ホンダスーパーカブは2017年10月に世界生産累計台数1億台に到達しました。現在、世界160の国と地域で販売されているスーパーカブは、世界の二輪産業に大きな影響を与えたのはみなさまもご存知だと思います。今回はそんなスーパーカブの誕生秘話や魅力、モータースポーツでの活躍などをご紹介します。
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ホンダ スーパーカブとは
スーパーカブ(Super Cub)は、ホンダが生産する原付一種・原付二種のバイクです。
国内で販売されているスーパーカブは排気量が50ccと110ccの2種類が用意されており、スーパーカブの派生モデルとしてスーパーカブ50 プロ、スーパーカブ110 プロ、クロスカブ、リトルカブもラインナップされています。
なお、リトルカブは生産終了となったため、現在の新車販売は在庫のみとなっているようです。
2017年10月に4年ぶりとなるフルモデルチェンジと生産工場を熊本製作所へ移管
ホンダは2017年10月19日(木)にフルモデルチェンジした新型スーパーカブを発表し、11月10日(金)に発売することを公表しました。
5年ぶりとなるフルモデルチェンジでは、今まで四角目だったヘッドランプを丸目に戻し、昔から変わらない丸みを帯びたボディラインがレトロ感を漂わすものとなりました。
その後2017年9月に排ガス規制が強化され、一酸化炭素などの排出量を従来の6割程度にするよう改められることに。
しかし排ガス規制を満たした上で、50cc、110ccという排気量のエンジン性能を落とさないようにするのは非常に難しく、フルモデルチェンジでの改善内容にキャタライザーと呼ばれる排ガス浄化装置を1つから2つに増やし、燃料噴射のプログラムの見直しも行われました。
その影響が燃費に現れ、スーパーカブ50で110km/Lだったのが105km/Lに落ちていますが、実燃費ではあまり変わっていないというインプレも聞かれます。
さらに、日本で販売されるスーパーカブは中国で生産されていましたが、新型スーパーカブからは、日本の熊本製作所で生産されることになりました。
その影響もあって、価格はスーパーカブ50で前モデルから4万4,250円値上がりの23万2,200円、スーパーカブ110で前モデルから4万6,500円値上がりの27万5,400円となっています。
スーパーカブ生産台数1億台達成
スーパーカブは世界15か国16拠点で生産されて、現在世界160の国と地域で年間300万台販売されています。
そして、2017年10月19日(木)に新型スーパーカブの発表と同時に、スーパーカブの世界生産台数が累計1億台を達成したと発表されました。
スーパーカブの誕生秘話
本田宗一郎は1956年の暮れから1957年の年始にかけて、新しいバイク開発のヒントを得ようと当時専務だった藤沢武夫とヨーロッパ視察へいきました。
ヨーロッパの小型バイクといえばモペッドやスクーターであり、本田宗一郎はその二つにも属さない新しいモビリティを模索していたのです。
そしてモペッドでもない、スクーターでもない、ホンダならではの全く新しいスタイルと使い勝手の良さを模索していく中で、次の4つの具体案を提案します。
それは「エンジンは、高出力、静粛性と燃費に優れた4ストローク」、「車体は女性も乗り降りしやすいカタチとサイズ」、「ギアの操作方法はクラッチレバーを必要としないシステムの構築」、「先進性のあるデザインで、かつ親しみやすく、飽きがこない」の4つ。
当時の日本の道路はヨーロッパのように舗装された道が少なく、日本の主要道路の舗装率が10%ぐらいでした。
そこで、本田宗一郎は誰でも乗りやすいコンパクトな車体と小型エンジンを搭載し、なおかつ未舗装の道を走るために4馬力のパワーがあり、丈夫なバイクを作ることを念頭に置いていたのです。
ちなみに、当時ホンダは自転車に後輪配置のエンジンを搭載した「F型カブ」が大ヒットし「白いタンクに赤いエンジン」で親しまれていまたが、このエンジンは50cc2ストロークでパワーは1馬力ほどでした。
それを、同じ排気量で4馬力にするだけでも大変なのに、当時世界初だった50ccOHV4ストロークエンジンでそれを実現しようとするのは、無謀とも呼べる挑戦だったのですが、常識を覆すアイデアを次々取り入れ、試行錯誤の上で4.5馬力/9500回転まで出力を上げることに成功したのです。
カブの代名詞ともいえるクラッチレバーのない自動遠心クラッチは、8つの試案から3種類の試作品を制作。
そこからさまざまな改良を重ね、左手操作がフリーの自動遠心クラッチが出来上がりました。
そして車体の設計も進み、初代スーパーカブC100が完成します。
