22年間もの間作られていた初代デボネアに対し、2代目にあたるデボネアVは韓国の兄弟車、ヒュンダイ・グレンジャーの都合もあって6年とかなり早いサイクルで3代目へとモデルチェンジできました。まだ3ナンバー車の税金が高かった時代のデボネアVとは異なり、3代目は最初から堂々たる3ナンバーボディで作られています。
掲載日:2018/11/15
堂々たる三菱最大のフラッグシップへ返り咲いた3代目デボネア
1986年に発売されたデボネアVは、三菱最高級車の座を担う2代目デボネアとして3リッターV6エンジンを搭載するなど豪勢な車ではありましたが、当時はまだ3ナンバー車が贅沢品として税金が高かった時代です。
よほど特殊な高級車でも無い限り2リッターエンジンを搭載した5ナンバー車が設定されるのが普通という時代にあって、デボネアVも基本的には5ナンバーボディが与えられていました。
しかし、1989年に自動車税が改正され、単純に排気量だけで税金が決まるようになると3ナンバー車が増加し、三菱も1990年に発売したディアマンテ(ハードトップ) / シグマ(セダン)が堂々たる3ナンバーボディで大人気となります。
そうなるとデボネアVはエンジンが最上級グレードで同じ3リッターV6DOHC(6G72)なので、ボディがひと回り小さいこともあり最高級車としての立場が無くなってしまいました。
それでもFFなので車内が広く、ベンチシート / コラムシフトの6人乗り仕様や特装車のストレッチリムジンもあったので何とか面目を保っていましたが、早急にモデルチェンジした方が都合が良いのもまた事実。
幸い、韓国のパートナー、ヒュンダイの兄弟車グレンジャーは好評であり、デボネアVの販売台数に関わらずモデルチェンジに支障が無い状態だったので、デボネア / グレンジャーともども大型化して、1992年に新型が登場することになりました。
ディアマンテを上回るFFセダンの巨艦
1992年10月に発売された3代目は『V』が取れて再び『デボネア』を名乗るようになり、デボネアVに引き続いてヒュンダイから開発を依頼された兄弟車、2代目ヒュンダイ・グレンジャー(ニューグレンジャー)も存在しました。
ボディサイズは全長4,975mm、全幅1,815mmとディアマンテ / シグマを上回る巨体を持つ大型セダンで、FF(フロントエンジン・前輪駆動)ゆえの車内のゆとりはさらに拡大。
エンジンも上級グレードにはディアマンテ/ シグマにも搭載されていない3.5リッターV6DOHCの6G74が搭載され、三菱のフラッグシップにふさわしい内容となります。
装備面でも、レーザーセンサーで前車との距離を計測し、車間距離が縮まると警報を鳴らしたり、4速ATのODレンジを解除してエンジンブレーキを作動させる『ディスタンスウォーニング』を乗用車では世界初搭載。
その他、後退時のリアビューモニターや、ドアやトランクリッドを軽く閉めるだけで自動的に完全に閉めてくれる『アクティブパワーロック』も設定。
キーレスエントリーを操作すると記憶しているシートポジションやミラー、ステアリング角度にセットしてくれる『MICS(三菱インテリジェントコクピットシステム)』といったハイテク装備を得て、高級車らしい装備の充実度を誇りました。
先代の『デボネアAMG』こそ設定されなかったものの、ストレッチリムジン仕様『デボネア150』が存在し、全長5,125mmに延長されつつも取り回しに配慮した4WSを採用。
Bピラーを太くしていかにも延長したという仕様のストレッチリムジンとは異なり、後席には大型ドアが使われていて、一見するとリムジンには見えませんが、よく見ると妙に長い3代目デボネアということで、一目瞭然です。
そんなデボネア150は登録台数10台とも言われる、初代ディグニティ(生産台数59台)を上回る超レア車ですが、現存している個体があるのか気になります。
主なスペックと中古車相場
三菱 S27A デボネア エクシードIII 1992年式
全長×全幅×全高(mm):4,975×1,815×1,440
ホイールベース(mm):2,745
車両重量(kg):1,780
エンジン仕様・型式:6G74 水冷V型6気筒DOHC24バルブ
総排気量(cc):3,496
最高出力:191kw(260ps)/6,000rpm
最大トルク:324N・m(33.0kgm)/4,500rpm
トランスミッション:4AT
駆動方式:FF
中古車相場:35万~38万円
まとめ
何とも気合の入ったモデルチェンジが行われた3代目デボネアでしたが、販売台数が低迷したため、ディアマンテのようにメジャーな存在にはなれず、ただ黙々と販売される日々が続いたことに変わりはありませんでした。
むしろ先代にあたるデボネアVの方がバブル時代の波に乗っていくらか売れたほどでしたが、バブル崩壊後の経済低迷期に登場した3代目デボネアにはそのようなチャンスは無く、少しばかり運が悪かった車とも言えます。
ただ、三菱グループや三菱自動車と関係の深いユーザーのためにも高級セダンのラインナップ継続は必要で、3代目デボネアは1999年12月まで販売されました。
その後、やはりヒュンダイ・エクウスという兄弟車を持った三菱最後の独自生産高級セダンが登場しますが、車名はプラウディアと変更されており、デボネアは3代目までの35年間でその歴史を終えています。
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