軽SUVベースのコンパクトSUVと言えば、現在なら2018年7月に3代目が発売されたばかりのジムニーシエラが代表的ですが、かつてはダイハツ・テリオスや三菱 パジェロイオなどもリリースされていました。その中でも、ジムニーシエラに対抗するかのように真っ先に登場したのが、三菱 パジェロジュニアです。

 

三菱 パジェロジュニア / 出典:https://www.mitsubishi-motors.com/jp/innovation/history/year/1990/90_29.html

 

 

パジェロミニに続いて登場したコンパクト・パジェロ、パジェロジュニア

 

三菱 パジェロジュニア / © TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

1980年代のRVおよびクロカン(クロスカントリー)4WDブームを巻き起こした立役者、パジェロの軽自動車版として1994年に発売されたパジェロミニは、見た目にはまさにパジェロを軽自動車サイズに縮小したとしか見えない、ユニークな軽オフローダーでした。

そして3代目パジェロ(1999年9月)に先駆けて、モノコックボディにラダーフレームを溶接したビルトインラダーフレームを採用し、フロントサスペンションがストラット式独立懸架など、ライバルのジムニーよりも乗用車らしさをアピールして差別化に成功します。

ジムニーのライバルとして名乗りを上げた手前、ジムニーシエラに相当する小型車版を開発するのも当然の成り行きと言うべきで、パジェロミニに1.1リッターエンジンを搭載したパジェロジュニアも1995年11月に発売される事に。

これでパジェロ(ロングボディ)、パジェロ(ショートボディ)、パジェロジュニア、パジェロミニと、大小4種類のパジェロシリーズを揃えた三菱は、クロカン4WDの分野で『パジェロ』ブランドを『ランクル(トヨタ・ランドクルーザー)』と並ぶ確固たるものにします。

なお、軽自動車枠にとらわれないパジェロジュニアは海外での需要も多く、正規輸出していなかったにも関わらず相当数が並行輸出で海を渡ったと言われています。

そのため、次期型はエンジンをより大排気量化、ボディも拡大したパジェロイオ(海外名はその他モンテロイオ、パジェロピニン、ショーグンピニンなど)となっています。

 

基本的にはパジェロミニの普通車版

 

三菱 パジェロジュニア / Photo by Kieran White

 

パジェロジュニアはザックリ言ってしまえば、パジェロミニの4気筒660ccエンジン4A30をボア(内径)・ストローク(往復行程)ともに拡大した4気筒1,094ccエンジン4A31に換装、樹脂製のオーバーフェンダーと太い大径タイヤを備え、前後バンパーを大型化したものです。

しかし、ワイドトレッド化による安定性の向上や、各部の改修点のため要所が補強されているという違いもあり、さらに防音材追加による静粛性の向上や装備の充実も図られています。

それに加えて、ミッションのファイナルギア(最終減速比)がMT/ATともに変更されており、パジェロジュニアの方がハイギアードで、なおかつほぼ同一の最大トルクながら発生回転数はパジェロジュニアの方が高くなっています。

パジェロジュニアがパジェロミニと比較して、低速低回転から悪路での粘り強い走りや登坂能力といった悪路走破性よりも、舗装路での快適な走行性能や高速巡航での快適性を重視したという事を表しています。

そのためパジェロジュニアで加速性能などキビキビした走りを求めるユーザーは、パジェロミニ用のファイナルギアに交換するといったカスタムも施すケースもあったのだとか。

しかし、「とりあえずパジェロの形をした小さくて快適な車を街乗りで使いたい。」、「パジェロの形をしていてほしいけど、悪路は走らない。」というユーザーには、パジェロジュニアに分がありました。

ちなみに、税制上メリットの少ない排気量(1リッターをわずかに超えるだけで、1.5リッター車と同じ自動車税になる)に疑問を持たれることもありますが、パジェロミニに載るサイズのエンジンで快適性や衝突安全性、走行安定性を求めたら最適の形を目指した結果と言えるのです。

 

パジェロジュニア・フライングパグ(1997年9月発売)  / (c) Mitsubishi Motors Corporation. All rights reserved.

 

なお、いくつかの特別仕様車が設定されていますが、その中でもユーモラスなのがパジェロジュニア・フライングパグで、フロント部分を戦前のクラシックカー風にして内装も木目調を採用するなど、戦前のダットサン小型車のようでなかなか本格的な出来栄えでした。

 

主なスペックと中古車相場

 

出典:https://www.mitsubishi-motors.com/jp/innovation/history/year/1990/90_29.html

 

三菱 H57A パジェロジュニア ZR-II 1995年式

全長×全幅×全高(mm):3,500×1,545×1,660

ホイールベース(mm):2,200

車両重量(kg):960

エンジン仕様・型式:4A31 水冷直列4気筒SOHC16バルブ

総排気量(cc):1,094

最高出力:59kw(80ps)/6,500rpm

最大トルク:98N・m(10.0kgm)/4,000rpm

トランスミッション:5MT

駆動方式:4WD

中古車相場:13.9万~55万円

 

まとめ

 

三菱 パジェロジュニア / 出典:https://www.mitsubishi-motors.com/jp/innovation/history/year/1990/90_29.html

 

1.1リッターという中途半端な排気量もあり、パジェロシリーズの中ではやや影の薄い存在だったパジェロジュニアですが、三菱として誤算だったのは日本での販売台数よりも、実は海外での需要が多いことでした。

考えてみればコンパクトな本格オフローダーという分野はジムニーに軽自動車枠を超えたエンジンを積み、フェンダーを拡幅してワイドトレッド化した輸出版ジムニーで既に開拓されており、日本市場ではその輸出版を販売していただけだったのです。

海外でもパジェロは人気だったので、輸出版ジムニーのような小さいパジェロがあれば人気が出て当たり前。

最初から輸出仕様を企画していればと、当時の三菱としては悔やまれる展開だったかもしれません。

その教訓が、2代目パジェロミニをベースとしつつ、単なる拡大版パジェロミニではなく、より本格的なコンパクト版パジェロとしたパジェロイオにつながることになるのです。

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