販売終了から16年たった今でも、ファンの多いプジョー 106。昔ながらのホットハッチに、魅力を感じている人も多いのではないでしょうか?そこで、現役プジョー 106オーナーが、今から購入する際のバイブルとなるよう、魅力から注意点、持病まで気になるポイントを紹介します!

バンパーとライトが変わっている筆者の106/Photo by Takuya Ikeda

プジョー106とは

いかにもヨーロッパ車らしいデザイン/Photo by Takuya Ikeda

プジョー106のデビューは1991年。

日本に導入されたのは、1996年に行われたビッグマイナーチェンジ以降のモデルです。

そんな中古市場の大半を占める正規輸入後のモデル、”106・S16”を中心にご紹介します。

左ハンドルの5MT、さらにフランス車という点から、デザインは好きだけど所有するのはちょっと……という声も多く聞かれる106ですが、一体どのようなクルマなのでしょうか。

兄弟車であるシトロエン サクソについても共通点が多いため、参考にしていただけると思います。

プジョー106の魅力

ミニサーキットで楽しめるサイズが魅力/Takuya Ikeda

106の最大の売りは、なによりもそのボディサイズによる軽快な走りではないでしょうか。

今ででは、まずありえなかった1トン切りのボディに、1.6リッターDOHCエンジンの組み合わせは、性能を持て余さずに楽しめるちょうどいいバランス感。

それでいて、ミニサーキットや峠のような舞台では、そのクイックな動きで格上を十分喰う事ができるポテンシャルを持ち合わせています。

15インチのタイヤであれば余裕で載ってしまう積載力/Photo by Takuya Ikeda

実用性も高く、トランクは同じクラスの車と比較するとかなり広い上に、分割式のリアシートを倒すとフルフラットになることで、車体サイズからは考えられない積載能力を発揮します。

また、純正シートの座り心地はフランス車らしい素晴らしさで、ここを一番の売りだと評価する人もいる程です。

スペック

プジョー106 S16 (1997~2003)
全長×全幅×全高(mm) 3,690×1,620×1,370
ホイールベース(mm) 2,385
車両重量(kg) 960
タイヤサイズ 185/55R14 79H
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
排気量(cc) 1,587
最高出力(PS/rpm) 118/6,600
最大トルク(kgf・m/rpm) 14.5/5,200
トランスミッション 5速M/T
駆動方式 FF

プジョー106の中古価格と注意点

ある程度弄られている車両が多いのが特徴。フルノーマルは絶滅危惧種です。/Photo by Takuya Ikeda

中古車サイトを見ると、100万円を超えている車と30~40万円程度の車とで、二極化している状況が確認できます。

100万円を超えている車は、レストア済みか低走行距離車のどちらかであると言ってもいいでしょう。

通常使用されてきた車だと40万前後が多く、オークション等ではそれ以下の価格も多く見られます。

車を見る際の注意点

106の場合、高ければ壊れない、安いと壊れる、なんて事はありません。

また、下手をすると低走行距離車よりも過走行車の方が壊れない可能性も。

なぜなら、過走行出来ているという事は、きっちりとそこまで整備されてきている証拠だからです。

とはいえ、騙し騙し適当な修理を続けてきた可能性も0ではないので、重要なのは整備記録が残っているかどうか。

購入を検討する際には、まず整備記録があるかどうかを確認するようにしましょう。

そして、整備記録上で注目すべきは、タイミングベルトの交換がいつされたのかです。

タイミングベルトの交換時期は60,000~80,000km前後と言われており、最後に交換してからの走行距離が重要です。

交換してからの距離が多いと、すぐにタイミングベルトを交換する羽目になるので、安く購入したとしても意味がありません。

また低走行距離車の場合も、新車から一度も交換されていない場合があるので、そちらも注意したほうが良いでしょう。

他には、構造上テールランプのケース内に水が溜まりやすく、基盤が腐っている状態が散見されます。

お店で分解して中を見ることは難しいと思いますが、光を当てて水跡がついていないかは確認しておくと良いでしょう。

プジョー106の持病

実際に購入するとなると気になるのが、車固有のトラブルではないでしょうか?

ここからは、106の持病とその対応策についてご紹介しましょう。

エアコン内外切り替えギア破損

内外切り替えを押しても切り替わらない車が大多数/Photo by Ikeda Takuya

超ド定番のトラブルとして有名なのが、エアコンの内外切り替えギアの破損です。

106のエアコンは、切り替え機構内部のギアに対して常に力がかかる仕組みになっており、そのため遅かれ早かれギアが欠けて作動しなくなります。

これは、現在市場に出ている車の殆どが、既に故障している可能性まであるくらいの定番トラブル。

そうなると、個人で対策品の真鍮ギアを売っている方がいるので、そちらを購入して交換するか、諦めて外気固定にしてしまうかのどちらかの対策が必要です。

ちなみに、内外切り替え機構が作業しにくい場所にあるためか、筆者を含め、直さずに外気固定のままにしている方が多い印象です。

サーモスタットハウジング崩壊

ここがホースバンドの締め付ける力に負けて砕けることがよくあります/Photo by Takuya Ikeda

エンジンサーモが内部に入っているサーモハウジングの劣化による破損も、定番トラブルの一つです。

内外気切り替えと違い、こちらの破損はオーバーヒートによる走行不能に直結するため、対策が必須です。

写真赤丸部分がサーモハウジングとなりますが、ホースバンドの締め付ける力に負けてしまい砕ける事があるのです。

冷却水交換の際に新品へと交換するか、専門店で販売されている金属製の対策品に交換するのがいいでしょう。

純正品は2,000円程度で購入できるので、トラブルで大きなダメージが出る前に交換しておくのが吉です。

購入後の注意点

当記事を書いている際に、ラジエーター樹脂部分から冷却水漏れのトラブルも/Takuya Ikeda

基本設計が古い106は、電子制御などがまだ殆ど入っていないため、きっちりとメンテナンスをしていれば、ほとんど壊れません。

とはいえ、油脂類や各種消耗部品については日本車よりも短いスパンで交換していくことを意識していたほうが良いでしょう。

日本車感覚のノーメンテナンスで扱っていると、一気に寿命が縮まるので注意してください。

特に樹脂部品は品質が国産品より劣るため、想定外のトラブルもしばしば。

また、部品に関しては一部専門店で在庫がある程度で、基本的に国内在庫は無いと思っていたほうが良いでしょう。

ただし、イギリスでは現在でも競技などに使われているため、まだ部品が豊富に残っています。

海外通販の経験がある方ならば、自分で必要な部品を輸入してしまう方が割安かつスムーズです。

また、左ハンドルのため、日本国内で運転するには不便なシチュエーションもしばしば発生します。

慣れてしまえば何ということはありませんが、一ヶ月位は苦労することもあるかもしれません。

まとめ

窓の大きいサイドビュー。現代の車では見られないデザインです。/Takuya Ikeda

軽快な走りと絶妙なサイズ感で、何台も乗り継ぐオーナーが少なくはない106。

ここ数年、中古車サイトでも常に10台以上の在庫があるものの、着実にその台数は減っています。

205が一気に値上がりしている今、106も同じな道を辿ることは容易に想像がつくはず。

106、乗るなら今がラストチャンスかもしません!

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