かつてスバルがオリジナルの軽自動車を作っていた頃、軽トラック / 1BOX車のサンバーを除けば、その車種ラインナップは非常に独特でした。というのも、2006年に追加されたステラまで、ワゴンR的な存在が皆無だったのです。それに代わって、ヴィヴィオをベースとしたセミトールワゴンの初代プレオともども最末期のスバル軽自動車を支えようとしたのが、R2でした。
異色づくめだった軽セダン、スバル R2
1993年に初代ワゴンRが登場した瞬間から現在に至るまで、軽自動車販売の主力はワゴンRとそのフォロワーの軽トールワゴン、あるいはより背の高い軽スーパートールワゴンと決まっています。
そのため、独自に軽自動車を生産していた自動車メーカーのほとんどがワゴンRにならい、あるいは超えていこうとする中、スバルも軽トールワゴンの初代プレオを1998年10月に発売。
ただし、旧規格軽乗用車のベーシック / スポーツモデルとしては優秀だったヴィヴィオのプラットフォームを使った初代プレオは、後に機械式立体駐車場対応モデルが登場したほどライバルより車高が低く、走行性能に優れていた反面トールワゴンとしてはやや中途半端でした。
そして、ワゴンRのような『売れ線モデル』は次作で実現するに違いないと思われていた2003年12月に、車高が低くてスペース効率よりデザイン性重視など軽トールワゴンの真逆を行くR2がデビューしたので、それはもう驚かれたものです。
独特なフロントマスクと、走行性能へのこだわり
R2は機械式立体駐車場にしっかり収まる1,550mm以内に車高をおさめられたうえに、エンジン部分は極力短く室内長を最大化していたものの、フロントガラスやリアハッチは比較的寝ているデザイン重視の軽セダンでした。
さりとてライバル他社の軽セダンのように保守的なデザインではなく、当時のスバルがデザインアイデンティティとして採用していたスプレッド ウインググリルをはじめ、好みの分かれる非常に個性的なデザインで、ベーシックモデルとも言い難いところがあります。
どちらかと言えば、後にデビューする3ドアモデルのR1や、ダイハツ ソニカ、5代目スズキ セルボのような軽スペシャリティカーと言っても良かったかもしれません。
ハイオク仕様(途中でレギュラー仕様に変更)のDOHCスーパーチャージャーやDOHC自然吸気エンジンなどスポーティなエンジンを搭載し、スバル軽自動車独特の4輪ストラット独立懸架サスペンションで走りの良さには定評がありました。
唯一走りの面で惜しかったのはDOHCスーパーチャージャー仕様に5速MTの組み合わせが無かったことですが、当時既に過給機付きエンジンとMTの組み合わせは激減していたので、大きな問題ではありません。
また、好みの分かれるデザインやスペース効率については、本来はR2が後継車となるはずだった初代プレオが継続販売されたことや、2006年にはようやくスバル版ワゴンRと言えるステラが登場したので、大問題とならずに済んだのです。
主なスペックと中古車相場
スバル RC1 R2 タイプS 2008年式
全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,525
ホイールベース(mm):2,360
車両重量(kg):840
エンジン仕様・型式:EN07 水冷直列4気筒DOHC16バルブ ICスーパーチャージャー
総排気量(cc):658
最高出力:47kw(64ps)/6,000rpm
最大トルク:93N・m(9.5kgm)/4,000rpm
トランスミッション:CVT
駆動方式:FF
中古車相場:0.1万~70万円
まとめ
スバルは2006年にステラという『誰もが望んだ1台』を発売し、それがスバル独自生産軽自動車、最後のヒット作となりました。
あるいは最初からステラを発売していれば、という声があるのも確かですが、一度に複数の軽自動車を開発する余力の無いスバルにとって、R2のようなベーシック(あるいはスペシャリティ)な軽乗用車をリリースするのは、それが最後のチャンスだったと思います。
結果的に、R2も数は多くなくとも熱心なファンに愛されるモデルとなり、スバルオリジナル軽自動車の最後を飾る特別な1台となったのです。
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