アメリカンスポーツカーの最高峰といえば、シボレー・コルベットを思い浮かべる方は少なくないかと思います。大排気量、そして欧州車では感じられない豪快さと雰囲気は多くのアメ車ファンやスポーツカーファンを魅了しました。今から60年以上も前に登場した、そんなコルベットの初代モデル『C1型』についてご紹介します。
CONTENTS
欧州スポーツカーに対抗すべく登場したシボレー・初代コルベットC1
GM(ゼネラルモーターズ)に所属していたカーデザイナー、ハーレー・アール(Harley Earl)氏は1927年にGMに就職し、第二次世界大戦の軍事業務での海外勤務を経てMG、ジャガー、アルファロメロといったスポーツカーを持ち帰りました。
そして戦後まもなく、1951年にGMのライバルメーカーであった自動車メーカー・ナッシュモーターズ(Nash Motors Company)は、イタリアの自動車デザイナー、ピニン・ファリーナ(Pinin Farina)とイギリスの自動車設計者ドナルド・ヒーリー(Donald Healey)と協力し、高額な2シータースポーツカー・ナッシュヒーリー(Nash-Healey)を製造・販売します。
それを知ったハーレー・アール氏はGMに2シータースポーツカーの開発の必要性を訴え、1951年後半に『Project Opel』を遂行。
本格的なスポーツカー開発に乗り出します。
コストを抑えるために当時GMのエグゼクティブだった、ロバート・F・マクレーン氏は既存商品の部品を流用して製作するように指示し、シャシーとサスペンションのみ専用設計する事に。
その後1953年1月17日、ニューヨークにある高級ホテル・ウォルドルフ=アストリアで、コルベットC1のプロトタイプとなるEX-122を初公開。
これが反響を呼び、市販化に踏み出すことになりました。
多くのマイナーチェンジを行ったコルベットC1!歴代モデルを一挙紹介
コルベットC1誕生【1953~1955年】
第二次世界大戦後、アメリカではプラスチック産業が向上し、GMはコルベットのボディに強化プラスチックを用いることを決断します。
エンジンは1941年、大型トラックに使用するために設計された216エンジンを採用。
3.85リッター直列6気筒エンジンは、150馬力を発生しました。
また、216エンジンのヘッド部分は青色だったため『ブルーフレーム(青い炎)シックス』と呼ばれる事に。
スポーツカーとして売り出されたコンパクトなオープン2ドアスポーツカーですが、トランスミッションはオートマ2速だったため、中身は通常の乗用車のような仕様でした。
しかし残念ながら、この仕様は市場でなかなか受け入れられず、発売された1953年の生産は300台のみに留まっています。
さらに、1954年は3,640台生産されましたが、年末にはその内の3分の1が売れ残ってしまい、現在のような人気スポーツカーの面影はありませんでした。
V型8気筒エンジンを搭載【1956~1957年】
1955年から4.34リッターV型8気筒エンジンをオプションで用意し、3速マニュアルトランスミッションも登場。
翌1956年には、のちに『コルベットの父』と呼ばれるようになるゾラ・アークス・デントフ(Zora Arkus-Duntov)氏がv型8気筒エンジンと3速マニュアルのモデルのディレクターに就任。
スポーツカーファンから信頼される性能とパフォーマンスを持たせ、外装も一新させました。
また、それまでオープンカーのみの設定でしたが、屋根付きのハードトップも登場します。
4眼ヘッドランプへデザイン変更【1958~1961年】
1958年からコルベットC1のヘッドライトは4眼のランプとなりました。
また、エンジンは4.6リッターまで排気量アップされ、250~315馬力まで馬力も向上。
このころからコルベットは人気モデルとなり、1960年には年間生産台数は1万台を超えるものとなったのです。
コルベットC1最大5.4リッターエンジンを搭載【1962年】
1962年は、コルベットC1が生産される最後の年となります。
エンジンは最大となる5.4リッターまで排気量が上げられ、ベースモデルで250馬力、オプションの高性能エンジン搭載モデルで360馬力まで引き上げられました。
そしてこの年は、コルベットC1で最も多い14,531台を生産し、コルベットC1は1953~1962年までの間に累計69,015台生産される結果となったのです。
シボレー・コルベットC1の魅力はリアビューの変化
初代コルベットC1は1953~1961年まで4度のマイナーチェンジが施され、外装デザインやエンジン・トランスミッションなど色々な部分が変更されていきましたが、その中でもリアデザインチェンジが顕著です。
旧アメ車らしいスタイルで、座席から車体後部先端までが長く、後方部へいくほど曲線状に下降していくデザインになっており、この美しい形状に魅了されるユーザーは多いのではないでしょうか。
また、8年間で4度もデザイン変更されたことは稀で、それだけ自動車デザインのトレンドやユーザーの声に合わせたスタイルを意識してきた事が感じられる歴史を持ったモデルなのです。
シボレー・コルベット初代C1型のモータースポーツでの活躍
コルベットC1の1953年に登場したモデルは、グランドツーリング志向の強いモデルでレーシングカー向けの車とはいえませんでした。
しかし、エンジンがV8になってから、GMは1956年1月に開催されたデイトナ・スピード・トライアルに2台のコルベットC1を出場させます。
そして、レース専用にチューニングされたコルベットSRが、同年3月に開催されたセブリング12時間レースに5台出場し、総合9位とクラス優勝を勝ち取りました。
また、1960年にはル・マン24時間レースに出場し、総合8位に入賞したことでコルベットのスポーツ性能を証明させたのです。
シボレー・コルベットC1のスペック
1953年 シボレー・コルベット 235 Blue-Flame Powerglide | |
---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 4,249×1,773×1,308 |
ホイールベース(mm) | 2,591 |
乗車定員(名) | 2 |
乾燥重量(kg) | 1,309 |
エンジン種類 | 水冷直列6気筒OHV |
排気量(cc) | 3,859 |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 112[152]/4,200 |
最大トルク(N・m[kgf-m]/rpm) | 302[30.8]/6,000 |
トランスミッション | 2速AT |
駆動方式 | FR |
トップスピード(km/h) | 164 |
0-100 km/h (秒) | 11.9 |
燃費(km/L)※発売時のカタログ値 | 5.8 |
シボレー・コルベットC1の中古車価格
An early #Corvette C1 from 1959 nears the end of preparation for its first MOT and UK registration. This vehicle will be photographed shortly and goes up for sale at a very modest £75,000. This C1 a real headturner. Read more https://t.co/oF9yzpHel1 #americanmusclecars pic.twitter.com/IndIJXPGKb
— Roman Garages (@romangarages) 2018年2月20日
コルベットC1は50年以上も昔の輸入車であるため、中古車はかなりの高額となっています。
約1,000万円またはそれ以上の車体がほとんどで、特殊な中古車であるため旧アメ車専門店での購入がおススメです。
まとめ
コルベットC1は、古き良きアメリカンマッスルカーを思う存分感じさせてくれる1台です。
乗るに至らなくても、見ているだけで満足できるカッコよさはコルベットC1ならではのノスタルジーといえるでしょう。
あわせて読みたい
[amazonjs asin=”B00XDFGO1S” locale=”JP” title=”シボレーコルベットc1 ,ブラック/シルバー, 1958 ,モデルカー, Ready – made , Motormax 1 : 18″]
Motorzではメールマガジンを始めました!
編集部の裏話が聞けたり、月に一度は抽選でプレゼントがもらえるかも!?
気になった方は、Motorz記事「メールマガジン「MotorzNews」はじめました。」をお読みいただくか、以下のフォームからご登録をお願いします!