スーパーカブは1958年8月に、大和工場(旧埼玉製作所和光工場)で量産を開始。
その後、ホンダの企業概念である「需要のあるところで生産する」から、1961年に台湾でノックダウン生産を開始しました。
ホンダ スーパーカブの魅力
俺の流星号(スーパーカブ50通勤用)がもうすぐ10万キロ!約20年間無事故でスピード違反2回の凍結スリップ転倒1回の好成績。本当に雨の日も風の日も晴れの日も通勤のお伴ありがとう!そしてこれからもよろしく!万の位が10万キロを待ちきれなさそうな所が泣けるぜ! pic.twitter.com/jbss8Rgl3r
— shinpoke (@shinpoke) 2017年12月14日
スーパーカブの魅力の一つは、とにかく低燃費であることで、歴代モデルの過去最高値は1983年に発売されたスーパーカブ50スーパーカスタムが30km/h定地走行でリッターあたり180kmを走行しました。
これほどまで低燃費だと、ランニングコストが非常に安く、ガソリン車で最も経済的な乗り物だと言っても過言ではありません。
ほかにも、登場から基本的に変わらないデザインや、故障が少なく10万キロも走破した車両が多数存在するほど耐久性が高いことなど、言い尽くせないほどスーパーカブは魅力が溢れています。
ホンダ スーパーカブのモータースポーツでの活躍
#HRTD2017 ロードコースのグリッド上では、Super Cub1億台記念レースの準備が進んでいます🛵そんな中、琢磨選手の走りをモニターで見つめるトップライダーたち😉 #ホンダモースポ pic.twitter.com/cqIwUqFM3x
— HondaモータースポーツLive (@HondaJP_Live) 2017年12月3日
スーパーカブは実用性に特化したバイクのよう思えますが、カスタムパーツも多く販売されており、スーパーカブだけを対象としたレースや、4ストミニバイクレースでも度々登場します。
2017年12月3日(日)にホンダがツインリンクもてぎで開催した「ホンダレーシング サンクス デイ 2017」では、スーパーカブシリーズ世界生産累計1億台を記念した特別レースが行われ、ホンダのマシンに乗るレーシングドライバーやMotoGPライダーが参加。
MotoGPライダーのマルク・マルケスとダニ・ペドロサ、レーシングドライバーの鈴木亜久里やスーパーGT選手権でKEHIN REAL RACINGからGT500に参戦する小暮卓史も参戦し、優勝がダニ・ペドロサ・2位がマルク・マルケスのMotoGPワークスライダーワンツーフィニッシュという結果に。
世界のトップライダーがスーパーカブでハングオンし、コーナーを軽やかに走行する姿は圧巻でした。
ホンダ スーパーカブのスペック
スーパーカブ50 | スーパーカブ110 | ||
---|---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 1,860×695×1,040 | 1,860×695×1,040 | |
軸距(m) | 1,210 | 1,205 | |
シート高(m) | 735 | 735 | |
乾燥重量(kg) | 96 | 99 | |
乗車定員(人) | 1 | 2 | |
エンジン種類 | 空冷4ストロークOHC単気筒 | 空冷4ストロークOHC単気筒 | |
総排気量(cc) | 49 | 109 | |
内径×行程(mm) | 37.8×44.0 | 50.0×55.6 | |
圧縮比 | 10.0 | 9.0 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 2.7[3.7]/7,500 | 5.9[8.0]/7,500 | |
最大トルク(N・m[kgm]/rpm) | 3.8[0.39]/5,500 | 8.5[0.87]/5,500 | |
燃料タンク容量(L) | 4.3 | 4.3 | |
燃料消費率(km/L) | 国土交通省届出値:定地燃費値(km/h) | 105.0(30)〈1名乗車時〉 | 62.0(60)〈2名乗車時〉 |
WMTCモード値(クラス) | 69.4(クラス1) | 67.0(クラス1) |
まとめ
スーパーカブは世界中の人々の移動と運搬を支えてきたバイクです。
東南アジア諸国や南米、アフリカなどの発展途上国ではスーパーカブを利用している方が多く、全世界で年間300万台が販売されます。
それは、まさに日本の宝と言っていいほどの1台。
世界的な乗り物となったスーパーカブは、これからも愛され続けるモデルだと思います。
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