好評だったS13型シルビアの跡を継ぐべく登場したS14型シルビア。しかしその生涯は決して順風満帆ではありませんでした。今回は、そんなS14型シルビアの魅力や、産まれた背景についてご紹介します。

 

Photo by Jordan LAB

 

S14以前~一躍人気車種になったS13型シルビア

 

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Nissan_13_silvia.jpg

S13型シルビアについては、過去にMotorzでも紹介させて頂きましたが、デートカーとして産まれ、そのスタイリングで人気になっただけでなく、走りと言う意味でも非常に楽しめるクルマとして大人気車種となりました。

このようにスタイリング面・メカニズム面でも好評を持って迎えられ、好景気に後押しされ一躍人気車種となったシルビアは、好調だったこともあり通常4年でモデルチェンジの周期を迎えるところ、1年長い5年というモデルライフを送っています。

デートからモータースポーツまで!万能プレイヤー日産S13型シルビアってどんな車?

 

期待と失望と

 

 

そんなシルビアがS14型となってデビューしたのが1993年10月。

この頃の日本市場は三菱パジェロに代表され、後にSUVと称されるようになるクロスカントリービークル、略して「クロカン」と呼ばれる大型4輪駆動車の人気が高まっており、デートカーと呼ばれていた2ドアクーペに取って代わる若い世代の人気車種となっていました。

そんな中1989年の税制改革により、どんな排気量であれ車体寸法が3ナンバー区分になった途端に、高額課税となっていた仕組みが見直され、5ナンバー車同様排気量に対して課税される方式に変更されました。

また、北米の衝突安全基準が厳しくなった時期も重なり、全幅は1700mmオーバーと大幅にサイズアップしたS14型シルビアは、全体に丸みを帯びたスタイリングも含めて批判の対象となります。

しかし、サイズアップをしたことは悪いことばかりではなく、トレッドの拡大という予期せぬ効果をもたらし、動力性能の向上にも寄与していたのですが、デビュー当初は悪い部分ばかりが注目され、賛否両論別れる形に。

 

思わぬところからの評価

 

もちろん、正当な評価をする人たちもいました。

それは、当時盛り上がりつつあったドリフト業界でした。

 

 

スタイリングと操縦性能が好評を博し、高い人気を誇っていたS13型にも「ボディ剛性が少々弱い」と言う弱点が指摘されていました。

そこに、北米での衝突安全基準の強化への対策も含め、大幅にボディ剛性が上げられた事が操縦性能の向上にもつながり、それに加えてサスペンションストロークの延長という改良と、若干パワーアップしたエンジンも含め、総合的には性能が向上している事に目を付けたドリフター達は徐々にS14型シルビアへと乗り換えて行ったのです。

そして「コンテストで勝つならS14でないと」という暗黙の了解もできあがる程となり、S14型シルビアはドリフト系の人たちの間で人気を博していったのでした。

 

Photo by Andrew Smith

 

失地回復を図るも…

 

ドリフト業界で人気を博したものの、「カッコ悪い」と評されたことに対しては手の打ちようもなく、純正オプション扱いだったエアロパーツを標準装備とした特別仕様車を追加するなどテコ入れを図ります。

そして1996年6月、遂に日産はビッグマイナーチェンジを敢行。

 

出典:http://www.nissanclube.com.br/2017/03/nissan-sylvia-s14.html

 

フロントマスクを全面的に変更し、シャープな顔つきへと生まれ変わったのです。

この変更も当初は「バランスが悪くなった」と評価は好ましいものではありませんでした。

しかし車高を下げ、オフセットの深いホイールを履かせた途端、一気にシャープさが引き立ち、徐々に人気が回復していきます。

 

Photo by Jordan LAB

 

その後1997年に、IHI製タービンと藤壷技研工業のマフラーを組み合わせ、最高出力250ps、最大トルク28.0kg/mへと向上させ、大型リアスポイラーと専用チューニングの足回りをセットした特別仕様車「オーテックバージョン K’s MF-T」を追加。

 

出典:https://www.drive2.ru/c/871920/

 

走り屋向けに特化した形で進化していったS14型シルビアは1998年いっぱいで生産終了、翌年1月にS15型へとモデルチェンジされました。

 

モータースポーツでの活躍

 

ドリフト業界での高評価同様、走りのポテンシャルが向上したことはモータースポーツ業界でも評価され、全日本GT選手権ではすぐさまベース車両をS14型に変更し、使用され始めます。

 

出典:https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/motorz.production.assets/wp-content/uploads/2016/09/http-www.tomeipowered.comBTEindex.phptomei-history2735.jpg?id=150

 

S14型が参戦していたGT300クラスでは、ニスモだけではなくRACING PROJECT BANDOHなど有力プライベートチームも参戦し、1997年にGT300クラスシリーズチャンピオンを獲得するなどの活躍を見せました。

 

出典:http://www.rs-r.co.jp/

 

更にS13型に引き続き富士フレッシュマンなどの地方選手権にも採用され、レーサーを目指す者たちの登竜門マシンとして存在したのでした。

 

S14型シルビア スペック(※カッコ内はNAモデル)

 

 全長×全幅×全高(mm):4520×1730×1295

ホイルベース(mm):2525

エンジン:SR20DET型 直列4気筒DOHCターボ(SR20DE型 直列4気筒DOHC)

最高出力:220ps/6000rpm(160ps/6400rpm)

最大トルク:28.0kgm/4800rpm(19.2kgm/4800rpm)

トランスミッション:5速マニュアル/4速オートマチック

駆動方式:FR

新車時価格:1,697,000円~2,594,000円(1993年10月デビュー時)

中古車相場:250,000円~2,180,000円(2017年8月現在)

 

まとめ

PHOTO:James Parrish Craig(https://www.flickr.com/photos/jamesparrishcraig/)

現在では前期型も再評価され、柔和な顔つきが良いと好んで乗られる方もいらっしゃいます。

しかし、走り屋方面から最初に評価されたことが良かったのか悪かったのか、その方面に特化していくようなマイナーチェンジを繰り返し、「オシャレなクーペが欲しい」という層からは乖離していくことになりました。

その結果、次世代のS15型では大幅に見直しがなされることに。

現在では貴重となった2ドアクーペのボディを持つS14型シルビアは、再評価の流れもありデビュー当初とは違った見方をされた為、人気が増しつつあります。

名車の狭間に迷い込んでしまったS14型シルビアは、これから再評価の流れに乗って名実ともに名車となる日も近いかもしれません。

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