軽自動車でソコソコ以上の悪路走破力を持つ車と言えば、スズキ ジムニーとその原型ホープスターON型4WDがゴリゴリの定番。次点で三菱 パジェロミニも存在しましたが、忘れていけないのがダイハツ テリオスキッドです。悪路走破性こそ軽トラ並なものの、ライバルには無かった5ドアという魅力で14年近く販売されました。

掲載日時:2019/01/11

 

ダイハツ テリオスキッド / Copyright© Daihatsu Motor Co.,Ltd. All rights reserved.

テリオスの軽自動車版?いえいえ逆です

 

ダイハツ テリオスキッド / Copyright© Daihatsu Motor Co.,Ltd. All rights reserved.

 

1998年10月、軽自動車の新規格移行と同時にダイハツから発売された5ドアSUVがテリオスキッドです。

先行して1997年4月に発売されたテリオスの軽自動車版として紹介されることが多いものの、実はテリオスの方が先に発売されただけなのです。

実際にはテリオスキッドを基本にリアオーバーハングを延長して荷室拡大とリアクォーターウィンドウを設け、より太いタイヤを履けるようにオーバーフェンダーで拡幅し、1.3リッターエンジンを搭載したのがテリオスと考えた方が正解です。

スペック面からも明らかで、車体寸法こそテリオスの方が大きいものの、荷室を含まない車室の室内長×室内幅×室内高は1,655×1,220×1,155(mm)と全く同一で、その存在はあくまで軽自動車のテリオスキッドあってこそ。

なお、テリオスキッドの発売時には既に『軽オフローダー』の鉄板定番車種としてスズキ ジムニーが君臨しており、それに続くは三菱 パジェロミニと、2台とも新規格版が登場。

新規格移行時デビュー組としてはテリオスキッドのほかにホンダ Z(2代目)もあり、どちらも軽トラ/軽1BOX車のパワートレーンを流用した簡易な、しかしクロスオーバーSUVよりは悪路走破性の高いSUVという点は同じです。

当時マツダはキャロルの独自生産をやめて軽自動車は全車OEMに移行していたので、軽自動車メーカーはスバルを除き全てSUVをラインナップすることになりました。

 

クロスオーバーを除けば唯一の5ドア軽SUV

 

ダイハツ テリオスキッド派生車『テリオスルキア』/ Copyright© Daihatsu Motor Co.,Ltd. All rights reserved.

 

テリオスキッドそのものは駆動系を軽トラ/軽1BOX車のアトレー/ハイゼット系から流用しており、フルタイム4WDながらセンターデフロック機構つきで、ブレーキの電子制御でホイルスピンによるスタックを防ぐ程度の軽クロスオーバーSUVより悪路走破性は断然上。

ボディはモノコックにラダーフレームを溶接したビルトインラダーフレーム式で、単なるモノコックよりは強固であり、メカニズム的には見た目より案外タフなオフローダーとしての性格を持っています。

また、エンジンは重くなったボディを走らせるために自然吸気エンジンは設定されず、廉価グレードでもインタークーラー無しターボ(60馬力)のEF-DEM、上級グレードはインタークーラーターボのEF-DET(64馬力)を搭載し、後に全車EF-DETに統一されました。

ただし、本格オフローダーとして勝負しても最強のジムニーやパジェロのイメージを活かしたパジェロミニに及ぶべくも無いためか、エアロダウン系などオンロード重視のラインナップがなされ、クロスオーバーSUV的なイメージで販売。

後に登場し、背面スペアタイヤを廃止して車高を下げた『テリオスルキア』(2002年1月~2003年8月)はクロスオーバー的性格をより強めたモデルで、同時期にネイキッド(軽クロスオーバーSUV)のイメージを刷新した『ネイキッドF』と似た車でした。

とはいえ同期のホンダZが短命(1998~2002年)に終わったのでテリオスキッドも同様の運命をたどるかに思われましたが、意外やテリオスキッドは小型車版テリオス販売終了後も、2012年6月まで14年近くもの長きにわたって販売されるロングライフモデルとなります。

その理由はジムニーにもパジェロミニにもZにも無かった『後席ドア』の存在で、悪路走破性に優れた5ドアSUVを購入しようと思えば、テリオスキッドしか選択肢が無かったのです。

いわばニッチで根強い需要に支えられたテリオスキッドは、後継車こそ存在しないものの『唯一の軽5ドアSUV』として今でもかけがえの無い存在であり、販売終了から6年以上を経た現在でも程度の良いものは中古車市場で堅調な人気を得ています。

 

主なスペックと中古車相場

 

ダイハツ テリオスキッド / Copyright© Daihatsu Motor Co.,Ltd. All rights reserved.

 

ダイハツ J111G テリオスキッド 1998年式

全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,740

ホイールベース(mm):2,420

車両重量(kg):1,000

エンジン仕様・型式:EF-DET 水冷直列3気筒DOHC12バルブ ICターボ

総排気量(cc):659

最高出力:47kw(64ps)/6,400rpm

最大トルク:107N・m(10.9gm)/3,600rpm

トランスミッション:5MT

駆動方式:フルタイム4WD

中古車相場:0.1~112万円

 

まとめ

 

ダイハツ テリオスキッド / COPYRIGHT© TOYOTA MOTOR CORPORATION.All Rights Reserved.

 

クロスオーバーSUVとしては本格的すぎ、さりとて本格オフローダーとしての性能ではライバルに及ばないという、中途半端な性能のテリオスキッドではありましたが、5ドアでないと使い勝手に困るというユーザーにとっては大事な1台でした。

狭く険しい道を後席までフルに使い送迎する用途などで『どうしてもテリオスキッドじゃないと』というユーザーが確実にいたので、ダイハツディーラーでも「いや、これが細々ながらも案外売れるんですわ。」と言われたものです。

ならば後継車を作ればと言われそうですが、そうした需要が減るとともにテリオスキッドもその役目を終えたということなのでしょう。

現在、一応それに近いポジションの車種としては軽クロスオーバーのキャストアクティバが販売されています。

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