.3kgf・mを発揮。
AWDモデルでは、航続距離で337.9km、最高出力255HP、最大トルク57.6kgf・mとなります。
また、ERバッテリーを搭載したモデルでは、FRモデルで航続距離で600km、最高出力282HP、最大トルク42.3kgf・m、AWDモデルで航続距離434.4km、最高出力332HP、最大トルク57.6kgf・m。
上級グレードのGTのみ、ERバッテリー+AWDで、航続距離378.1km、最高出力459HP、最大トルク84.6kgf・m、0-100km/h加速は4秒と驚きの速さです。
充電ステーションを全米1万2,500カ所に設置
フォードは、自社のEVに対応する充電ステーションを、全米1万2500カ所に設置すると発表しています。
急速充電器で充電を行えば、10分間で75.6kmの走行を可能とし、SRバッテリーは10%から80%まで充電するのに必要な時間は38分ほど。
また、フォードは2,100のディーラーにEV整備士を3,500人配属することを明かし、EVを本格的に展開するためのインフラ整備も順次行っています。
15.5インチの大型モニターが唯一テスラっぽい
マッハEの内装には運転席に小型モニター、そしてダッシュボードに特徴的な次世代『SYNC』を操作する15.5インチのモニターが搭載され、テスラ モデルSやモデルXを連想させます。
SYNCはスマホやタブレット同様にタッチパネル式または会話型音声認識で操作可能。
運転中に必要なさまざまな情報を提供してくれ、インターネット検索やコネクテッドサービス『FordPass ConnectTM1』にも対応しています。
さらに、スマホからの操作も可能で『Apple CarPlay』、『Android Auto』、『SYNC AppLink』との互換も果たしています。
他にもスマホでのバッテリー残量の確認やエンジンの始動、ドライバーが近づくと自動で鍵が開く機能も搭載。
自動運転については公開されませんが、レベル3以上の自動運転機能を搭載することが予想されます。
日本でマスタング・マッハEに乗れるのか
フォードの新車を紹介したところで、フォードは日本から撤退しているため、日本では乗れないのではないかと心配している方もいるでしょう。
たしかに、正規ディーラーがなくなった日本でマッハEに乗ることは現実的ではありません。
しかし、今後数十年で内燃機関から電気へシフトしていくモータリゼーションのなかで、フォードもEV開発を進めて実用化を加速させれば、欧州メーカーや日本メーカーを追い抜けるチャンス。
日本国内でも充電インフラが整えば、フォードがマッハEを売り込めるはず。
逆に日本メーカーは日産・リーフを除き、EVの市販化が遅れていることは否めないため、そこにフォードがつけ入るチャンスだってあるわけです。
マッハEは並行輸入で極少数は日本へ入ってくるかもしれませんが、EVを足掛かりにフォードが再び日本で正規販売をすることも考えられなくはありません。
まとめ
伝統のなかで、新たなことにチャレンジするフォード。
マッハEのライバル車は、メルセデスベンツ EQCとアウディ eトロンですが、パワーや航続距離で比べても、同等もしくはそれ以上なところが見受けられ、かなり期待のできる仕上がりを予感させます。
世界中でEV開発が激化するなかで、マッハEを開発したフォードはテスラや欧州メーカーに割って入ることができるのでしょうか。フォードの動向に注目です。
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