かつてトヨタがターセル / コルサからカローラ、コロナ / カリーナ、カムリ / ビスタやマークII3兄弟を経てクラウンまで分厚い4ドアセダン / ハードトップのラインナップを誇っていた時代には、「係長はカローラ、課長はマークII、部長でようやくクラウン」などと社会の階層を表現していた時期もありました。その中で頂点を極めた証として『いつかはクラウン』のキャッチコピーが使われたのが、この7代目クラウンです。

 

7代目トヨタ クラウン 4ドアハードトップ 1986年式ロイヤルサルーン3.0ツインカム / © 1995-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

ハードトップ主体で、ハイソカーの頂点に立った7代目クラウン

 

7代目トヨタ クラウン 4ドアセダン 1983年式ロイヤルサルーンG / 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60005311A/

 

1983年8月にモデルチェンジ、7代目となったクラウンは重要な転換期を迎えました。

高級2ドアクーペ 初代ソアラの発売(1981年)により、クラウンの2ドアハードトップはその役目を終えて先代限りで廃止された一方で、3代目以降に目指してきたオーナーズカー路線が実り出したのです。

そして先代から登場した4ドアハードトップが販売の主体となり、初代以来続いてきた4ドアセダンは公用車や業務用として存在し続ける形が確定。

マークII 3兄弟やソアラなどが切り開いたハイソカー市場、頂点に立つモデルとして君臨した7代目クラウンの販売に当たってのキャッチコピーは、『いつかはクラウン』でした。

初めて買う車がスターレット、結婚して最初のファミリーカーはターセルやカローラの4ドアセダン、出世していくに従い、自分自身のランク(階級)とともに車もランクアップしていき、そして「いつかはクラウン」へ。

価値観が多様化した2018年現在の視点からすれば『奇妙』としか言いようがありませんが、既にトヨタが日本国内販売台数シェアNo.1、そしてバブル前夜で日本全体が右肩上がりだったこの頃、いつかはクラウンを買うため頑張って働くという時代が確かにあったのです。

 

上級グレードは4輪独立懸架へ、『アスリート』も初登場

 

7代目トヨタ クラウン ワゴン 1983年式(他にバンもあり) / 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60005370A/

 

かつての公用車やタクシーなど事業用セダンがメインだった時代から脱却し、個人向けの高級オーナーズカーとして4ドアハードトップが販売の主力になったとはいえ、そのメカニズムはまだ過渡期でした。

すなわち、最廉価グレードの『スタンダード』からセカンドグレードの『スーパーサルーン』系まではリアサスペンションが旧態依然としたリジッドサスで、最上級の『ロイヤルサルーン』のみセミトレーリングアームで4輪独立懸架(フロントはダブルウィッシュボーン)。

ロイヤルサルーンの2.8リッター直列6気筒エンジン5M-GEUが電子制御燃料噴射装置を採用していたのは先代同様でしたが、そこに電子制御4速ATが組み合わせられ、1つのマイコンでエンジンとミッションを統合制御していました。

それでいてモノコックではなく伝統あるペリメーターフレームはそのままで、そもそも同じ車体で高級グレードから『スタンダード』や『デラックス』など営業車然としたグレードが存在するなど(4ドアハードトップは除く)、今では考えられないことです。

そして、先代より曲線を取り入れたボディに、リアのピラー(天井を支える柱)外装は光沢のある樹脂でカバーした『クリスタルピラー』を採用。

セダンの『デラックス』や『スタンダード』は、ヘッドライトにハロゲン(当時はもちろんHIDもLEDも無かった)ではなくバンと同じく4灯式シールドビームを採用するなど、新旧混在していたのがこの頃のクラウンでした。

しかし、4ドアハードトップでは少なくとも外観が極端に差別化された廉価グレードは存在せず、セダンやバン / ワゴンとは明確に異なる『ハイソカー』路線を突き進む事に。

また、2リッターガソリン車やディーゼル車はもちろん5ナンバーサイズで、2リッター直列6気筒SOHCターボのM-TEUエンジンに代わり、1985年9月のマイナーチェンジで2リッター直列6気筒DOHCスーパーチャージャーの1G-GZEUエンジンが登場。

意外にもこれが国産量産乗用車初のスーパーチャージャー採用となり、ターボエンジンより数年遅れての国内デビューとなります。

さらに、後にクラウンの主力となるスポーティグレード『アスリート』が特別仕様車として初登場。

前期はターボ、後期はスーパーチャージャー搭載車に『Sパッケージ』のスポーツサスペンションを組み込んで、フロントスポイラーを装備していました。

 

主なスペックと中古車相場

 

7代目トヨタ クラウン 4ドアハードトップ 1983年式ロイヤルサルーンG / 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60005311B/

 

トヨタ MS123 クラウン 4ドアハードトップ ロイヤルサルーンG 1983年式

全長×全幅×全高(mm):4,860×1,720×1,400

ホイールベース(mm):2,720

車両重量(kg):1,500

エンジン仕様・型式:5M-GEU 水冷直列6気筒DOHC12バルブ

総排気量(cc):2,759

最高出力:129kw(175ps)/5,600rpm(グロス値)

最大トルク:240N・m(24.5kgm)/4,400rpm(同上)

トランスミッション:4AT

駆動方式:FR

中古車相場:20万~162万円(セダン・ハードトップ・ワゴン・バン全て含む)

 

まとめ

 

7代目トヨタ クラウン 4ドアハードトップ 1986年式ロイヤルサルーン3.0ツインカム / © 1995-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

3代目以降、公用車や事業用から個人向け高級車への脱皮を図りつつ、時には大きくシェアを落とす事もあるなど紆余屈折を経ていたクラウンでしたが、7代目に至ってようやくトヨタが望む形でのアイデンティティを手に入れました。

一時期セルシオやマジェスタにトヨタ最高級車の座を奪われていたのを除けば(例によって特殊なセンチュリーは除く)、現在に至るまで『いつかはクラウン』と呼ばれるステータスシンボル的存在としてのクラウンは、7代目120系から加速していきます。

ただ、ひとつの路線が定まるということは『保守化』の始まりでもあるので、ここからのクラウンはキープコンセプトとユーザー層の若返りの繰り返しであり、7代目はその始まりでもありました。

 

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