2019年のデトロイトモーターショーにおいて、最も注目を集めていた車種はスープラで間違いないでしょう。しかしその影でひっそりと、STIがコンプリートカーを発表していたのをご存知でしょうか?これまで国内展開のみだった「Sシリーズ」ですが、今回のS209は初の海外展開となり、北米限定使用車となります。日本への導入予定がないのが残念ですが、近年のスバルの北米市場重視の傾向からすると順当な流れと言えるでしょう。そんな記念すべきSTIブランド初の海外展開が行われるSシリーズの「S209」は、あの伝説の22Bの再来とも言える位にカリカリにチューニングされた、STIらしい1台でした。
掲載日:2019.9/16
あらゆるパーツが特別な外装仕様
エクステリアデザインは、一目見ると伝わってくるやる気に満ち溢れた出で立ちです。
まず目に入ってくるのがエアアウトレット付きのワイドフェンダーです。空力を向上させると共に、見た目の迫力アップにも貢献。
全幅はノーマルの1795mmに対して1835mmまでアップしています。
このワイドフェンダーに収まるホイールももちろん特別仕様で、ゴールド色のBBS製鍛造アルミホイールとなっています。
サイズは9J×19インチで、組み合わされるタイヤはダンロップのSP SPORT MAX GT600A 265/35R19タイヤ。
なんとこのタイヤは住友ゴムとの共同開発された専用設計品となっており、強力なグリップ性能を誇ると言われています。
その他、大型のフロントアンダースポイラーやスチールメッシュとクロームメッキによる加飾が施されたバンパーサイドベゼル、ドライカーボン製の大型リアウイング、カーボンルーフなどは前回のコンプリートモデルであるS208からの共用となっています。
ボディカラーは、WRブルーパール×グレーホイール、クリスタルホワイトパール×ゴールドホイールの2色が設定されています。
WRC黄金期を彷彿とさせるゴールドホイールの設定は嬉しいですが、折角ならWRブルーパールとの組み合わせにして欲しかったところでもあります。
所有欲をそそるインテリアデザイン
インテリアも特別感満載の仕様となっており、サイドステッチとシルバーアクセント、STIのイメージカラーであるチェリーレッドの刺繍が入ったRECARO製フロントシートや、STI謹製の特別なスウェード素材をあしらったステアリング、センターコンソールや助手席側ダッシュボードにあしらわれた「S209」ロゴ入り過飾パネル等、スバリストの物欲をそそる特別なカスタムが至る所に施されています。
専用パーツのオンパレード!STI渾身のエンジン&メカニズム
注目のエンジンはEJ25型水平対向4気筒ターボを搭載しており、最高出力は345psを発揮。
専用HKS製の大経ターボチャージャーやECU、新しく設計し直されたインテーク、エキゾースト系の採用により、ノーマルの310psから大幅なパワーアップを実現させています。
パワーアップのみならず、インタークーラーウォータースプレーの装備による熱ダレ防止や、鍛造ピストンやコンロッドを採用することで、信頼性と耐久性の向上にも貢献しています。
その他、低排圧パフォーマンスマフラーやVDC、アクティブトルクペダリング等のパーツ類はS208からの継続となっています。
サスペンションはこれまた専用設計のビルシュタイン製ダンパーが奢られており、それに伴うコイルスプリングや強化ブッシュも専用品となっています。
S208においては同じくビルシュタイン製の倒立可変式のダンパーとダンプマチックIIが装備されていましたが、これが無いということはかなり足回りが固くスパルタンな乗り心地であるということが想像できます。
その他、ブレンボ製のブレーキやドロースティフナー、ピロボールブッシュ・リアサスリンク、サポートフロントやSTI製のフレキシブルタワーバーフロントはS208からの共通パーツとなっています。
なぜ北米専売なのか?
前述の通り、今回のS209の発表会の場は日本ではなく、アメリカ、デトロイトモーターショーでした。
アメリカにも、日本におけるいわゆる「スバリスト」と同じ熱狂的ファン、「SUBIE」が存在しており、今までアメリカ国内におけるSシリーズ発売を望む声は数多く寄せられていました。
その声に満を持して応える形での発表がS209だったのです。
昨今のスバルは北米市場を重視した経営を行っているという会社的な方針もありますが、それ以上に海外のスバルファンの声に応えたいという気持ちもあったのではないでしょうか。
まとめ
ニュルブルクリンクでの耐久レースにおける沢山のノウハウを惜しげなく注ぎ込まれたコンプリートカー、S209。
限定200台で2019年末に発売予定となっており、価格はまだ公表されていません。
ちなみに2018年に発表されたTypeRAが約550万、S208NBRチャレンジパッケージが710万6400円だったことを考慮すると、700万円代後半辺りが妥当でしょうか。
いずれにしても従来のSシリーズ同様、発売即完となることは間違いなさそうです。
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